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放送とインターネット

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放送局に勤めていたので、たまに放送のことも書いていました。ま、内輪向きの文章が多いので、ここにはたまにしか載せませんでしたが。いずれにしても定年退職しちゃったので、今後はこのテー…
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#表現

続々・気になる放送のことば

この間「ことばの変化に対してはすべからく寛容であるべきだと思っています」と書いたばかりですが、 とは言いながら、ことテレビとかラジオとか新聞とかに関して言えば、時々「その表現はおかしくないか?」と言いたくなることがあります。 それで、note にもこんなことを書きました: 一般人の話し言葉ならともかく、やっぱり公共のメディアには正確で理解しやすい表現を使ってほしいし、そのためには規範性の高い、つまり辞書に載っている意味から外れないことばを使ってほしいと思うのです。 そ

続・気になる放送のことば

続・のようなものニュースを見ていて久しぶりに「猟銃のようなもので警察官を撃った」という表現に接し、やっぱり違和感を覚えました。 もちろんこれは使用されたのがまだ猟銃だと断定できない時点での報道であり、正確性を期するためにニュースが選んだ言い回しなのですが、前にも書きました通り、「のようなもの」という表現には「似ているけれど本当はそれではない」という含意があります。だから気持ち悪いのです。 例えば、 という表現で言えば、見えているのは黒い虫に似たものであって、実際に虫では

変わる言葉と広告表現

広告には規制があります。中にはあくどいことを考えている企業もあるので、そういうあくどい商法に消費者/ユーザが騙されないためです。 だから、逆に言うと、規制を守っている広告は、「ウチはあくどい商売はしてませんよ」という証明でもあります。 考えてみれば、私が会社に入った頃の CM考査は大変厳しくて、いろんなCM原稿/素材を差し戻して改稿を要求したものです。 それが次第に緩和されてきたのは、テレビ局も収入が減ってきたので少々ヤバいところでも受け入れるようになったからだという見

「※ 個人の感想です」

テレビCMで観ていて気持ちが悪いと思う表現に「※ 個人の感想です」というのがあります。 実際にその商品を使用しているという一般人のナントカさんが出てきて、「とても良い」とか「ものすごく効く」とか言っている横に小さく出ています。 しかし、一体全体「個人」以外の感想ってあるんでしょうか? どこかの団体の全体としての感想とか、会社の公式感想とか、そんなものは聞いたことがありません。感想というのはそもそも個人個人がバラバラに持つものなのです。 言いたいのは多分こうでしょう: こ