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君はいつごろミュージックシーンに登場したか

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人生と音楽の関わり合いについて書いています。
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#音楽

僕がミュージックシーンに登場したころの話

以下は私が自分のホームページで、2001年8月に『キーを叩く』というタイトルで連作音楽エッセイを開始したときに巻頭に置いた文章です。 ホームページのほうは閉じてしまいましたが、この note にも音楽関係のジャンル(マガジン)を建てることにしたので、今回ここに少し加筆修正して再掲したいと思います。 君はいつごろミュージック・シーンに登場したか?僕の友人の黒谷君によるとても良い表現があります: 「君はいつごろミュージック・シーンに登場したか?」 この言葉の意味するところ

「板に焼く」文化の終焉──ソニーグループの光ディスク生産終了に思う

ソニーグループがブルーレイディスクなどの光ディスクの生産を段階的に縮小させ、終了させるとの報道にいささかショックを受けています。 そうか、ブルーレイディスクが売れない時代になったのか、"板に焼く"文化の終焉なんだな、と思いました。 なにしろ僕らは中学生時代にカセットテープにテレビの生音をマイクで(つまり、コードに接続せず、っちゅうか接続端子もなかったし)録音するところから音楽体験をスタートした世代ですからね。 当然周囲の音も拾ってしまうので、「ちょっと、お母ちゃん、暫く

こだわりと気づき ── GS から転じた名優たちに

グループサウンズからの「転向」随分と古い話ですが、1967年から 1968年ごろをピークに、海外でビートルズらのバンドがヒットを飛ばし始めたことに影響を受けて、日本でもグループサウンズ(GS)という名のバンドブームが隆盛を極めました。たくさんのバンドが出て、たくさんの歌手やプレイヤが注目されました。 僕も小学生ながら結構熱中していました。カッコいいと思いました。 しかし、ブームというものはいずれ終わるものであり、あれほどファンを熱狂させた GSブームもほんの 2~3年の短

Her Majesty(ビートルズ)

エリザベス女王が亡くなって不意に記憶に甦ってきたのはビートルズの Her Majesty でした。 1969年発売のアルバム『アビイ・ロード』の最後の曲で、B面10曲目の The End が終わった後しばらく無音が続くので、この曲で終わりかな?と思って、(あの頃だったら)ステレオの針を上げにちょうど立ち上がりかけた頃にこの歌が始まります。 当時は曲名が表記されていなかったので、世界初の「隠しトラック」という指摘を受けました。 ポール・マッカートニーがギター1本で歌ってい

ah- 面白かった

吉田拓郎というのは僕にとってとても大きな人で、中学以来、彼の音楽に励まされ、刺激を受け、助けられて生きてきた。 細かいことは書かなないけれど、彼の歌があったからこそ僕は自殺もせずに生き延びてこられたのだと思っている。何度も何度も「越えて行け そこを 越えて行け それを」(『人生を語らず』、詞・曲・歌:吉田拓郎)と唱えながら、苦しい時代を乗り越えてきたという思いがある。 そんな“大いなる人”であり、かつ、中学時代からもう何十年も聴いてきた人だがから、僕はなんとなく吉田拓郎が

CDラックは語る

前に本棚について書き、その中でついでに CD ラックについても触れた。 今回はその続きで、僕の CDラックの変遷について書く。 僕は上記の記事で「本は本棚一杯分しか所有しない」と書いた。それは音楽CD でも同じで、CD は CDラック一杯分しか所有しないことにしている。 しかし、今では本は専ら Kindle で読むようになったのに対して、同じように音楽は基本的にデータで所有するようになったかと言うとそうではない。やっぱり CD で持ちたいアルバムがあり、棄てられないシン

なんで『木綿のハンカチーフ』なのだ?

