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助けてが言えない子供たち

二〇一八年、国は学校における自殺予防教育として「SOSの出し方教育」を実施する方針を打ち出した。しかし、そんな教育で簡単にSOSを出せるようになるほど、子どもたちは無邪気ではないし、安心してSOSを出せるほど社会が安全ではないことも知っている。
 実際、社会の至るところに「弱さ」に不寛容な文化がはびこっている。うっかり自身の弱さ、あるいは無知や無能力をさらけ出せば、嘲笑や叱責を受けかねない緊迫感は、少しも払拭されていないだろう。そのよい証拠に、学校は、「SOSを出していいんだよ」と猫なで声でささやきながら、それと同じ口で、「レジリエンス=折れない心を育む」といった、「折れなさ」「強さ」を美徳とするメッセージを声高に叫んでいるではないか?  大人たちはこうした矛盾にあまりに無自覚かつ鈍感すぎる。その意味では、自殺予防教育を提供すべき相手は、子どもではなく、子どもを支援する大人のほうだったのかもしれない。

松本 俊彦. 「助けて」が言えない---子ども編 (pp.1-2). 株式会社 日本評論社. Kindle 版.

今日読んでいた本の引用です
社会の至る所に「弱さ」に不寛容な文化が蔓延っている
弱さを受け入れ、認め、寛容になりたいと思っています

いつから不寛容になったか


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