見出し画像

そもそも浮腫ってどうやって起こるの?

過去のnoteにて、浮腫を題材にした記事をいくつか書いてきました。

https://note.com/yakuyakutyanpon/n/n2efe74acb505

https://note.com/yakuyakutyanpon/n/n9ac8a5ab9236

https://note.com/yakuyakutyanpon/n/nebd2af120617

浮腫を起こす薬についてや浮腫に対する疾患毎の治療法について各論的に記載してきました。



今回は、そんな体でどのように浮腫が起こっているのかについて話したいと思います。



浮腫の鍵を握るStarlingの法則


そもそも、毛細血管内外での体液移動は
アルブミンなどのタンパク質による膠質浸透圧と血管内静水圧の差によってバランスがとられています。

【Frank-Starlingの方程式】

F=KS〔(Pc−Pt)− σ(πp−πt)〕
    静水圧差   膠質浸透圧差

F:血管外に出ていく水分の量
KS:毛細血管膜の透過性
P:静水圧
π:膠質浸透圧
 cは血管内、tは間質
σ:アルブミンの毛細血管膜の透過しづらさ(反発係数)

以上のように、浮腫を起こすかどうかを表す公式があるんですね。

結局、浮腫が起こるかどうかについては、膠質浸透圧と血管内静水圧の差に集約されるのですが、
更にその起こりやすさの度合いは以下のようなポイントに分けられます。

①毛細血管内外の静水圧の勾配
②間質と血漿の膠質浸透圧の差
③毛細血管壁の水分透過性
④リンパ管を介したドレナージ

①・②はおわかりですね、それぞれ静水圧と膠質浸透圧の差によって浮腫の度合いが変わります。

③については、この式のKSにあるように静水圧と膠質浸透圧の差を元に、更に水・タンパク質の透過のしやすさを表しているため、膜の穴が大きければより物質が透過しやすく浮腫を起こしやすいというイメージになります。

④についてですが、
血液の流れとなる経路は毛細血管→間質→毛細血管の他に、
毛細血管→間質→リンパ管→静脈を通る経路があります。
基本的には、間質からの水分と主に漏れ出たアルブミン回収においては、リンパ管が間質液の10-15%を担っていると言われています。
このリンパ管によるドレナージ障害が起こると、アルブミンの回収率が下がり、膠質浸透圧差の拡大によって浮腫を起こしやすくなります。

まとめ


①毛細血管内外の静水圧の勾配
②間質と血漿の膠質浸透圧の差
③毛細血管壁の水分透過性
④リンパ管を介したドレナージ

以上が浮腫を起こす主な機序となり、ほぼ全ての浮腫の原因はこれら4つに集約することが言えます。

静水圧と膠質浸透圧の差・毛細血管膜の透過性・リンパ管による排泄能が血管⇆間質での体液の出入りを決めているというイメージですね。

心不全による体液貯留においては①が、肝不全による浮腫・腹水に関しては①・②が絡み合っているというような具合です。


参考になりましたらいいね押してくれると幸いです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?