山陰地方は「第7波」? 他県と異なる感染動向

 日本全国でオミクロン株の拡大による「第6波」が訪れ、ようやくピークが過ぎ、感染者の減少が続いている。しかし、島根県と鳥取県では第6波のピークアウトの後、増加に転じた。直近の人口当たりの感染率は全国最低クラスの両県で何が起こっているのか。

島根県:第6波がピークアウト……と思いきや

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 島根県も、第6波が1月20日ごろにピークを迎え、ピークアウトしたかと思いきや、その後はじわじわ増え続けた。その状態で3月17日に蔓延防止等重点措置の解除が決定された。ここ数日は減少傾向にあるように見られるが、21日に措置が解除された。

鳥取県:第7波がピークアウト?

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 鳥取県は第6波が1月28日ごろにピークを迎え、そのあとピークアウトしたが、2月10日ごろを境にまた急増。「第7波」とも言える波が押し寄せ、2月24日ごろにピークを迎えた。その後は減少傾向を続け、3月16日前後はまた少し増加が見られたが、17日に蔓延防止等重点措置の解除が決定され、21日に解除された。

山陰地方独特の拡大か

 島根県と鳥取県はまとめて山陰と呼ばれる。山陰地方でなぜこのように他県と異なる傾向が見られたのだろう。

 山陰地方は他県との繋がりが弱いが、鳥取県と島根県の繋がりは強く、両県は共同で観光振興キャンペーンを行ったりもした。その両県で似たような感染拡大状況がみられることを考えると、山陰地方内でピンポン玉のように感染者を広めあった可能性がある。

 山陰両県の感染者数のグラフを重ね合わせると、島根県でまず感染者が増え、その後に鳥取県で感染者が増加。ピークアウト後は、鳥取県で感染者が増加し、続いて島根県で感染者が微増している。

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 島根県は第6波のはじめは県西部で感染者が増加しており、続いて松江市がある県東部で増加した。その波が、県東部と隣接する鳥取県の方へと波及した可能性がある。その後、両県ではピークアウトを迎えたが、鳥取県で感染者数が急増した。その波が今度は島根県に波及し、島根県でも増加傾向に転じたのではないか。ただし、県内の詳細な分析は行っていない。

 この流行は、第一陣はオミクロン株BA.1で、第二陣はオミクロン株の亜型であるBA.1.1やBA.2が襲っている可能性がある。例えば島根県では2月中旬の感染者の検体からBA.2株が発見されたことが報じられている。島根県では第6波のピークアウト後、2月中旬ごろ再び感染者が増加し始めた。鳥取県ではBA.1.1株が大半であると3月初旬に発表されている。

 日本各地でBA.1株、BA.1.1株、BA.2株がそれぞれ拡大していると思われるが、山陰地方ではオミクロン株BA.1の流行を早々に収めたことで、オミクロン株亜型の波がより鮮明になっているのかもしれない。

 島根県の県庁所在地である松江市は鳥取県と隣接しており、県をまたぐ移動が頻繁に行われている。観光振興では両県が揃っているが、感染対策では必ずしも歩調を合わせられていないように感じられる。こういった要素が、広域的な感染者増に影響しているのかもしれない。

(グラフは全てNHKのデータを基に筆者作成)

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