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薬学部個人ノート「機能形態学・前半全て」

こんにちは。ここでは、薬学部の主要科目の私個人のオリジナルノートを載せています。今回は機能形態学前半1~7を通しで一気に載せてます。これで機能形態学の前半が終わります。私なりにかなり工夫して分かりやすくまとめましたので、何かの参考にして頂けると嬉しいです。

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機能形態学・前半
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<1>器官系・器官・組織

細胞・細胞間質→→組織→→器官→→器官系→→個体

器官系
(種類)
骨格系・筋系・神経系・感覚器系・内分泌系・循環器系・血液造血器系・呼吸器系・消化器系・泌尿器系・生殖器系

(器官系に属する器官の種類)
循環器系:心臓、動脈、静脈、毛細血管、リンパ管
血液造血系:血液、骨髄、脾臓、胸腺
呼吸器系:鼻腔、咽頭、喉頭、気管、気管支、肺
消化器系:消化管(口腔から咽頭、食道、胃、小腸、大腸へと続く管
     消化腺(唾液腺、肝臓、膵臓。消化液を分泌する)
泌尿器系:腎臓(尿の生成)、尿管・膀胱・尿道(尿を通す管)
生殖器系:男性の生殖器→精巣・睾丸・陰茎
     女性の生殖器→卵巣・卵管・子宮・膣

(器官系の機能
循環器系:
心臓は血液を全身に送り出す。毛細血管は、血液と組織とのガス(酸素と二酸化炭素)交換や、栄養・老廃物の移動を行い、体温を放散する。リンパは脂肪の輸送と免疫応答を行う。

血液造血器系:
血液中の赤血球は、ヘモグロビンが、酸素と結合して酸素を運搬。白血球は、免疫。血小板は血液凝固。
造血器官である骨髄は、血液細胞を作る。脾臓の赤脾随は、マクロファージが老化した赤血球を食べ、白脾随はリンパ球を作る。胸腺は、リンパ球をT細胞に変え、免疫を担う。

呼吸器系:
気道は、空気の通り道。気管支の終末である肺で、ガス(酸素と二酸化炭素)交換する。鼻腔は、嗅覚を感知する。喉頭は、発生器官でもある。

泌尿器系:腎臓は尿を生成し、有害物質や代謝産物、老廃物を排泄する。

生殖器系:種の維持


➁組織

上皮組織・支持組織・筋組織・神経組織

「上皮組織」
全ての表面を覆う膜状の層を、上皮組織と言い、この細胞を上皮細胞と言う。上皮組織は、扁平上皮・円柱上皮・移行上皮に分けられる。

(扁平上皮):
単層扁平上皮(薄い)→
胸部・腹部の内臓の表面、血管とリンパ管の内面

重層扁平上皮(厚い)→
皮膚、口腔、食道、直腸下端部、膣粘膜。物理的化学的刺激に強い。皮膚は、角化重層扁平上皮という。

(円柱上皮)
単層円柱上皮→
胃、腸の粘膜。円柱状の細胞。物質の吸収分泌

線毛上皮→
単層円柱上皮上に線毛。気管、気管支、卵管の内面面。

(移行上皮)
伸縮性の高い特殊な上皮。小さい円柱状細胞が重なり、大きなドーム状の細胞がその上を覆う。尿管や膀胱。

「支持組織」:
体の支柱になり、各部の結合に働く。細胞間質が豊富で、多量の線維が存在する。細胞間質の性質から、結合組織・軟骨組織(耳など)・骨組織、の3つに分けられる。

<2>ホメオスタシス

恒常性維持。環境因子の変化に関わらず、生体の状態が一定に保たれる事。体温・血圧・体液組成(酸素、炭素ガス、電解質、栄養素)、浸透圧、体液量、病原微生物の排除、傷の修復など、生体機能全般に及ぶ。

➀ネガティブフィードバック:
生体の状態が変化した時、それを元に戻そうとする作用。制御機構。この調節は、自律神経系(交感神経・副交感神経)、内分泌系(ホルモン)、免疫系で行う。

➁人体の制御機構
センサー:受容器(変動感知)→制御系(ズレ検出)→非制御系:効果器(ズレ修正)

