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西岡剛に対して想うこと

どうも、やまけん(Twitter:@yam_ak_en)です。
寒くなってきましたね。これからいよいよ冬へと突入し、より寒くなってくるでしょう。そろそろストーブの準備もしておかないといけないかもしれませんね。

ストーブといえば、プロ野球界もすっかりオフシーズンに突入し、今年のストーブリーグが始まりました。ドラフトが終わり、だんだんと新外国人選手の獲得等のニュースも入ってくるようになり、我がマリーンズもプエルトリコ出身のケニス・バルガス選手の獲得を発表しました。期待したいですね。FA選手の交渉も解禁され、広島・丸佳浩選手や埼玉西武・浅村栄斗選手らの去就が注目されます。

そして今オフ、マリーンズを支えてきた1人のスター選手、いや、スーパースター選手が他球団で戦力外通告を受け、トライアウトを受験しました。

千葉ロッテマリーンズ 西岡剛 背番号7

のちにスーパースタープレイヤーとなる西岡剛がマリーンズに入団したのは2002年のドラフト時。現在マリーンズの編成部長まで昇進した、当時の松本尚樹スカウトが1位指名に推薦しました。ルーキーイヤーから一軍キャンプを経験し、3年目にはボビー・バレンタイン監督のもと二塁・遊撃のレギュラーを掴みマリーンズの日本一に大きく貢献。ゴールデングラブ賞を二塁部門、ベストナインを遊撃部門でそれぞれ受賞し、41盗塁で盗塁王に輝くなど着実に中心選手へと成長していきました。翌年のWBC代表選出なども記憶に残っている野球ファンは多いかもしれません。
2009年にはマリーンズの外野スタンドが所謂MVP問題で揺れる中で、試合でヒーローになってお立ち台からファンに熱く訴えかける姿や、その翌年新たに就任した西村徳文監督のもとでキャプテンとしてリーグ3位から日本一達成という”下剋上”を成し遂げたこと、またそのシーズンで1番ショートとしてスイッチヒッター・内野手として初となるシーズン200安打を達成したことなど、彼がマリーンズでプレーした8年間は今でも色濃く脳裏に焼き付いているというファンも多いでしょう。また、決して人気球団とは言えないマリーンズにおいて、球界屈指のスター性とカリスマ性を兼ね備えた彼に魅了されてマリーンズファンになり、現在もマリーンズとともに西岡のことを応援しているという方も少なくないはずです。成績もさることながら、彼がマリーンズに残していってくれたものは大きかったと今でも感じます。
下剋上を達成した2010年のオフ、彼はポスティング申請をし、夢であったメジャー挑戦を決断します。球団としても、2005年と2010年の2度の日本シリーズ制覇に大きく貢献したこと、とりわけ2010年の大活躍を受けてポスティングを承認し、彼の夢を後押ししました。それでも、球団もファンも、そして何より西岡本人も、「日本に戻ってきたらマリーンズのユニフォームを着る、そしてマリーンズで引退する」と思っていたでしょう。その時は…

歯車が狂い始めた阪神入団

メジャーでの彼はミネソタ・ツインズに2シーズン在籍していたものの、故障に悩まされるなど満足のいく活躍ができず自由契約に。しかしマリーンズとしては当然西岡を戦力として見ており、またチームの中心選手として見ており、当時の担当スカウトでこの時にはすっかり編成トップのポストに就いていた松本尚樹統括がラブコールを送ります。西岡が抜けた後のマリーンズのショートはというと、根元俊一や渡辺正人、小林宏之の阪神FA移籍の人的補償としてやってきた高濱卓也、外野からコンバートされた荻野貴司など、複数の選手が守るも固定化はできず。2012年には根元がレギュラーを務めたものの、守備面で不安要素が大きく課題のポジションであることに変わりはありませんでした。結果として11年は最下位、12年は5位とまさに「西岡不足」を否めないチーム順位でした。

