ヤクルトのドラフトをデータで振り返る~投手編~
「〇〇年のドラフトは良かった」
「〇〇年のドラフトは酷かった」
たびたびドラフトについて色々な声が聞こえる中で、
「本当にそうなのだろうか?」と気になったことは何回もありました。
そこで、
「じゃあ勝手に自分で分析してみよう」
と気が向いたので実際にやってみました。
ただ、Twitterだと文字数の関係で書ききれないので、ここに書くことにしました。
今後暇を見つけて野手編、総合編もまとめたいなあと考えています。
よろしくお願いします。
① 分析にあたって
ドラフトの成果は長い目で見ないと分からない。そして一般的に頭角を表してくるのはドラフトから3~5年後と言われる。
もちろん、13年新人王小川や18年中尾のように1,2年目からフル回転で活躍してくれる選手も、先日初勝利を挙げた田川のように7年目に芽が出てくる選手もいる。
当然この分析だけでは分析しきれない部分もあるので、そこはご了承を。
ただ、平均的に見て3~5年目(高卒21~23歳、大卒25~27歳、社会人27~29歳)が大きなターニングポイントになるとは思うので、ある程度の傾向は見えてくるはずだ。
例えば、
2010年ドラフト→3年目:2013年、4年目:2014年、5年目:2015年の成績
2016年ドラフト→3年目:2019年(※4年目・5年目は現時点で含めない)
というようにして分析をする。
【分析対象】
ドラフトは基本的に一軍で結果を出してもらうことが指名の大きな目的の一つであると思うので、本分析では一軍成績のみを見ることとする。
また、個々の選手を見れば、選手ごとに貢献度の違いが出てきてそれぞれ全体の成績に大きな影響を及ぼしている点は考慮するべきだが、
あくまでも今回の分析では、
「その年のドラフト自体」がチームにどれだけの戦力をもたらしたか
のみに焦点を当てる。
今回の分析では、現行のドラフト制度が始まった2008年から3年目の成績が抽出できる2016年までの9年分を対象とする。
なお2019年シーズンの成績に関しては、まだ8試合(9/16時点)残っているが、残り8試合で傾向が大きく変動することは考えにくいため、
2019/9/16の試合終了時点までの成績を用いる。
【分析方法】
今回はチーム全体にどれだけ貢献できたかどうかを、投手の量と質でそれぞれのドラフトを評価することにした。
「量」の評価は投球回数を用いる。なお、そのシーズンによって投球回数にはバラツキがあるため、〇〇年ドラフト選手の消化したイニングがその年のチーム投球回に占める割合として計算した。
「質」の評価は防御率を用いる。なお、そのシーズンによって投高・投低傾向が変動するため、各年度にバラツキが生まれないように調整を入れた値となっている。
※今回はより分かりやすくシンプルに使える「投球回」「防御率」を使いました。もちろんこの指標たちだけで絶対的にドラフトを評価できるものではありませんので、あくまでも一つの見方としてお楽しみください。
【データ出所】
前置きが長くなりました。
それでは、
2008~16年までのヤクルトのドラフト指名をデータで振り返る
「投手編」
一緒に見ていきましょう!
② 3年目成績
12年ドラフト(石山・小川・田川)は3年目からすでに質量ともに高い成績を残し、チームの中心選手として活躍していたことが分かる。12年ドラフトにとっての3年目とは優勝した2015年シーズンであり、間違いなく優勝に大きく貢献したドラフトになったといえる。
15年ドラフト(主に原・高橋)は過去9年の中で3年目としては一番質の高い成績を残し、早い段階からその高いポテンシャルを見せつけた。
期待されている16年ドラフトは中尾が2年目に活躍するなど存在感を見せていたが、3年目(今年2019年)は苦しいシーズンとなった。一方で今年は梅野が台頭してきた。寺島、星も含めてこれからに期待したい。
そして14年ドラフトについては、、
ご覧の状態となっている。
14年ドラフトでは高卒0人、大卒・社会人6人を指名する「即戦力」の期待をした指名だっただけになおさら深刻である。
果たしてこの状態からどこまで這い上がることができただろうか?
次に4年目を見ていく。
③ 4年目成績
※16年ドラフトは含まず
08年ドラフト(赤川・八木・日高)の台頭が目立つ。この3人は高卒出身であり将来性を買っての指名であった。3年目に少しずつ頭角を表してきていたが、ついに4年目になって一気に飛躍し1軍でかなりのイニングを任されることとなった。08年ドラフトはまさに戦略通りの指名となったといえそうだ。
3年目に引き続き12年ドラフトの安定感も光る。
09年ドラフトと13年ドラフトはイニング消化は少ないものの、質の高い投球をしている。これは、09年(中澤・山本哲・平井)、13年(主に秋吉)が即戦力中継ぎとして活躍していたということが読み取れる。
問題の14年ドラフトは、特に防御率がかなり改善した。
しかし、この4年目にしてすでに14年ドラフト投手対象者は風張のみになってしまった。ともかく、この年は風張が14年ドラフトの希望として確かな結果を残した年であった。
④ 5年目成績
※15年・16年ドラフトは含まず
08年・12年ドラフト勢の安定感が光る。この2つの年は最近のヤクルトの中では間違いなくトップクラスの指名になった。
09年ドラフトは4年目に引き続き投球回数は少ないものの、防御率は常に高い水準で安定している。つまり中澤、山本哲、平井らが中継ぎとしてかなり質の高い投球を続けてチームに貢献していたということが分かる。
ここにきて10年ドラフトもかなり質のいい投球を残した。ちなみに10年ドラフト(主に久古)にとっての5年目は優勝した2015年である。
ここにきて、11年ドラフトが一気に成績を落とした。
そして14年ドラフト(風張)も依然として苦しんだ。
⑤ まとめ
ドラフト投手評価(ヤクルト比) ※個人の見解です
S 2012年
A 2008年、2009年
B+ 2015年
B 2013年
B- 2010年、2016年
C- 2011年
D 2014年
ちなみに、
今回の分析に使ったより細かい個人の成績データの表、それぞれの年の軽い寸評と補足などはこの下に有料で置いておきます。
すでに無料部分で90%はお伝えしたいことを書いたと思うので、
ここまででもう十分という方はまた次回、野手編でお会いしましょう。
私はマニアックです!あと10%も見たい!という方だけに購入をおすすめします。
引き続きよろしくお願いします。
↓
2008年 「将来性重視で花開く」 評価 A (高卒3人・大卒1人・社会人1人)
1位 赤川克紀 2位 八木亮祐 4位 日高亮
育成1位 フェルナンデス 2位 塚本浩二
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