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【エッセイ】テレキャスターな気分。


高校生の僕が聞いたら、きっと呆れる。
あの頃の僕はGibsonのレスポールに恋焦がれすぎて、穴が空きそうだったから。


飴色のボディ。重厚なサウンド。先輩に貸してもらったGibsonは、何よりずっしりと重かったことだけ、今も覚えてる。


大学生の時、じーちゃんに連れて行ってもらった御茶ノ水の下村楽器。ネックを握ると心がじわじわとして、落ち着かなくて。試奏して、何弾いていいかわかんなくて、できるだけ上手くみえるようなリフをポロポロポロ。


ほら、口の端が緩んでしまう。
初めて中古で買った濃い茶色のGibsonレスポールスタンダードは、何より艶っぽい音がしてた。


もう十何年も、ギターを弾いてない。レスポール、手放さなきゃよかった。そして気付けばもう公民館でギターの弾き方教えてくれたバンド好きのおっちゃんの歳に近くなってきちゃったぜ、おい。どーすんだ。


うまく言えないけど、今もう一度ギターを弾くなら、ひょいと軽くて、ネックが細くて握りやすくて、掌の小さい自分の丈に合うような、コンパクトなギターがいい。


薄いクリーム色か、真っ青の、テレキャスターをかき鳴らして、ジャカジャカさせたい。しがらみをぜんぶ振り払ってくれるような、鋭さが欲しい、軽快さが欲しい。シンプルイズベスト。テレキャスターな気分。

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