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大麻という薬草を利用したケアは「代替医療」である

薬草大麻ラボ

大麻という薬草を利用したケアは「代替医療」の一つです。私たちは、日本で大麻の医療用途に関する議論が正確に広がらないのは、この一点が伝わっていないことが大きな原因だと考えています。

北米やタイなど、大麻の医療用途の使用が合法化された地域では、治すこと・完治させること、すなわち「キュア(cure)」を目的した人よりも、自分の体調を少しでも良くすること、すなわち「ケア(care)」を目的として、この薬草を利用する人が圧倒的に多いと言えます。広い適応疾患があり、エビデンスや合理性を中心とした「通常医療を補完する形」で多くの人に利用されているのです。

近年では「健康」の意味を問い直し、心も身体もより良く、健やかに、前向きに生きようという「ウェルネス」「ウェルビーイング」といった考え方が欧米を中心に流行しています。日本で江戸時代に流行した「養生」という考え方に近いでしょうか。(参考1)これらは、生き方や態度など「価値観」に重きを置く健康観であると言えますが、ウェルネスやウェルビーイングという目的で、大麻という薬草を利用する人も少なくありません。

代替医療と統合医療

そもそも、この「代替医療」(参考2)とは何でしょうか。その定義は国や地域の文化や制度によって異なりますが、一般的に病院で行われている医療行為を「通常医療」と呼び、それ以外を「代替医療」と呼びます。中国医学(中薬療法、鍼灸、指圧、気功)、インド医学、免疫療法(リンパ球療法など)、薬効食品・健康食品(抗酸化食品群、免疫賦活食品、各種予防・補助食品など)、ハーブ療法、アロマセラピー、ビタミン療法、食事療法、精神・心理療法、温泉療法、酸素療法などは全て、代替医療という位置付けです。慢性疼痛、慢性疾患、精神疾患といった通常医療だけでは解決が難しいケースが多く存在するため、どの社会でも代替医療が存在し、利用されているという現実があります。

例えば、アメリカはこの分野を積極的に推進してきました。1998年、National Center for Complementary and Alternative Medicine (NCCAM)という国立の代替医療研究機関を設立し、現在はNCCIH(National Center for Complementary and Integrative Health)という名称に代わっています。「Integrative」すなわち「統合医療」という意味が加えられ、通常医療と代替医療の融合を目指しています。NCCIHでは「代替医療」を次のように定義しています。

「一般的に従来の通常医療と見なされていない、さまざまな医学・ヘルスケアシステム、施術、生成物質など」

eJIM「統合医療」とは?

日本では2012年、厚生労働省が「統合医療」のあり方に関する検討会(参考3)を開催し、NCCIHやWHO(世界保健機関)などの見解を参考にしながら、様々な議論を行っています。「統合医療」は以下のように定義され、安全性や科学的根拠を明らかにしつつ、広く国民に情報発信しながら推進していく方針が決定されています。

「近代西洋医学を前提として、これに相補(補完)・代替療法や伝統医学等を組み合わせて更にQOL(Quality of Life:生活の質)を向上させる医療であり、医師主導で行うものであって、場合により多職種が協働して行うもの」

eJIM「統合医療」とは?

日本における「薬草大麻」の可能性、および注意点

ご存じのように、現在の日本において「大麻という薬草」を用いる行為は違法です。しかし、厚生労働省が管理する、eJIM(evidence-based Japanese Integrative Medicine )という統合医療情報発信サイトがあります。ここでは「海外の情報」として、「大麻(マリファナ)とカンナビノイド」というページ(参考4)が現在の時点でも掲載され、科学的な根拠などが紹介されています。ご存じでしたか?あまり知られていませんが、厚生労働省もすでに、「大麻という薬草」は「代替医療の一つ」と認識しているのです。海外で、医療用途の合法的な使用が広がっていることが示すように、「大麻という薬草」は大きな可能性を秘めています。例えば、慢性疼痛や終末医療の分野で、症状を緩和し、QOLを上げるための大きな選択肢の一つとなれる、と私たちは考えています。医師・患者双方から、「大麻という薬草を使いたい」という要望が、社会が理解できる形で上がれば、日本でも大きな議論になる日が来るかも知れません。


注意点をあげるとすれば、もし、この大麻という薬草を使える状況になったとしても「通常医療を否定し、これに賭ける」というような過剰な期待はしない方が良い、ということです。大麻に関する研究数は増え続けていますが、まだ分かっていない事も多いのが現実です。病気そのものを治す訳ではなく、あくまで症状緩和に役に立つもの、と考える方が妥当です。あくまで「代替医療」なのです。どんな病気に対しても、通常医療が確率的にもっとも効果があり、合理的な方法である事は事実です。この点を踏まえ、特性を理解し、上手に使えるようになるのが理想です。

2022 11/07

参考1:江戸時代に流行した養生という考え方は節制を重視し、ウェルネスのような自己実現を重視する考え方とは少し違いますが、価値観重視の健康観という意味では共通するため「近い」という表現をしています。
参考2:近年、代替医療は「補完代替医療」「相補代替療法」などと呼ばれることが増えていますが、分かりやすさを考慮し、ここでは「代替医療」という言葉を用います。
参考3:「統合医療」のあり方に関する検討会 
参考4:eJIM「大麻(マリファナ)とカンナビノイド


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