<3>血糖の調節

食事により血糖値が上昇→→膵臓B細胞がインスリンを分泌→→筋細胞・肝細胞・脂肪細胞が血糖を取り込む→→血糖値が下がる

血糖値が低下→→膵臓A細胞からグルカゴンが、副腎髄質細胞からアドレナリンが分泌→→肝細胞のグリコーゲンがグルコースに分解される→→血糖値上がる。

<4>体温の調節

人の体温は通常約37℃。人は、エネルギーの75%を体温維持に使っている。体温を維持する目的は、代謝を効率的に行う為である。

➀気温変化・体温変化→温度受容器が検知→体温調節中枢→遠心路→効果器による反応

➁産熱量(体内で産生される熱量)と、放熱量(体外に放散する熱量)は、等しい

③体温の産出
*熱産生反応:食事により得たATPやクレアチンリン酸を使い、代謝によって、エネルギーが産出される。このエネルギーは、外的仕事に20%、熱産生に80%使われる。

④体温の放散
*熱放散反応:体表面から、熱が放散されている反応。基本的に常に起こっている。
*水分蒸発による放散(蒸散性熱放散)・・発汗がなくても、不感蒸散により、常に放散
*伝導・放射・対流(非蒸散性熱放散)・・環境温度が体温より低い場合に行われる。
*皮膚血管反応:体温調節の為に、皮膚血管に起こる反応。皮膚血管が拡張すれば熱放散が起こり、血管が収縮すれば熱放散は抑えられる。

➄(熱を産生する為の)代謝調節に関わるホルモン
*視床下部・・・摂食中枢がある。
*甲状腺ホルモン・アドレナリン・ノルアドレナリン・成長ホルモン・性ホルモン

⑥体温の変動
概日リズム:24時間周期のリズムのこと。サーカディアンリズムとも言う。人の体温は、午前4時が最も低く、午後4時が最も高い。差は1.5℃。

体内(生物)時計:人の体内にある、概日リズムを作るシステムのこと。視床下部にある。体温が上がると、松果体でメラトニンが合成され、体温低下が起こると共に、催眠作用が起こる。メラトニン合成は光により抑制される。

女性の基礎体温:排卵後上昇し、月経時に再び低下する。黄体ホルモンが関わっている。

<5>循環器系(心臓・血管・血液・リンパ管)

ガス交換・栄養分の運搬・代謝廃物(老廃物)の運搬・ホルモンを臓器に運ぶ。
*血液:5L、全体重の8%。心拍出量は5L/minなので、全血液量が1分間で心臓から出される。体循環と肺循環があり、常に全身を循環

*血液の流れは、下記の通り。
<静脈血:CO2多い>全身→大静脈→右心房→三尖弁→右心室→肺動脈弁→肺動脈→肺
<動脈血:O2多い>肺→肺静脈→左心房→僧帽弁→左心室→大動脈弁→全身

*リンパ管:毛細血管から漏れ出た組織液を、静脈に戻す


「心臓」
*場所と大きさ:縦隔にある。中央よりやや左。大きさは握りこぶし。
上部(血管出入り口)は心底、左下部は心尖。

*4つの「弁」:心房と心室の間は、左に僧帽弁、右に三尖弁。大動脈の出口は大動脈弁、肺動脈の出口は肺動脈弁。動脈弁は3つの半月状の弁膜で出来ていて、血液の逆流を防ぐ。

*壁:三層から成る(心外膜・心筋層・心内膜)。心房より心室の壁のほうが厚い。特に左心室の壁は厚い。

*刺激伝達系:心臓の収縮を起こす電気シグナルの仕組みのこと。

左右の心房・心室は、ほぼ同時に収縮する。
心臓壁に存在する「特殊心筋細胞」が、電気シグナルを心筋全体に伝える。

*電気シグナルの伝導順
洞房結節(ペースメーカー)→心房の心筋→房室結節→ヒス束→プルキンエ線維→心室の心筋

*電気シグナルの生成と伝搬:
細胞内は負電荷で静止膜電位状態。刺激により、膜のイオン透過性が変化しNa+が入ってくると、脱分極を起こし、活動電位発生。これがシグナルとなり、心筋収縮を起こす。