しかし、そんなマリーンズより先にオファーを入れたのが西岡の地元でもあり在阪球団である阪神。マリーンズが提示したとされる2年総額4億を上回る2年総額5億(一部では6億とも)の契約を選択し阪神に入団します。それでもまだこの時はかつて読売にトレード放出されたサブローのように、「いつかFAで戻ってきて、マリーンズで引退するだろう」と思っていたであろうファンも居たはずです(私がそうでした)。

そして、阪神移籍後の彼はというと…
13年(29歳) 122試合 .290 4本 44点 11盗 .729
14年(30歳) 24試合 .237 0本 4点 0盗 .724
15年(31歳) 50試合 .262 2本 14点 1盗 .692
16年(32歳) 55試合 .295 0本 15点 6盗 .688
17年(33歳) 32試合 .228 0本 5点 3盗 .562
18年(34歳) 25試合 .125 0本 1点 0盗 .386
(成績は試合数・打率・本塁打・打点・盗塁・OPSの順)

かつて、「幕張のスピードスター」と呼ばれ、シーズン200安打を達成したマリーンズの中心選手・西岡剛の姿はもうそこにはありませんでした。
度重なる故障で、初年度を除けばシーズンフル出場どころか半分の70試合出場すらままならず、以前のようなパフォーマンスを一軍のグラウンド上で披露することはもうほとんど不可能な状態となっていました。元々が高い身体能力を活かした派手なプレーをするタイプであったせいか、故障により身体能力面に陰りが出てきてしまってからはやはり以前のようなプレーができなくなってしまった、というのが大きいのでしょう…。特に2016年のアキレス腱断裂で、彼の最大の武器であったスピードはもはや失われてしまったと言っても過言ではないと思います。
そしてついに今年、阪神から戦力外通告を受けました。5月18日にマリーンズでプレーした若手時代以来の「故障以外での二軍落ち」を経験し、その後も一軍でのプレー機会はほとんどありませんでした。

「ロッテに戻りたい」

それでも現役続行を希望した彼は、先日行われた12球団合同トライアウトを受験。彼クラスの選手がトライアウトを受験することは異例中の異例とも言えるでしょう。
そんな中、トライアウト前に彼が残した発言が話題になりました。こちらです。

「現役を続ける意思を固めた以上、受けない理由はない。クビになったんですから実績は関係ありません」と話すと、心の中にある熱い思いを吐き出した。「選べる立場ではないのは分かっているが、どこでプレーしたいんだと言われればロッテに戻りたい。それが僕の素直な気持ちです。育ててもらったロッテでユニホームを脱ぎたい」。

(スポーツニッポン記事より引用)
この発言については後で再び書くとして、トライアウトでの彼の成績はというと、

第1打席 vsコラレス(元楽天) 三振
第2打席 vs成瀬善久(元ヤクルト) 左中間二塁打
第3打席 vs篠原慎平(元読売) 三振
第4打席 vsオスカル(元広島) 遊ゴロ

4打数1安打。その1安打も、共にマリーンズで戦ってきてヤクルトにFA移籍後に成績を落として戦力外となった成瀬善久からのヒットと、マリーンズファンからすれば純粋に喜べないような…とにかく、トライアウトでも頭抜けて良い成績をマークすることはできませんでした。

