見出し画像

そんなことより金を掘りにいこうぜ!

YouTuberの「えらいてんちょう」氏が、動画のなかでこんなことを言っていた。「『ゴールドラッシュで一番儲けたのは、金脈を掘りにいった連中じゃなくてそいつらにツルハシを売った連中だ』っていうけど、金を掘りに行ったほうが楽しくね?」と。
 
まあ、いろんなことのアンチテーゼで言っているのだと思うのだけれど、確かに言われてみればそうだよな、とちょっと納得するところもあり。と同時に、これは「商売」というものの本質を示しているように思う。
 
商売というのはつまらない。これはもう本質的に、宿命的なもので、商売を成功させようと思ったら堅実にやるのが一番だから、どうしても地味になり、つまらなくなる。大当たりを狙ってリスクの高いことをやるのは楽しいが、それはちょっとビジネスとは違う。それは博打、要するにエンターテイメントにすぎない。

ちょっと前に、FXとかをやっているYouTuberである、JIN氏のチャンネルが好きでよく見ていた。FXの世界では、なんかちょっと情勢が動くたびに数千万円単位で資金が吹っ飛んだりして、なかなかダイナミック。資金が吹っ飛んだら異様に落ち込み、逆に大勝ちしたらドヤ顔で投資論とかを語り始めるのが面白く、しょっちゅう見ていた(見ているだけなら楽しいw)。もはや、JIN氏の顔芸を見ていただけともいえる。
 
そんなある日、JIN氏がプロのFX投資家と対談している動画を見た。そこでは、ふたりによってFXでの資産の増やし方というのがレクチャーされていた。曰く、「JINさんって本気で儲けようと思ってないでしょ?」と。JIN氏は、動画を面白くするためか、かなり多くの銘柄をもっていて、同時並行で色々やろうとしていたのだが、プロのFX投資家によれば、それだけの数の銘柄を追い続けるのは不可能だ、と。だから、本命の銘柄に絞って、堅実に増やしていけば、そのうち資産は倍とかになるよ、と。
 
でもJIN氏はそういうタイプじゃないんだよね。というか、YouTubeのコンセプトが。もっと大勝ちを狙うタイプ。でも、それはどちらかというと、ゴールドラッシュで実際に金を掘りにいったタイプとなる。逆にツルハシを売ってる人は、堅実に儲かったかもしれないが、大勝ちはできなかった。

考えてみれば、いまGAFAとか言って騒がれているIT企業も、結局は自分たちでコンテンツを作ってなくて、プラットフォームだけを提供している企業なんだよな。グーグルなんて、検索エンジンだから、自社のサイトにアクセスしたユーザーは必ずすぐに別のサイトに消えてしまう。いわば踏み台のようなものだ。他の、Facebookとか、Amazonとかも、商品やサービス、人間関係の橋渡し役のようなものだ。自分たちでコンテンツを制作しているわけではない。あくまでも「場所」を整えているだけだ。見方によっては、かなり地味だというか。
 
商売というのは地味で堅実。面白みもない。だから、浮き沈みの激しい、ギャンブル性の高いことが、ときにやりたくなるのかも。したり顔でツルハシを売っているだけのやつより、バカだと言われてもいいから金を掘りに行くほうが楽しいかもな。(執筆時間12分31秒)

サポート費用は、小説 エッセイの資料代に充てます。