「血管」
*血液の流れは、動脈→細動脈→毛細血管→細静脈→静脈。
*血管の機能は:動脈(血圧の調整)、静脈(容量血管)、毛細血管(物質交換)
<動脈>
*構造:3層(内膜・中膜・外膜)からなり、その間は弾性板でわけられる。
*内膜:内皮細胞・内膜化組織・基底膜からなる。
*中膜:平滑筋細胞・膠原繊維のマトリックスからなる。太い弾性動脈の中膜は弾性繊維を多量に含み、心拍出力のエネルギーを蓄える
*外膜:血管・神経・線維芽細胞などからなる。
*機能:小動脈と細動脈は、1~数層の平滑筋細胞を持ち、平滑筋の収縮・弛緩により血圧の調節を行う。(平滑筋収縮→血圧上昇、平滑筋弛緩→血圧下降)。血圧調節をするこの細動脈は、毛細血管になる前の血管で、抵抗血管とも呼ばれる。

<毛細血管>
*構造:壁は1層の内皮細胞から成り、薄く、内径は変化しない。枝分かれがあり、細胞間に広範な毛細血管網を作っている。
*機能:様々な物質やガスが通り抜けるところ。物質交換の場。

<静脈>
*構造:筋組織や弾性線維の発達が悪く、内膜中膜外膜の区別が不明瞭。
    逆流を防ぐ為、四肢や太目の静脈には、弁がある。
    血圧が低く血流がゆったりである為、血栓ができやすい。
    表在性(体の表面)の静脈には、静脈瘤ができやすい。
*機能:容量血管として働く。静脈の壁は薄く伸びやすいので、血液を大量にためることができるから。全血液量の70%は、静脈内にある。

<門脈>
血液が心臓に戻らず、肝臓に行く事。その通り道の事。肝門脈ともいう。*胃・小腸・大腸・脾臓・膵臓の血液は、門脈に入る。
*肝臓に入った門脈は、小葉間静脈→洞様毛細血管→中心静脈→肝静脈→下大静脈、と流れていく。


「血圧」
*収縮期血圧と拡張期血圧の2つがある。
*血圧=心拍出量×総末梢血管抵抗
*心拍出量=一回拍出量×心拍数(脈拍数)
*心拍出量を規定する因子:心拍数・心収縮力・静脈還流量(前負荷)・末梢血管抵抗(後負荷)
*血管抵抗は、(血液の)粘性に比例し、(血管の)半径の4乗に反比例する。
*血圧の調整には2種類ある:神経性調整因子と液性調整因子。

神経性調整」=「自律神経系と圧受容器反射」
*自律神経(交感神経と副交感神経)による、拮抗的二重支配。
 交感神経は、心拍数を増加し、心収縮力を増大させ、血管を収縮させる。
 副交感神経は、心拍数を減少させる。
*圧受容器反射は、以下の流れ:受容器(頸動脈洞・大動脈弓)→求心路(舌喉神経・迷走神経)→中枢(孤束核・血管運動中枢と迷走神経運動核)→遠心路(交感神経・迷走神経)→効果器(心臓・血管)
*血圧が下降した場合と、上昇した場合の、圧受容器反射について、別紙表で確認。

「液性調節」
*昇圧因子(血管を収縮させるもの):カテコールアミン・アンジオテンシンⅡ・エンドセリン・パソプレッシン・セロトニン・トロンボキサンA2
*降圧因子(血管を拡張させるもの):一酸化炭素・ブラジキニン・心房性ナトリウム利尿ペプチド・プロスタグランジンI2・アドレノメデュリン*レニン・アンジオテンシン系の働き

「高血圧」
*血圧値は連続性の分布を示すので、どの血圧値から高血圧とするかは、人為的に決められている。我が国では、2009年のガイドラインに基づく。
*高血圧の病態:高血圧には、多くの要因が関係している。(遺伝的要因・環境要因(生活習慣))
*環境要因(生活習慣):食塩の摂取、過剰飲酒、肥満、運動不足、ストレス
*高血圧の治療:生活習慣の修正(食事、体重、運動、アルコール制限、禁煙)
*降圧剤:カルシウム拮抗薬、アンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、利尿薬、B遮断薬
*自律神経による血圧調整:
 副交感神経:アセチルコリン
 交感神経:カテコラミン(ノルアドレナリン、アドレナリン、ドーパミン)


