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僕が死んだらこれらの CD は…

当たり前ですが、僕も若い頃は自分の死なんてまるで考えたこともありませんでした。それがこの年になって、高橋幸宏が、岡田徹が、そして坂本龍一が亡くなったと聞くと、自分は彼らよりは少し年下だけれど一体いつ死ぬのかな、などと考えてしまいます。

人は死ぬものだから、いつの日か自分が死ぬのは(怖いか怖くないかはともかくとして)仕方のないことだと思っています。ただ、自分が死んだら自分が残したものはどうなるのかなと考えると心残りはやっぱりあるんですよね。

たとえば僕が自分のホームページやブログなどに書き散らしてきた文章は、twitter の短文を除いても優に 5000 を超えているはずです。twitter は 5万ツイートを超えています。しかし、それらが消えてしまうのは、ま、それはそれで良いのです。それは歴史に名を残さない者の宿命だと思います。

決してひがんで言っているのではなく、僕の書いたものは世間に広く認められたものではないので、消えてしまうのは自然だと思うのです。

ただ、僕が買い溜めた音楽CD などはどうなるのでしょう?

いずれの CD も、少なくとも何人かのキーマンの評価と承認を得てレコード化、CD化にこぎつけたひとかどの作品です。しかし、その中にはあまりヒットしなかったものもあれば、今ではほとんど忘れ去られているものもあります。

もちろん僕が持っている CD の中にも未来永劫残りそうな大ヒット作品もたくさんあります。ただ、僕の場合は概ねマイナー志向の人生を送ってきたので、言うならば、今となっては僕しかその価値を正当に評価していない(かもしれない)作品も少なからずあるということです。

僕が死んだら多分 CD も全部棄てられて(それ自体は至極まっとうなことです)、でも、ひょっとしたら何年か後に大々的に再評価されるかもしれない、そんな可能性を秘めた価値ある作品も全部棄てられてしまうのかと思うと無念でならないのです。

「大々的に再評価される可能性を秘めた価値ある作品」というのはあくまで僕個人の評価でしかありませんが、しかし、いずれも一旦メジャーから送り出された立派な作品であることは間違いなく、僕が書き残した駄文なんかとはレベルが違う、つまり、なんとか後世に残したいものだと僕は考えているわけです。

それでまあ、死なないうちに、焼け石に水かもしれませんが少しでも手を打っておこうと思って、そんな CDアルバムの中から今回は5枚だけ、と思ったのですが絞りきれなくて6枚を、できるだけ「持っている人は少ないだろうな」と思う CD を選んでここにアップしておこうと思います。

ま、アップしたこの文章自体は僕の死後棄てられてしまうのでしょうが、いや、死後どころか今でもすでにたくさんの投稿に埋もれてしまっているのでしょうが、文字通り一人でも二人でも見てくれる人がいれば、という思いです。

『Science Fiction』鈴木慶一プロデュース 宇宙からの物体X(1978年)

僕もそうですが MOONRIDERS のファンであれば各メンバーのソロ・アルバムを含めてほとんどの CD を持っている人も珍しくないでしょう。そんな人たちからすると何を今さら、という感じかもしれませんが、これは僕にとっては是非挙げておきたい一作なのです。

ここに挙げているアルバムの多くがそうですが、このアルバムも最初に買ったのは LP で、その後 CD というものが発明された後に書い直したものです(笑)

鈴木慶一本人は実はこのアルバムにあまり満足していないというような話をどこかで小耳に挟んだ記憶があるのですが、真偽のほどは定かではありません。いずれにしても、本人が気に入っていようがいまいが、名作は名作だし駄作は駄作なのであって、僕からしたらこれは紛れもない名作です。

鈴木慶一自身によるライナーノーツ「R is for Rock (ロはロックのロ)」には「スペース・オペラ的な広大な音楽とは、又一味違った音世界を創ってみたつもり」とあり、“ブラッドベリアン・ミュージック”と銘打たれています。

橿渕哲郎(当時は名字も漢字表記)が co-producer で入っており、橿渕らしい寂寞とした乾いた感じもよく出ています。ライダーズのメンバーをはじめとして錚々たるメンバーが参加していますが、みんな妙ちくりんな変名でクレジットされていて誰が誰だと言い切れません(笑)

大野方栄の寂寥感溢れるボーカルによる③『ロボットの私』(萩原朔美作詞、橿渕哲郎作曲)や、めちゃくちゃかっこいいプログレッシブ・インストルメンタルの⑦『ナスカ平原』(白井良明作曲)が特に僕のお気に入りです。

『僕は白い雲』渡辺勝(1976年)

