「月は無慈悲な夜の女王」(前半)

このSFが評価が高いそうなので、読み進めている。
名作SFを読んだことはあり、「夏への扉」「たったひとつの冴えたやり方」「ソラリス」「われはロボット」「幼年期の終わり」「2001年宇宙の旅」といった極めてメジャーなものばかりである。もともと正統派海外SFに詳しくはなく、むしろ、そういうものに影響を受けた日本国内の小説・漫画といったものに多く接してきた。
さて、標題の作品は、月世界で暮らす主人公らが、万能コンピュータを味方につけて、月世界政府の支配に対し反乱を起こし、これから地球に向けて攻撃する計画を進める……というところまで読み進めた。結末がどうなるのかは知らない。まあせっかくなので結末を予想してみてもいいだろう。
月から隕石を地球に落として攻撃する。その破壊力は相当すごいものである。その発射台が完成して、主人公たちは地球政府を脅すのだろうと推測できる。しかし主人公たちが地球を支配して(コンピュータのマイクとともに)、その後どういう世界・生活を望むのかはまだ分からない。主人公は、はじめ無機質的だったマイクと親友になり、マイクはやりとりの中でより人間に近い存在となっていく。だからこの後でマイクがますます進化を続け、ひょっとするととんでもない知能を身につけて、主人公たちに反逆することも有り得る。ただ「人間賛歌」の観点からすると、やっぱマイクが暴走する終わり方はダメかなと思う。本作はマイクが良い脇役であるが主役になってはまずいと思うので……。
今まで読んだ印象としては、マイクが人間っぽくなる過程を楽しめる、主人公やワイオや教授といった一癖ある人物たちが特技を活かして活躍する、という感じで、先が気になる展開だった。こういう宇宙を舞台にしたフィクションは、ハードSFという部類だと思うが、影響を受けた漫画やアニメなどでは必ずしも反乱、虐殺といった要素は多くなく、子供にも優しい味付けになっていることが多いだろう。今のところ私は特にハードSFに強く惹かれていないのだが、アメリカ式の言い回しというかジョークというか、インスピレーションを得られる要素も数多くある良い作品だと思っている。
続きは来週、全部読み終わってから書くことにしよう。

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