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目を見る(『地球空洞説』パンフレット挨拶文)

3月25〜26日に上演した一人芝居『地球空洞説』でパンフレットに書いた挨拶文が割と評判良かったので、転載してみます。
「こういうこと、考えて作ってたのか〜〜」と思ってもらえれば、そして「観てみたかったな……」と思ってもらえれば幸いです。

「目ぇ見ろよ!」
大学を卒業して就職した工場で、何度投げつけられたかわからない怒声。大学時代までそんなこと意識せずいられたのが幸か不幸か。どちらにせよ、目を合わせるのが苦手だと気づいたのは会社員になってからだった。しかしわからない。なんでこんなに「目を合わせろ」と言われるのか?。こちらは目を合わせず話を聞かれた経験が無かったから。
とにかく顔を見て話を聞くようにし始め、そしてこちらを見ずに話を聞く人に出会って、やっとわかった。相槌さえうてばいいわけではないのだ。私の感覚では、会話でこちらを見られないというのは、自分が幽霊になったような、存在を認められていないような気になるのだ。
演劇は「観客が幽霊となる」コンテンツだと思う。役者は観客を意識せず、役者同士で話す。そのさまをただ観察する、幽霊か透明人間、又は神のような立場の観客。
今回、私のいる舞台上には、存在を認め合う他者はいない。だから、あなたの目を見て語ろうと思う。この嘘を、虚構を。舞台という「あなたとは隔絶された別世界」にも出来うる、でも確実に行き来できる場所から、目を見て。客席とここは同じ世界ですよ!と投げかけながら話す。どころか――
あなたはどう感じるでしょうか。ぜひ、感想をお聞かせ頂きたいです。
ようこそおいでくださいました。お楽しみいただけましたら、幸いです。
役者でない

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