<6>消化器系

消化管:外界に開いた中空の管。口から肛門まで9m
口腔→食道→胃→十二指腸→小腸→大腸→肛門

消化腺唾液腺(唾液)・肝臓と胆嚢(胆汁)・膵臓(膵液)

口腔:硬口蓋・軟口蓋・口蓋扁桃(扁桃腺)・顎下腺開口部など
口腔扁桃はリンパ組織。口腔内に侵入する微生物を防御する

*唾液腺は3カ所。耳下腺(25%)・顎下腺(70%)・舌下腺(5%)。粘液細胞(ムチン)や漿液細胞を含む。耳下腺炎(おたふく風邪)は、耳下腺にムンプスウィルスが感染する事により生じる。男性の場合、不妊症になる可能性がある為、ワクチン接種が薦められる。

咽頭:嚥下(えんげ)運動で、ものを飲み込む際、軟口蓋が上がり、喉頭蓋がされ、食物が気管に入るのを防ぐ。誤嚥とは、喉頭遮断不完全により、食物が気管支に入る事。

食道:咽頭と胃をつなぐ25㎝の管。重層扁平上皮細胞からなる。筋肉は内側から、粘膜下組織・アウエルバッハ神経叢・輪走筋・縦走筋。食道の最下部には食道括約筋があり、これが十分に収縮しないと逆流性食道炎になる。

:1~1.5L。上から噴門・胃底部・胃体部・幽門。小さいほうの湾曲を小弯、大きい方の湾曲を大弯。
*胃腺:外分泌腺で強酸性。殺菌作用ペプシノーゲンをペプシンに変換、プロトン分泌

副細胞(粘液)・壁細胞(塩酸と胃内因子)・主細胞(ペプシノーゲン)
  噴門腺:腺細胞(粘液)
  幽門腺:G細胞(ガストリン)

小腸:胃から続く6~7mの消化管。食物の消化と吸収の大部分を行う。
十二指腸・空腸・回腸に分けられる。

*小腸全体の組織構造:内側から、粘膜・マイスナー神経叢・筋層(輪筋層・アーユルバッハ神経叢・縦走筋)

*小腸の上皮細胞は3~5日で新しい細胞に入れ替わる

*小腸には、リンパ小節が集まってできたパイエル板がある(小児のIgA産生に関与)

*十二指腸:胃から続く25㎝の消化管。後腹壁に固定。十二指腸腺(ブルンネル腺)はアルカリ性の粘液を分泌し、胃酸を中和する。

*空腸:輪状のひだ構造。腸繊毛に微絨毛(刷子縁)を持つ。この刷子縁により、表面積が600倍に増え、小腸からの栄養吸収を担う。


⑧大腸

結腸・直腸・肛門から成る。
*小腸で吸収されなかったセルロース(炭水化物)が、腸内細菌により低鎖脂肪酸に変えられ、大腸で吸収される。

排便反射:直腸に便の塊が押し込まれると、直腸壁が進展し、排便反射の求心路(腸から脳へ向かう神経)が興奮する→興奮が遠心路(脳から腸へ向かう神経)に伝わり直腸の蠕動運動を更新する→内肛門括約筋を弛緩させる。成人は、外肛門括約筋を収縮させ、排便を中断する事ができる。

⑨肝臓

<肝臓の構成>
表面に右葉左葉、後方に尾状葉方形葉。この4つからなる
胆管・門脈・肝動脈が肝門から肝臓に出入りする
肝細胞が50万個集まって肝小葉になり、肝小葉が50万個集まって肝臓になる
肝臓は血管系の塊であり、機能血管(門脈)と栄養血管(肝動脈)がある。
*門脈:栄養素や薬物を肝臓に送る
*肝動脈:細胞や栄養を肝細胞へ送る

