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おかねもちになったら、したいこと

大金持ちになったら、何がしたいか。その答えは人それぞれだろうけれど、僕はわりと明確にやりたいことがある。そのうちのひとつが、「混雑していない外国のビーチで、本を読んだり小説を書いたり昼寝したりしたい」というものだった。理想は、アカプルコとか、そういうスペイン語圏の場所なのだけれど。
 
バングラデシュでの過酷な出張を終えて、バンコクで3日ほど休暇をとっている。きのうは、バスで二時間ほどの場所にある観光地、パタヤまで行った。欧米人の保養地として知られる、「パタヤビーチ」がある。
 
昼ぐらいについて、4キロほどぶらぶらと散歩をした。まさに観光地なのだが、コインランドリーとか、床屋とか、ちっちゃいスーパーとか、地元の人が買いにくるようなお店もおおい。そのほとんどが、英語で記載されている。
 
街を歩いている人も、8割ぐらいが白人。みんないかにも長期滞在しているような雰囲気で、何をするでもなく、適当にぶらぶらしている。まさに「休んでいる」といった感じだ。

僕も、ここには、刺激ではなく、休息を求めにきた。「ビーチでステーキを食べたい」という欲望があったので、最初にそれを解消すると、さっそくビーチパラソルの下で、椅子にすわって、本格的に「のんびり」しはじめた。
 
タイはそれなりに暑いが、ビーチパラソルの下で寝そべっていると、気持ちのいい風がときどき流れていく。気温はそれなりに高いはずだが、ほとんど気にならない。
 
けっきょく、四時間ほど、本を読んだり、昼寝をしたりしてゆっくり過ごした。あとは、ぼーっと、パラセーリングしている人々を眺めたり。寝るのに飽きたら、コーヒーを飲みに行って、それから一時間かけて、夕日を見た。周りの欧米人の過ごし方も似たようなもので、日光浴したり、気のあった人々同士で、寝ながら会話をしたり。英語がほとんどだったが、たまにフランス語の人もいた。
 
パタヤも当然観光地だから、飲み屋が林立しているし、ちょっといかがわしいお店もある。しかし、そういう「刺激」はどこにでも溢れている。そうじゃなくて、「神経を休める場所」として、ここは最適なのかな、と。

バンコクは、時期にもよるが、安いチケットを買えばほんの数万円で来れる場所だ。バンコクからパタヤまでは、バスでたったの600円程度。たったそれだけの金額で、日本から離れて、日本語の聞こえない場所で寝ることができるというのは、なんと贅沢なことか。
 
なんていうことを思いつつ、大金持ちになってもいないのに、「大金持ちになったら叶えたい夢」を叶えてしまった。格安で。
 
これを書いているいまごろ、日本は年末で大忙しだろう。今夜、帰国して、日常へと還ります。僕の好きな街、東京へ。

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