ここのところ何年間か昭和歌謡ブームが続いていて、昔書いたこの文章を note に転載するとしたらこのタイミングしかないと思って、アップしました. 以下は僕がやっていたホームページ Wardrobe of Words の音楽コラム欄に 2002年5月と2007年5月に掲載してその後ちょこちょこ書き足していたものに、今回さらに少し手を入れたものです。 昭和歌謡に興味を持ち始めた若い方が、最初の曲ではなく次の曲を選ぶときのヒントにでもなればいいなあと思っています: なんで『木

音楽と恋愛と

音楽の好みって人それぞれでかなり違っていて、例えば誰かが「このミュージシャンが好き!」と言っているのを聞いて、「あ、俺もそれ好き!」と思うことももちろんありますが、一方で「あ、そんなのが好きなのか」と思うこともあります。 同じ歌手/バンドの作品であっても、「自分はこの時代の、このアルバムが好き」と言っているのを聞いて、「よりにもよってそこかよ」と思うことさえあります。 ま、もちろんそんなことはわざわざ言いませんけどね(笑) 人が誰と恋に落ちるかと同じようなもんで、みんな

『細野晴臣と彼らの時代』門間雄介(書評)

(自分のブログに書いて、シミルボンに投稿した書評ですが、そもそもは第1章を note で読んだのが発端なので、ここにも併載しておきます) note で最初の章が無料公開されており、読んだらめちゃくちゃ面白くて即 Amazon でポチッとした。 何故そんなに面白いかと言うと、それは当然僕が昔からの細野晴臣のファンだからであり、考えてみれば、断続的にではあるが、もう50年くらい彼の作り出すサウンドを聴いてきたのだ。 実際買ってみると公開されていた章の前にプロローグがあり、そ

Happy Xmas and Kissin' Christmas ~ジョン・レノン、ユーミン、桑田佳祐

もうすぐクリスマスです。今年はコロナ禍の影響で外出が激減しているのであまり印象に残っていませんが、例年なら巷ですでにあちこちでクリスマスソングが流れている季節ですよね。 皆さん、クリスマスソングの中では何が好きですか? あまたあるクリスマスソングの中で、私がとりわけ好きなのはジョン・レノンの Happy Xmas (War Is Over) です。 この曲、発売当時はなんとも思わなかったのですが、1987年の『MERRY XMAS SHOW』のオープニング・ナンバーに使わ

筒美京平さんに

筒美京平さんが亡くなった。戦後の和製ポップス/J-POP の世界で、他の誰にも到達できない最高の作曲家だったということに、異論を差し挟める者はいないだろう。 僕なんぞがあれこれ言うことは何もない。だが、京平さんの曲に想い出は山ほどある。それで、京平さんの訃報を知ったこの日に何かをしたいという切実な思いに駆られて、彼の膨大な作品の中から僕の好きなものを 10曲選んでみた。 京平さんのベストテン、などと言うつもりは全くない。明日また 10曲を選び直したら1曲も重ならないかもし

アメリカン・ポップスと英語の勉強

今回はアメリカン・ポップスと英語の話です。いずれも歴史的名曲ですが、何しろ私の少年時代のヒット曲なので、あまりに古すぎて若い人にはさっぱり分からないだろうな、と思いながら書いています。 Mr. Lonelyその昔、関西ローカルで『クイズ Mr.ロンリー』というテレビ番組がありました。 そのタイトルを耳にした当時の上司(と言っても直属の上司ではなく、取締役)が、「ロンリーは形容詞なのだから、ミスター・ロンリー・マンでないとおかしい」と言い張るのを聞いてものすごくびっくりした

はじめて買ったCD?

え? #はじめて買ったCD ですか? うーん、憶えてないなあ。 生まれて初めて買った CD なのに何の思い出も思い入れもないのかよ?と言われると、まあ、そんな風に言いたくなる気持ちも解りますが、僕らの場合は仕方がないですね。だって、レコード世代なんだもの。 初めて CD を買って CDプレイヤで再生した時の驚きは今もって鮮明に憶えていますよ。だって、何の雑音も摩擦音もなく、いきなり音楽が始まるんですもん。ほんとに仰天しました。この感じ、最初に買った音楽パッケージが CD

昔の勝負曲、戦う勝負曲

先月、勝負下着について書いたのですが、これは note のお題企画でもなんでもなかったこともあって、ほとんど誰にも読まれず、スキもつきませんでした(笑) 今週は #私の勝負曲 の募集がかかりました。企画に応募する形ならもう少しは読んでもらえるかと、一縷の望みを繋いで投稿してみます(笑) 思えば長い人生の中で、私は何度も音楽に助けられてきました。歌に励まされ、歌に背中を押され、歌に悲しい気持ちを託してなんとかかんとか生き延びてこられた、と自分では思っています。そんな歌のい