*門脈には短い導入血管が並列に出て類洞に繋がり、類洞は肝静脈に繋がる。類洞にはクッパ―細胞やナチュラルキラー細胞が存在し、異物や腫瘍細胞を取り省く

<肝臓は胆汁を生成する>
<胆汁>
*肝臓で生成され、胆のうで濃縮され、十二指腸へ分泌される
*胆汁酸と胆汁色素を含む
 胆汁酸:コレステロールから生成される(リトコール酸からウルソデオキシコール酸が生成される)。
両親媒性で界面活性作用を持つ為水中では乳化され、脂肪酸やモノグリセリドやリン脂質とミセルを形成する。小腸で脂質が吸収される前にミセルから遊離し回腸で吸収される。

 胆汁色素:主成分はビリルビン(ヘモグロビンの分解産物)。腸内細菌の作用によりウロビリノーゲンになり、大部分は糞便中に排泄される。

<肝臓は代謝作用を持つ>
異物の代謝:薬物や有害物質(アルコール等)を水溶性にし代謝する。薬物はシトクロムP450(CYP450)酵素により酸化する。
タンパク質の代謝:アミノ酸を分解しエネルギーとして利用、糖や脂肪に変換
糖代謝:グルコースからグリコーゲンを合成し肝臓で貯蔵。血中グルコース値が低下した場合、逆に貯蔵グリコーゲンからグルコースを合成する。
(解糖系)1つのグルコースを分解し2つのATPを生成
(TCA回路)解糖系最終産物がミトコンドリアで代謝され2つのGTP生成
(電子伝達系)TCA回路最終産物から34個のATPを産生
(ATP/GTPは生体を動かすエネルギー)

脂肪の異化:脂肪細胞(トリグリセリド)はグリセロール脂肪酸に分解される。
・グリセロールは解糖系(エネルギー産生に糖利用)へ入る。
糖が利用できない場合は、脂肪酸がエネルギー源となる。脂肪酸はリパーゼに代謝されβ酸化によりアセチルCoAへ、アセチルCoAはケトン体へ、更に再びアセチルCoAに戻りクエン酸回路へ入る。


⑪膵臓

後腹膜にある臓器。長さ15cm。外分泌腺と内分泌腺の両方を持つ。
*外分泌腺:分泌された物質が何等かの導管を通る。
*内分泌腺:直接血中に分泌され、導管は通らない。

膵臓の外分泌液:
α-アミラーゼ(炭水化物分解酵素)  
トリプシン・キモトリプシン(タンパク質分解酵素)
リパーゼ・ホスホリパーゼA2(脂質分解酵素)
(タンパク質分解酵素が過剰に分泌されると膵臓細胞が傷つき膵炎になる)

膵臓の内分泌液:ランゲルハンス島から分泌される。α・β・δ細胞がある
α細胞:グルカゴンを分泌。グリコーゲン分解を促進(血糖値上げる
β細胞:インスリンを分泌。グリコーゲン合成を促進(血糖値下げる
δ細胞:ソフトスタチン分泌。α・β細胞の抑制、腸管運動・消化液分泌抑制


<7>泌尿器系

泌尿器系とは、腎臓・尿管・膀胱・尿道のこと。
摂取した物質を含んだ血液をろ過し、尿として排泄する器官。

➀腎臓の構造
こぶし大。表層は皮質(ネフロン=腎小体+尿細管)、内層は髄質。
腎小体=糸球体+ボーマン嚢
尿細管=近位尿細管+ヘンレループ+遠位尿細管

➁腎臓の働き
原尿180Lが生成されるが、その99%が再吸収(水分・ブドウ糖・アミノ酸・Na・Cl)される。
*排尿に関する機能:体液量・体内浸透圧・pH・電解質を一定に保つ。不要なものを排泄する
*排尿以外の機能:レニン・エリスロポエチン・活性型ビタミンD分泌

③再吸収と分泌
再吸収=物質が尿管から血管へ移行分泌=物質が血管から尿管へ移行
1.血液中の物質は糸球体で、一旦水と共にろ過されボーマン嚢へと押し出される。糸球体は血管、ボーマン嚢は尿管(ネフロン)に繋がっている。
2.ボーマン嚢から尿管へこの原尿が流れていく過程で、溶けている物質の多くが再び血管に再吸収される。最終的に尿になるのは原尿の1%。
3.尿管のどの位置で、何がどれだけ再吸収されるのかが重要。同時に、血管から尿管に更に分泌されるものもあるので確認する。

*近位尿細管:
(再吸収)アミノ酸・グルコースは99%。水・Na⁺・Cl⁻は60~70%。
(分泌)老廃物・薬物

*下行ヘンレループ:
(再吸収)水・Na⁺・Cl⁻

*上行ヘンレループ:
(再吸収)Na⁺・Cl⁻ (←水は再吸収されない!不透過!

