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大学院進学率の低下について考える

まずは私の記事に来てくださりありがとうございます

今回は大学院進学率低下の原因について考えてみました。この記事を読むことで、日本ではなぜ、大学院の進学率が低下しているのか
について理解していただけると思います。

そもそもこの記事を書くきっかけについて
私は大学生の時に大学院に進学したいと思っていました。しかし、大学院に進学するための学費や、2年間分の生活費を賄わなければならないということ、進学した後、就職についても厳しくなるのではないかと考え諦めてしまいました。

私の専攻は心理学でした。心理学は文系に区分されるのですが文系の修士卒の就職活動について調べてみると、かなり厳しいものになるということを知り進学の道を諦めることにしました

そこに、大学院の進学率が低下しているというニュースを見て、世の中の人はどのような理由で大学院を行かない選択をしたのかを調べてみたいと思ったのがきっかけです。


大学院で学びたい学生は多い

大学院への進学希望者の割合は、理系と文系で大きく異なる。全体では62.3%だったものの、理工・農学系では84.5%と高く、人文・社会系は25.8%と低い。

その一方で大学院への進学を希望しない学生のうち、「これまで一度でも大学院への進学を考えたことがある」と答えた割合は54.6%に及ぶ。最終的には大学院進学を選ばなかったものの、大学院で学びたいと考える学生が多いことがわかる。

全国で大学院に進学している割合はどれくらいなのか。文部科学省が実施した2022年の学校基本調査によると、大学の学部から大学院等への進学率は12.4%だった。前年よりも0.6ポイント上昇しているものの、2010年度の15.9%をピークに減少傾向が続いている

大学院重点化政策の失敗

日本では1990年代から国の研究力を一段と高めるため、大学院重点化政策が実施されたことで、大学院が増設され、大学院生は急増した。博士課程の入学者(修士からの進学と社会人の進学)は、1992年度まで1万人以下だったのが急増して、2003年度には1万8000人を超えた。

ところが、博士課程で学ぶ大学院生の増加は、結果的に博士号取得者の
”供給過剰”につながった。就職先がない、もしくは正規の教員になれない人が続出し、任期付きの研究職で働くポスドクが増えて、いわゆる

「高学歴ワーキングプア」を生み出した。

政策によって大学院生を増やしたにもかかわらず、受け皿が用意されなかったのだ。

しかも、他の先進国が大学の論文数を増やす中で、日本の論文数は増えなかった。国際的なシェアが低下し、研究力が低下したと言われるようになった。大学院重点化政策は「失敗した」と指摘されることが一般的だ。博士課程に進む人は2003年度をピークに減少し、現在の博士課程入学者は毎年1万4000人程度で推移している。

2023年3月に「全国院生生活実態調査」の結果が発表された。これは全国大学生協連が2年に1回実施しているもので、今回の調査は2022年秋に行われ、全国の院生4645人から回答を得た。

調査は研究活動に関することから、就職活動、経済事情まで多岐にわたる。この中で、悩みやストレスの原因についての質問では

「生活費や授業料などお金に関すること」

の割合が、前回調査に比べて大幅に増えていた。

1点目は生活費の確保だ。修士課程の学生の収入では、前回と比較して「仕送り・こづかい」が減少し、「アルバイト収入」が増加している。研究活動と両立させるために、苦心している学生が少なくないようだ。

2点目は、研究費の自己負担が増加していること。専門書や参考文献などの書籍代、学会費、調査費用など全ての項目で自己負担は増えている。

もちろん、新型コロナの影響が薄まったことで、研究活動が通常に戻りつつあったことは要因の1つだろう。ただ、大学や学部、研究室によって格差が生じているのも事実だ。

3点目は奨学金の返済負担。返済が必要な貸与型と、返済がいらない給付型を含めた受給率は38.7%と4割近い。貸与型奨学金を受給している割合は、自宅生よりも下宿生や寮生の方が高くなっている。

また、別の調査では、大学院生が多額の借入金を抱えている実態も明らかになった。文部科学省科学技術・学術政策研究所による「博士人材追跡調査」では、2021年度に修士課程を修了した人を調べたところ、返済義務のある奨学金や借入金を抱えている人の割合は33.7%と、全体の約3分の1を占めた。

さらに、借入金がある人のうち、総額が「300万円以上」と答えた人が45.2%にのぼった。高額な借入金を抱えている人が、一定数存在しているのだ。

研究者の「使い捨て」も問題に

最近は研究者の「使い捨て」も問題になっている。非常勤講師については5年、研究者については10年を超えて勤務することで、無期雇用に転換できる権利を得られることが法律で定められている。にもかかわらず、大学によっては5年や10年を迎える前に雇い止めされる事態が起きているのだ。

契約期間が10年を超える有期雇用の研究者や非常勤講師が、無期雇用転換の権利を得る「10年ルール」。その適用が4月から始まる前の3月末に、予想された通り、研究者らの雇い止めが多数発生している。雇用の継続を求め、提訴した研究者らは少なくない。大学側の方針の一貫性のなさに、振り回される事例も

問題の発端は、2013年4月に施行された改正労働契約法だ。有期雇用の期間が5年を超えた労働者は、無期雇用への転換を求められるルールができた。

長期間のプロジェクトも多い研究者は、特例で期間は10年超とされた。このルールの適用開始が施行10年後の今年4月のため、直前の大量雇い止めが懸念されていた。結果的には懸念されていた通りのこととなってしまっている。

「10年ルール」対象は1万2000人超 見通しあるのは半数足らず

10年ルールの対象者は全体で何人いるのか。文部科学省は昨年9月、全国の大学や国立研究開発法人を調査した。回答のあった681機関で計1万2137人。このうち、無期転換が見込まれるのは44.7%、無期転換の契約を結ぶ予定のある人は3.9%で、先々の見通しがあるのは半分に届かない。

これに先立つ昨年5月、文科省は国立大学など機関別に、今年3月末で雇い止めになる恐れがある数を参院内閣委員会に提出した。大学別で最多は東京大の346人だった。

ただ、4番目に多い126人だった大阪大では、この人数にカウントされずに、3月末で雇い止めになった非常勤講師たちがいる。

「阪大は非常勤講師を個人事業主扱いし、業務委託の契約を結んでいた。労働契約ではないとして、数字に入れなかった。実態より少なく見せかけたいからでは」と、3月末まで阪大外国語学部の非常勤講師を務め、雇い止めにあった新屋敷健さん(62)。同学部だけでも雇い止め対象の非常勤講師は70〜80人いたといい、先の126人と合わせれば、少なくとも200人前後に増えるという。

この記事の中にあった言葉で納得した言葉がある
「人を大切にしない業界に人材は集まらない。博士課程に進む人は減り、海外での活動を視野に入れる研究者もいる。高度人材が不足していけば、さまざまな分野や業界に影響が出るだろう」

有能な人材を自ら手放すようなことをしてしまい、結果的に自らの首を絞めているのかもしれない。

結論


日本の大学生は大学院に進学したいと思っているが、実際に進学している人は12% 程度に落ち込んでいる。修士課程から博士課程に進学する割合は10.3%。16.9%だった1994年度以降、長期的に減少傾向が続いており、近年は10%前後で推移している。

現状でも、奨学金の返済などによって将来への不安を抱える大学院生が多い。
大学院生のうち、33%が奨学金を借りており、そのうち4割が300万円以上借りている。

その上、研究者の雇い止め問題などによって長期的に働き続けることができない。将来への不安などから博士課程に進む人も減少しているのではないか。


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