MOONRIDERS に近いところでは、はちみつぱいの第一期メンバーであったこの人のこのソロ・アルバムも捨てがたい作品です。

『センチメンタル通り』に入っていた『ぼくの倖せ』をこのアルバムでもセルフカバーしていて(④)、この曲は紛れもなく彼の代表作だと思うのですが、⑥『BIG BOSS』や⑨『窓をあければ』など、このアルバム・オリジナルの作品も、とにかく切なくてやるせなくて、素晴らしいと思います。

アーリータイムス・ストリングス・バンド時代からの盟友である竹田裕美子、松田幸一、村上律らのほか大貫妙子、鈴木慶一、武川雅寛、徳武弘文、告井延隆ら、こちらも錚々たる面々が参加しています。

『SHICHI-FUKU-JIN』七福神(1988年?)

実は僕はこの七福神というグループがどんな人たちなのか全く知りません。紛れもない“ジャケ買い”をしてしまい、でも家に持って帰って聴いてみて、これは直感大当たりだった!と小躍りしました。最初 LP で買って CD に買い直したのか、最初から CD だったのか、時代も含めてよく思い出せません。

ちなみにジャケットに WE ARE NOW という文字がありますが、これはキャッチ・コピーのひとつであって、アルバム・タイトルは SHICHI-FUKU-JIN とのこと。

写真を見るとメンバーは7人のようで、女性が2人、黒人男性が1人。シタールみたいな楽器を持ってインドっぽい衣装の人がいたり、もうその辺りからサウンドの想像がつくと言うか、想像がつかないと言うか(笑)

まあ、ひと言で言ってしまうとエスニック・ロックみたいなニベもないことになってしまいますが、この振れ幅はすごいです。

冒頭の①『THE MAGIC CARPET』を聴いていると、そのリズムと言いコーラス・ワークと言い、ジャンルが全く分からなくなります。それ以外では沖縄民謡の④『GIN-GIN』が耳に残っています。

『Hawaiian Pure Heart』Petty Booka(1997年)

Petty Booka 大好きでした。アルバムごとに音楽ジャンルが微妙に違うのがすごいと思います。このアルバムは彼女たちのメジャー・デビューであり、ジャンルはハワイアン。

同じ頃に出てきた Puffy と並ぶ元祖ヘタウマと言っても良いと思います。巧くないようで、でも、こんなに心に沁みるのはきっと巧いんだろうな、などと納得してしまうのです(笑)

メンバーは次々と入れ変わっていて、いまだに活動中だったとは知りませんでした。

このアルバムでは、⑤『ホノルル』や、日本でもゴールデンハーフのカバーでヒットした⑧『ちょっと待ってください』などが絶品! ともかく聴いてみてください。

『Best of the Indigo 2000-2006』the Indigo(2007年)

これは2枚組のベスト・アルバムです。the Indigo って、もっともっと評価されて良いバンドだと思います。かく言う僕も、長らく知らなくて、このベスト・アルバムから過去作を辿っていったような形です。

市川裕一が創る曲も田岡美樹が紡ぐ詞もキャッチーで、これこそポップ!っていう感じ。田岡美樹の声がほんとうに魅力的。僕はこういう声が大好きです。

DISC-1①『BLUE』、③『きかせて』、⑫『UNDER THE BLUE SKY』など(これらはいずれもシングル・カットされたもの)良曲てんこ盛りです。

ちなみにこのグループも活動中です。

『ソリッド・レコード夢のアルバム』(1988年)

これはあの高護がプロデューサーを務めた企画アルバムです。「あの高護」でビクンッと反応してくれた人だけが分かれば良いかと思って、それ以上のことは書きません(笑)

ジャケ写を見ればお分かりのように、全曲をサエキけんぞうが作詞し、作曲は小西康陽や沖山優司、中崎英也、上野耕路ら、これまた豪華メンバー。そして歌うのは奥村チヨ、平山三紀、渚ゆう子、山本リンダ、そして極め付きは青木美冴という昭和の歌謡曲のディープ・ファン垂涎のメンバーたち。

1曲ずつ聴き進めていくと如何にこの企画がすごいかが分かります。どの詞も曲もありそうでありえない歌謡曲(なんでスカンジナビアやねん!?)。そのくせ如何にも平山三紀らしかったり奥村チヨらしかったりするのでびっくりします。これこそまさに夢のアルバム。

ソリッドレコードだけに持っている人は少ないだろうなと思います。これはほんとうに価値のあるアルバム。僕が死んでもこれだけは棄てずに誰か価値の分かる人に引き取ってもらえないか、などと考えてしまいます。

さて、こういう CD、ほかにもいっぱいあるんですが、書き始めたらキリがないので、とりあえずこれだけにしておきます。皆さんもきっとそういうアルバムお持ちですよね?

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