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見殺しにしたもの

55人 それが私を見殺しにした数だ

苦しいと呟いたところで

誰かが助けてくれるわけではない

冷たくなったマッチ売りの少女のように

命を失って初めて「あの人は可哀想だった」と言われる

苦しみのただ中にいる者が救われることはなく

ただ見て見ぬふりをされ

自己責任だと言われる

友がある人間は幸いだ

温かな食卓でひと時を過ごす

私は外の暗闇の中で

ただ一人凍えて過ごす

火をともせば、呟きを見る目は増える

しかし、差し伸べられる手が増えることはない

幸福な人間も私も、結局は同じ

誰かを救うことなどできない

誰かを見殺しにして、どうにか自分を生かしている

無機質な端末が見せる数字は

誰かが誰かを見殺しにした数だ

55人 それは私が見殺しにした数だ

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