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「定額放題」って、教員ってサブスクだったんだ!

 3月8日の朝日新聞デジタルに、「先生は「定額働かせ放題」 教育の質守るため増員による抜本対策を」という記事が出ています。

 「文部科学省が2022年度に実施した公立学校教員の勤務実態調査によると、平日の平均労働時間は、小学校10時間45分、中学校11時間1分。これには持ち帰ってする仕事時間は含まれていない。1カ月あたりの残業時間が文科省の定める上限(45時間)に達していたのは小学校教員で64%、中学校教員で77%。長時間の残業が常態化している」ということで、「定額働かせ放題」というタイトルになっているのですが、「定額放題」って、サブスクじゃないですか!時代の先取りだったんですね。
 なんていう冗談はこのくらいにして、「予算をかけて教員の数を増やし、授業時間を減らすといった抜本的な対策が必要だ」と書かれていますが、そもそも教育にお金をかけてこなかった日本で、教員の数を増やすって、かなり実現しそうもない話ですし、だいたい現在定数すら確保できないのに、非現実的な話です。
 それに教員が忙しいのは授業時間が多いためではありません。小学校の場合は、学級担任制であることが忙しさをもたらす要因の1つですが、これも学級担任制が悪いのではなく、学級担任の業務以外が多くなっているために、子どもたちが帰ってから担任業務以外をこなさなければならないために、長時間勤務となってくるわけです。また、長時間勤務となってしまうため、本来の業務である学級担任の業務にも、影響を及ぼしてきてしまっています。
 中学校は教科担任制なので、小学校よりは子どもとべったりではありませんが、こちらも担任業務以外の仕事が多くなっているために、それを放課後にやろうとしても、中学校は部活動があるので、放課後でも担任業務以外の仕事ができないため、長時間勤務となってくるわけです。
 そのため小学校も中学校も、授業準備が十分できなくなってしまっているのです。これでは本末転倒なので、働き方改革が必要ということなのですが、結局諸悪の根源は担任業務以外の仕事ってことになるわけです。ですから、結局その担任業務以外のことを失くさなければ、状況は改善されないわけです。しかし、その担任以外の業務って何なんだということが明確に指摘されていないため、改革が進まないのだと思います。

 この記事が主張するように、予算をかけて教員の数を増やすことが実現しても(個人的には実現しない、実現してもものすごく時間がかかると思いますが)、改めて教員の仕事を仕分けして、教員がやらなくても良いことを削っていなかいと、状況はあまり改善されていかないと思います。

 中学校では担任以外の業務としてやり玉にあがっているのは部活動ですが、確かにこれが無くなると放課後の時間が使えるようになりますから、有効な改革になるでしょうが、やはり絶対的な業務量が多くては効果が薄いので、抜本的に改革を実行するためには、業務仕分けをすべきです。

 ただ、それだけでは現在の教員の成り手不足は改善しないでしょう。3月7日の中日新聞Web静岡版に、「このままでは人材いなくなる 静岡県立高の非常勤講師、授業外は「ただ働き」」という記事が出ています。

 静岡県だけに限りませんが、県立高校では正規の教員の不足分を、講師で穴埋めするわけですが、受け持つ授業のコマ数単位で給料が支払われているため、「準備や成績評価など授業外の勤務時間が考えられていないとして、県内でも問題となっている」というのがこの記事なのですが、やはり高校の授業となるとかなり専門性が強くなることから、授業準備にはかなりの時間を必要とします。ましてや新しい学習指導要領が導入されたことで、かなり大きく変わった教科が多いので、現在どの教科の先生も教材研究などの授業準備にかなりの時間を要しているのが現実です。そのため現在の「コマ給」では、費やしている時間が労力を考えると割に合わない状況になっているのです。そんな仕事、みんなやりたくありませんよね。そのため、「このままでは学校で働く人材がいなくなる」と危惧されているわけです。

 これなどは教育にお金をかけるようになればある程度改善できる問題なのですが、それこそサブスク状態で、とにかく教育にお金をかけないので、改善されないのです。

 個人的には私は歴史の人なので、「人は城、人は石垣」だと思っています。特に少子化で人口が減っていくのですから、人こそ宝になると思っています。少なくとも戦後の日本は、平成のデフレの影響もあって人をあまり大切にしてこなかったわけですが、この先インフレ基調に変わってくれば、人が資本となってくるでしょう。
 現在は時代が変わるタイミングなんだと思います。今までのやり方では、この先立ち行かなくなるのは必至だと思います。手遅れになる前に(もしかすると既に手遅れかもしれませんが)、やり方、考え方を変える必要があるでしょう。

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