*遠位尿細管と集合管:
(再吸収)水・Na⁺・Cl⁻
(分泌)K⁺・H⁺・薬物

4、輸送方法:グルコースとNa⁺は能動輸送。他は受動輸送。

④腎臓の体液恒常性の維持について
体の水分量は体重の60%。うち、細胞内液は40%、細胞外液は20%。
細胞外液は、間質液(細胞膜と血管壁に囲まれた部分の液)と血漿からなる。間質液が増えて貯まった状態を浮腫という。
*細胞内液・間質液・血漿にそれぞれ含まれる物質
(細胞内液)K⁺・Ca2+
(間質液と血漿)Na⁺・Cl⁻・HCO3⁻

*体液恒常性維持
ADH(パソプレッシン)は水の再吸収を促進。抗利尿ホルモン。

大量に水を飲む→細胞外液の血中Na⁺濃度が減少→血漿浸透圧が減少→視床下部の浸透圧受容体が感知しADHの分泌が抑制される→集合管での水の再吸収が抑制され(余分は水が尿中に排泄され)、血漿Na⁺濃度が増加(回復)。

レニンーアンジオテンシン系の働き
血管を収縮させ、尿量を減少させる。
アルドステロンを分泌促進し、尿量を減少させる。
抗アルドステロン薬は、利尿薬の1つ。
アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬は、降圧薬の1つ。


<8>生殖系

➀男性生殖器:

*精巣・精巣上体・陰嚢・精管・前立腺・陰茎
*精巣の機能:ライディヒ細胞でのテストステロン生成。精巣間での精子形成。セルトリ細胞による精細胞の支持。

*テストステロンの作用:異性への性分化。男性器の発達、二次性徴。精子形成。タンパク同化作用。

➁女性生殖器:

*卵巣・卵管・子宮・膣
*性周期は4つの性腺刺激ホルモンに制御されている。
エストロゲン:卵胞ホルモンのこと。
プロゲステロン・黄体ホルモンのこと。性周期後半を担当
FSH:卵胞刺激ホルモン。下垂体から分泌。排卵促す
LH:黄体化ホルモン。下垂体から分泌。排卵促す

*性周期
前半(月経から2週間):エストロゲン分泌が増加。子宮内膜徐々に厚く。
排卵:エストロゲン高値が1週間続くとLH・FSHが分泌され排卵に至る。
後半(排卵から2週間):プロゲステロン分泌が増加。エストロゲンも。
月経:エストロゲン・プロゲステロン共に減少。内膜が剥離し月経に至る。

*基礎体温:
プロゲステロンの代謝産物により基礎体温が上昇する。
・よって性周期後半(排卵から月経まで)は高温期になる。
・妊娠に至らなければ、月経時にプロゲステロンは減少、体温は低下
・妊娠に至れば、プロゲステロンは分泌され続ける為、高温期が続く

*妊娠:
・排卵により卵巣から放出された卵子は卵管内で成熟卵子となる。送られてきた精子と受精が行われると、受精卵となり、子宮体に着床する。
・子宮内に胎盤が作られる。胎盤は胎児と母体を繋ぐ円盤状の構造で、胎児側からは炭酸ガスと老廃物を母体血へ、母体血からは酸素と栄養を胎児側へ送る。母体と胎児の血液が直接混じる事はない。
・胎盤で分泌されるホルモン
ヒト繊毛性胎盤性コナドトロピン(hCG):受精卵着床後、黄体機能維持。
プロゲステロン:オキシトシン感受性を低下させ、子宮収縮を抑制。



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