もしも西岡が現在のマリーンズに戻って来るのなら…
まず編成的な観点から見ると、来季兼任コーチとなる福浦和也を除いて最年長となります。

来季のマリーンズの内野陣の想定として、
一塁:井上晴哉 ケニス・バルガス
二塁:中村奨吾
三塁:鈴木大地 安田尚憲
遊撃:藤岡裕大 平沢大河

らが就くことが想定されます。前のnoteにも書いた通り、今年1年ショートを守った藤岡も来季は再び平沢とショートの定位置争いをすることになるでしょうし、来季が2年目となる安田の存在で鈴木大地ですらレギュラー確約とは言えない状況です。
ここに、度重なる故障でかつての華のある守備ができなくなった西岡が入り込む余地があるでしょうか?二遊間の守備はもうほとんど厳しいでしょうし、一塁の守備固め要員をわざわざ獲得する意味も必要もありませんし、彼に居場所はないと言い切ってしまってもよいかもしれません。
打撃面でも、今季.125の打率とトライアウトでの結果を考慮すると、代打でも正直期待が持てないのが本音です。実際にトライアウトの映像も一部見ましたが、二軍で好成績を残し先日の台湾遠征でもアピールをした香月一也や、それこそまだ福浦の方が期待できるのではないか?と思ってしまうような内容でした…。少なくとも、戦力外で低コストで獲得できたとしても無理に獲得する必要のない選手である、というのが私の「現在の」彼に対する評価です。

それでも、彼のファンや彼の影響でマリーンズファンになった層が一定数いることを考慮すると、興行的な面で彼を獲得してもよいのでは?と、戦力外と発表された当初は思っていました。彼の復帰に際して各種グッズ販売による利益は多かれ少なかれ見込めると思っていましたし、言い方的によろしくないかもしれませんが、いわゆる「引退興行」で儲けることができるかもしれない、と考えていたからです。あわよくば、これから優勝を目指す若手主体の現チームにおいて、かつての自身の経験を何らかの形で伝えてプラスになれば…とも思っていました。

さて、そんな矢先の「ロッテに戻りたい」発言。
この発言だけ聞き取れば嬉しいかもしれません。しかしながら、

(西岡剛公式Instagramより)
「2016年にアキレス腱が切れた瞬間、甲子園のグラウンドで倒れて引退すると心に誓った僕が、今なおユニフォームを着れている人生です!」(一部抜粋)
などという発言を残しており、私としては一貫性がないというか二転三転しているというか、「千葉ロッテマリーンズの名前をメディアの前で出してかつての温情で拾ってもらえるのを期待しているのではないか?」と思ったのが本音です。そして、本当にマリーンズで引退したいのならば、何故あの時マリーンズのオファーを蹴って阪神へ行ったのか?と…

現役を続けたいものの、自分の現在の実力では契約を貰えるか怪しい。トライアウトでも目立つ成績を残せるかはわからない。ならば、かつての縁や温情で今の自分を拾ってくれないだろうか?そんなことを言っているかのように私は感じました。この発言は阪神やロッテはもちろん、その他10球団や独立リーグの球団等、すべての方面に対し失礼なのでは?と。そしてその発言を聞いた瞬間に、かつてのカリスマスーパースター・西岡剛はもう居ないんだと改めて感じました。

千葉ロッテマリーンズの決断とその背景

とはいえ、やはりマリーンズに在籍していた彼とマリーンズの動向は気になります。「やはり球団としては今でもカムバックを望んでいるのだろうか…?」と思いましたし、前述の興行的側面に期待して球団が獲得に動いても驚きはしませんでした。
しかしながら、マリーンズの決断は私の想像とは違いました。

「西岡剛は獲得しない」

ロッテの林信平球団本部長は13日、この日付のスポニチ本紙でロッテ復帰を熱望した前阪神・西岡剛内野手(34)について「井口監督のもと新しいチーム生まれ変わろうとしている。われわれはファンの期待に応えるチーム作りをしていきたい」と獲得を否定した。

(スポーツニッポン記事より引用)
西岡の獲得には動かなかったのです。特に、09年,10年と2年間にわたり西岡と二遊間を組み、共にチームを牽引した井口資仁現監督の名前を林信平球団本部長が出して否定したこの意味合いは尚更大きいように思います。
この西岡の獲得回避に関してはもちろん成績的な側面で戦力と見ていないというのがもっともな理由かもしれませんが、それ以外にも下記のような理由があると私は思います。
①二次戦力外ゼロ
②球団収支の黒字化達成(見込み)
③丸佳浩へのFA参戦
④彼の持つ負の側面

