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かぶった話

今とある脚本を書いてる。
どこかに発表・上演することが決まっているものではないため、割とのんびりとやっていて、原案は大学演劇部の先輩が途中まで書いたものを採用している。

僕は登場人物に名前を付けることをほとんどしない。嫌いというわけではなく、必要性が無かったからだ。一度だけ名前を付けたのは、とある家族の話で、どうしてもお互いを呼ぶために名前が必要だったため、全員に特に意味も持たせず名前を付けた。

今回は、主人公の語りで主に話が進み、「彼女」との思い出と現在が交錯するような形式を取っていて、初めは主人公に「彼女」と呼ばせて進めていたのだが、上で書いた家族の話の時と同じような理由で考え直し、ユキという名前を付けることにした。

今悩んでいるのは、この名前について。
ユキという響きはけっこう気に入っていて、物語の雰囲気にも、主人公の語り口調にもよく合っていると思っていたのだが、先日映像で見た劇団鹿殺しの「山犬」のヒロインの名前とかぶっていた。それだけでなく、僕の脚本と、「山犬」で、やや似ているようなモチーフがあり、パクりだと思われるのを嫌って、名前を変えることにした。

実はこのユキという名前、他にも使われているところがあって、作品とは全く関係は無いのだが、モーモールルギャバンというバンドの曲名で使われているのだ。
なんとなくそのイメージがあって僕もそれを使ってしまったのかもしれないが…

新しいものを作るというのは難しい。
設定が同じだとか、オチのパターンが見たことあるだとか、そういうのは本当によくあることで、その中でオリジナリティを確立していくのも大事だとは思うけど、何よりそれらの作品を「知らない」ことも問題の1つだと思う。それらを「知る」こともまた、この世界で創作を続けるために必要な努力だと思う。

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