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食卓のちから   〜好き嫌いよりも大切なこと〜

今日の担当は、じゅんこ先生。
急な告知にも関わらず、対面で6名、オンラインで2名のお母さんにご参加いただきました。
佐藤剛史先生の「地頭のいい子を育てる食卓の力」、
佐々木正美先生の「子どもへのまなざし」から学んだことや、
じゅんこ先生の経験談、みなさんの食卓事情のおしゃべりで、
あっという間の1時間でした。

子どもの味覚の育ち

「味蕾(みらい)は、子どもの未来!」なんて、園長はダジャレを言っていましたが、味蕾という味の細胞が、脳に味の情報を伝えているそうです。
味蕾は、なんとお母さんのお腹に中にいるとき(7週目)から作られ、
14週には、大人とほぼ同じ構造に成長。
生後3ヶ月をピークに増えていくそうです。

そんな、味覚が敏感で、味細胞が多い幼少期では、
もしかすると「好き嫌い」があるのは当たり前なのかもしれません!

また、味を覚えることが大切な幼少期。
インスタント食品や、甘い食べ物など、味の濃い刺激が入りすぎると、
味覚が偏り、濃い味付けにしか満足できなくなってしまう・・・なんて聞くと、味付けも気をつけたいものです。

嫌いなものよりも、好きなものを!

以前、3歳のクラスを覗いたときに、一つのおかずをちょっとずつ辛そうに食べている子がいました。
「ムリしなくていいよ」と声をかけると、
「たべないとママがかなしむから・・・」と言って、一生懸命食べようとしていた3歳児。

佐々木正美先生の本によると、
「おいしく食べないと唾液も出づらい」とのこと。

好きなもの(食べたいと思うもの)を喜んで食べる
 →消化吸収がされる
  →栄養になる

やきりようちえんでは、苦手な食べ物も試してみることは勧めますが、
「絶対に残してはいけない!」という働きかけはしていません。
幼稚園のお弁当では、子どもたちが安心して食べられるものを、ぜひ入れてあげてください。

私たちは食卓の雰囲気も食べている

整体師の山上亮先生の「子どものしぐさはメッセージ」という本の中には、「子どもの動作」(のぼる、ころがるなど)の意味が書かれていて、とても興味深い視点ばかりです。
その中の「たべる」という行為の意味に、

何かを「たべる」とき、わたしたちはいったい何をたべているのだろう?
子どもたちはいったい何をたべて育っていくのだろう?
・・・
「たべる」という行為は、食べものも含めたその場の雰囲気全体を食べているということである。
その食卓を彩る料理の数々や、食卓を囲む家族の笑顔、そしてそこで語られるおしゃべりも含めて「たべている」のだ。

とありました。
こういう話を読むと、改めて
「おいしく、喜んで食べる」ことの大切を感じずにはいられません。

じゅんこ先生の経験から

戦争の5年後に生まれたころは、決して裕福な時代ではありませんでしたが、みんな「生きよう」という気持ちで、毎日を生きていました。

小学生のころ、バナナは遠足のときの特別なおやつだったり、ゆで卵は姉妹で半分こでした。
冬にきゅうりやトマトはないし、おしゃれなおやつなんてなかった時代。
毎日のごはんは、いつも楽しみでした。

毎日の食卓に、必ず味噌汁が出たのですが、父が
「うまいなぁ!!こんなうまいスープは、パリの一流のレストランに行っても食べられないよ!!」
と、いつも言っていたのを覚えています。
3姉妹、家族での食事は、とにかくよくおしゃべりし、みんなで楽しく食べていました。

「子どもへのまなざし」の中に、
「豊かな社会がもたらしたもの」という投げかけがあります。
コンビニにファミレスでは、すぐに食べ物が食べられるし、
スイッチ一つですぐに調理ができる、など便利な世の中ですよね。

佐々木先生は、そういった豊かさによって、
子どもたちが「ガマンができなくなる」ようになると、1990年代に主張していました。
思いやりや優しさが減ってしまったり、衝動性が増えたりするいうような予想は、最近のニュースを見ていてドキッとするものがあります。

佐藤先生の本の中にあった「女子少年院」の子どもたちの話には、
「彼女たちは、親に愛されたことがないのです。
中には、お母さんのご飯を食べたことがない子もいます。」という職員さんの言葉が載っていました。

この二人の先生に共通しているのは、
「食事は見えないメッセージです」ということです。

「ごはんだよー!」という親の呼びかけは、
「あなたが何よりも大切よ」という目に見えないメッセージです。

好き嫌いや、栄養のことも、もちろん子どもの育ちで大切なことですが、
毎日の食卓は、それ以上の力を持っています。
家庭ひとつひとつ、みんな違うけれど、ぜひ心に止めてほしいと思います。

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