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あなたの部下は、成長してますか?成果を出していますか?

はじめて部下をもった人に「人を育てるってどうしたらいいんですか?」と聞かれることがよくあります。
そのときには、「成長と成果を分けて考える」という話しをよくします。
「『成長する』のと、『成果を出す』って、同じことだと思う?違うことだと思う?」と聞き返すのです。

みなさんは、この2つを区別して使っていますか?

成長は、すべて本人の「感じ方」の問題

成長は、成長実感と言い替えるとわかりやすいです。
実感なので、すべて本人の「感じ方」の問題。
まわりがつべこべ言うことじゃない、ということ。
つべこべの中身には、本人ではなく周囲に向かって発する「あいつは成長してない」「あいつは成長しようとしてない」という言葉だったり、本人に向けての「あなたはじゅうぶん成長してると思うよ」「それも成長のひとつだよ」といった、ポジネガ両面の言葉が含まれます。

成長実感というのは、他の誰でもない本人の心の内で、過去からの進み具合や、未来への展望が見えている状態です。
ありていに言うと、モチベーションというやつです。
私は、「心に火がついている」なんて言い方をします。

ここで大事なのは、火の起こし方はなんでもよいし、もっと言うと、他者からはアンタッチャブルだということです。
さきほどの、「あなたはじゅうぶん成長してると思うよ」「それも成長のひとつだよ」という一見はげますような前向きな言葉であっても、下手をすると、「あなたにはわからないでしょ」というあからさまな拒絶や、そうでなくても「はあ…」という心ここにあらずな断絶を生むことになりかねません。

本人に成長実感を持ってもらうために、他者ができることというのは、成長実感そのものを高めることではなくて、「なにが本人の成長実感を高めるのか?」という、火種を見つけることです。
それを普段のやり取りのなかで見つけ出し、どんな仕事を任せるか考えるときや、面談で話すときに参考にするわけです。

仕事で求められるのは、成長ではなく成果

成長、すなわち成長実感が本人(だけ)のものである一方、他者と橋を架けることができるのが、成果です。
成果とは、本人云々は関係なく、ビジネスとして、あるいはチームとして求められる、達成すべき事柄。
ビジネスにおける人材育成とは、最終的には個人や組織の成果を上げることにつながっています。
成果を抜きにした、ハートウォーミングなだけの「人材育成っぽいなにか」は、まがい物です。

成果は、本人だけのものではなく、「わたしたち」にとっての共通言語なので、そこに対しては、しっかりと相手に要求すべきだし、してもいいものです。
できていること、できていないことははっきりと伝え、これからはどうすればいいかを、本人の状況にあわせてアドバイスあるいは指示する必要があります。

余談ですが、「厳しく接したほうがいいですか?優しく接したほうがいいですか?」という質問もよく受けます。
この質問は、「厳しさ」と「優しさ」を、同じ軸の両端と捉えているふしがありますが、そこが誤解のもとだと思っています。
「厳しさ」と「優しさ」は天秤にかけるものではなく、「成果には厳しく、人には優しく」と、両立すべきものです。

ただし、成果の難しいところは、そしてそれが成果を「わたしたち」のものたらしめている本質は、本人だけで決まるものではないという点です。
成果が出るかどうかは、周囲の環境を含めた多様なパラメータの組み合わせに左右されます。
本人にとってはもちろん、育てる側にとっても、アンコントローラブルな部分が大きいのです。

だとすると、育てる側が約束できるのは、どこなのか
成長は本人だけのものだし、成果は「やったら必ずうまくいく」わけではない。
成長と成果を両立させるために、育てる側が取り組むべき、もっと正確に言うと、「やれることの精一杯」はどこなのか、について次回書いてみようと思います。

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