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続・視聴率という厄介な代物(2020/7)

昨年の6月に、境治さんが主宰しておられるウェブマガジン Media Border に『視聴率という厄介な代物』という記事を投稿し、遅れて note にも転載しました。

今回はその続編という体裁にしていますが、前回より遥かに“読み物”的なものになっています。とは言え業界関係者以外はちっとも面白くないかもしれませんが(笑)

今回も Media Border とこことに併載しています。Media Border にはもっと真面目で専門的な分析や提言がたくさん載っていますので、興味のある方はそちらを覗いてみてください。

続・視聴率という厄介な代物

なんか、こう、力入らないんっすよね。

ええ、まだ日本全土とは言えませんが、東京や大阪の放送局が世帯視聴率から個人視聴率にシフトしようとしていて、局によっては「全個人」とか、ウチの場合は「ファミリーコア」という区分の番組平均視聴率を標準に置いてるんですが、そうすると数字が減るんですよね。

当たり前じゃないかと言われると当たり前なんですが、これ、数字が減っちゃうと、なんか、こう、力入んないんっすよね。

前はゴールデンタイムの新番組ならとりあえず 10% を目指してたわけじゃないですか。もっと昔は 10% が番組継続の最低条件でした。それが今や毎日見る数字が(ファミリーコアの場合) 3%とか 4% とか、いや、G帯でも下手すると 2%台、それ以外の時間帯だと 1%台だったりするわけですよ(全個人ならもっと高いですが)。

なんと言うか、ラグビーやアメリカンフットボールでトライやタッチダウンが2点とか3点になっちゃったような感じ。あるいは、野球でダイヤモンドを3周しないと1点入らなくなっちゃったみたいな感じ。

張り合いないんですよね。ラジオ並み。と言うか、ラジオの皆さんはよくこれでモチベーション保って来られたなあと、改めて頭が下がる思いです。

しかも、一斉に切り替えたもんだから、去年までの視聴率との比較が難しい。まあ、調べ直しゃあすぐに分かるんですけどね。

で、数字が低いと張り合いがないからと、シェア(占拠率)を見て一喜一憂する人もいないではありません。シェアなら 10%超えてますからね(笑)

しかし、これは良くないですよね。だって、占拠率っていうのは所詮テレビを見ている人の中での、限られたパイの奪い合いなのであって、これぞオールド・メディアの嘆かわしい態度ですから。

たとえ張り合いがなくても、これが今の時代にマッチすると判断して、新しく基準にしちゃったんだから仕方ないですよね。

でもね、こっちの数字で見ると、前回より視聴率が上がっても、前より上がり幅はちっちゃくなっちゃうんですよ。めでたさも半減。もちろんサンプル数が増大しているので、統計的誤差は前より遥かに小さくなっており、つまり少しのアップで喜んでも良いということではありますが…。

まあ、なんであれ慣れるしかないですよね。

しかし、不思議なのは多くのスポーツ紙や週刊誌などがいまだに番組平均世帯視聴率を基にした記事を書いておられること。世帯視聴率がこんなに獲れたとか、こんなに下がったからもうダメだとか、そんな記事いまだに多くありません?

記者の人も、視聴率が世帯から個人にシフトし始めているのは知らないわけじゃないでしょ? だったらどうして?

多分、「一般の読者にはまだ全個人とかファミリーコアとか言っても分かんねーよな」などと内輪で言って、そのまま走ってるんじゃないでしょうかね? ちょうど我々が「一般の視聴者にはこういう表現にしとかないと分かんねーよな」などと言いながら、番組に余計な演出を加えてしまっているみたいに。

みんなで移行しようとしてるんだから、新聞雑誌の人たちにも協力してほしいよな。

ただ、そういう言い方にも問題があって、東京や大阪あたりでは「世帯から個人への移行」なんて言ってる一方で、「やっと今年から個人視聴率が毎日出るようになった」と言っている局もあるわけで、なかなか日本全国一丸となれないんですよね。

ああ、視聴率ってほんとに厄介。なんでこんなもんで商売してんだろ?

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

続編はこちらです:

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