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リスキリングが「いま」の見直しにつながる

リスキリング(Re-Skilling)という言葉をはじめて目にしました。日本語にするとなんとも発音しにくい言葉という、内容とは関係ない印象が、第一印象。

「リスキリング(Reskilling、Re-skilling)」という言葉は、日本ではまだ耳なじみがない。

英語では、もともと職業能力の再開発、再教育という意味合いで使われてきた言葉だが、近年は特に、社会のデジタライゼーションや企業のデジタル・トランスフォーメーション(以下 DX)戦略のなかで新しく生まれた職を得るための職業能力再開発、という文脈に特化して使われることが増えてきた。

Works Report 2020 リスキリング 〜デジタル時代の人材戦略〜』より

日本企業にいかにリスキリングを導入するか、という記事の一節。

日本企業は、”たくみ=匠”を大事にしてきた。
マニュアルではない、個人の暗黙知的な技でできることを称賛し、リスペクトしてきたのだが、一方でその技を”しくみ=仕組み”に変えてスケールアップすることを怠ってきた、というのが名和氏の分析だ。

「クリエイティブ・ ルーティーンという言葉があるように、クリエイティブなことも、ルーティーン化、つまり”型”化する必要がある。個人技で勝負してきた匠はそれを嫌がるかもしれないが、匠には、今年やったことは仕組みに落として、来年はもっと難易度の高いことをやってほしいと話すべきだ。それを聞いて意気に感じない人は いないはずだ」(名和氏)

Works Report 2020 リスキリング 〜デジタル時代の人材戦略〜』より

いろんな角度から読めるなと思いました。

”たくみ=匠”と”しくみ=仕組み”

組織の観点からは、いまやっていること(できていること)を構造化、言語化するという、業務内容の再構成の問題として。
個人の観点からは、「自分は、自分の仕事に”たくみ=匠”として取り組みたいか、”しくみ=仕組み”として取り組みたいか」という、キャリア観の問題として。

クリエイティブ・ ルーティーン

クリエイティブとルーティンという、いっけん相反していそうな要素を統合していることから、知的生産(クリエイティブ)とは何か、という問題(問い直し)として。
匠に対して「今年やったことは仕組みに落として、来年はもっと難易度の高いことをやってほしい」と話すことから、目標設定の問題として。

「”たくみ=匠”と”しくみ=仕組み”」や「クリエイティブとルーティン」という対比に共通しているのは、無意識(たくみ=匠)や即興(クリエイティブ)でやっていると思われていることを、いかに意識(しくみ=仕組み)や準備(ルーティン)に翻訳していくのか、という視線だと思います。

人材育成を、人から人に何かを伝えていくもの、と極めて広く捉えてみます。

そうすると、「いかに伝えるのか」という「伝え方」の問題はもちろん大切。でも、同時に問われなければならないのは、その手前である「伝えようとしているものは、『伝えられるもの』になっているのか」という、伝達内容(スキルだったりキャリア観だったり)そのものの良し悪しだったりします。

たとえば、インストラクショナル・デザインにおけるチャンクという考え方は、教える内容をいかに分解、パッケージ化するかが教える上では大切ということ。無意識や即興とは対極にあるわけです。

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