二次戦力外ゼロ
第一に、支配下枠の問題です。4名の選手が引退し、2名の支配下選手が戦力外通告を受け、ドラフトで8名を支配下指名したため、プラマイ計算で+2名となりました。投手の支配下人数が多くなったため投手の二次戦力外が出るかと思いましたが、出ず。支配下の残り枠が少ない中で後述の丸へのFA参戦などもあり、現在のチームではハッキリ言って「必要戦力以外の戦力」、例えば今回の戦力としての計算は難しい西岡のような選手は獲得できない、というのがひとつの答えなのかなというように感じました。

球団収支の黒字化達成(見込み)
次に、球団の体質変化が理由として挙げられると思います。山室晋也球団社長ら球団本部・営業部の努力により長年積み重なった赤字が今季解消される(との見込みである)とのことで、以前ほど強く興行的側面を意識しないでもよくなったのかもしれません。となると、今の西岡を、戦力にならない可能性が高いと判断されたであろう西岡をマリーンズが獲得しないことにも十分頷けます。「金儲け主義」と一部から非難されていた山室社長の球団運営ですが、その側面から言わせれば今回西岡を獲得しなかったことは球団が金儲けのためだけに動いているわけでは決してないということがわかるのではないでしょうか。

丸佳浩へのFA参戦
上記2つの理由とも大きく関係すると思いますが、カープからFA宣言した丸佳浩選手の獲得に動いていることも関係しているのではないでしょうか?
必要な部分に資金を回し、不要な部分には手も金も出さない。球団経営のみならず一般的な経営活動全てにおいて言えることだと思います。丸に関しては間違いなく今のマリーンズにとって「必要な部分」であると思いますし、球団の今オフの動きを見ていればそれがわかると思いますが、今回の西岡は「不要な部分」、もしかしたらそう判断されたのかもしれません。不要とまでは言わなくとも、丸や助っ人外国人ほど優先順位は高くないのは間違いないでしょう。

彼の持つ負の側面
案外、これによる獲得回避なのではないか?と思ったりします。彼の私生活やグラウンド外での行動に関して、今の若手に悪影響が出ないようにと球団サイドが手を伸ばさなかったのかもしれません。噂は噂ですが、よろしくない話も少なからず聞いてきましたし…。
あるいは、今回の発言を受けてむしろ獲得しなかったのでは?というようにも感じます。現在の選手たちに「マリーンズは既存の選手を大切にするから、いくらかつての縁があったりしても戦力にならなければ選手としては獲得しないよ」というアピールのように見えます。

一部ネット上では「広島が新井を獲得したようにロッテも西岡を獲得しろ!」などといった意見がありましたが、新井貴浩が広島に加わった前年は(下降していいたとはいえ)阪神で成績を残していましたし、オフの球団の制限オーバーの減額提示に対して自由契約という道を選んだので、今回の戦力外通告を受けた西岡のケースと比べるのはあまりにもナンセンスかと思います。

終わりに

今回の件ですが、私としても100%西岡が悪いとは言いません。そもそも、メジャーでの併殺崩しのスライディングをモロに食らっての骨折や阪神入団後の福留との交錯による骨折、それにアキレス腱断裂など、彼がパフォーマンスを落とす原因となった故障は不運なものが多いように感じます。故障に対して、自業自得であるなどとは思いません。
加えて、マリーンズが再建中のチームであること、そして内野に現状空きがないことも彼にとっては不運だったのかもしれません。今のマリーンズに「帰ってきたい」と言った選手を受け入れる余裕がないことも事実です。
しかしながら、まるで縁故採用を期待するような、というより縁故採用に賭けるかのようなコメントを、自分が応援しているチームにかつて所属していた中心選手の口から、かつてのスーパースターの口から聞きたくはありませんでした。もしもまだ西岡が戦力として計算できるラインの選手で、FA宣言をしての移籍であったのなら話は変わっていたかもしれませんが…。


この件に関しては、様々な意見があっていいと思います。当然今でも西岡剛を好きであることを私から否定するようなことはありません。西岡のマリーンズ復帰を期待することも当然否定しません。このnoteは、あくまでも私の主観による考察と感想がメインなので、もしお気に召さない箇所があったとしても、これもひとつの意見なのだなと受け流してくだされば幸いです。

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