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嵐と畑

アイドルグループの「嵐」のメンバーが結婚したらしい。いや、これはちょっと前の話なんだけど。僕はまったく無知なので、むしろ結婚していなかったのか、と驚いたのだが、していなかったらしい。人が結婚しようがそれはその人の自由だと思うのだが、ツイッターを中心に話題になっていて、うちの会社でも話題にしている人がいたのでびっくりした。
 
「嵐」の人気はすごいな、と思う。上海に住んでいたとき、近所に「嵐」という名前の日本料理屋があって、「嵐」にまつわるなにかだと勘違いした嵐ファンの中国人が多数来店するというカオスな状況になっていた。なんでもありかよ。もちろんオーナーは全くそんなことを意図せずにその店名をつけたわけだが、だんだん味をしめて、店に本当の嵐グッズを置くようになっていた。商魂たくましい。
 
僕にとってみれば昔からいるアイドルグループのひとつでしかないのだが、なぜこんなに人気なのかな、と思ってググってみると、同様の疑問をもった男性がいたようで、嵐のアリーナツアーのライブの日にファンにインタビューをするという記事が見つかった。

嵐のどこがいいのか。ファンによれば、「メンバーの仲がいい」らしい。「メンバーの仲がいい」。それが嵐が好きな理由としてもっとも多いものになるようだ。
 
ちょっと何を言っているのかよくわからなかったのだが、メンバー同士の仲がよく、仲が良い者同士で楽しそうにしていると、それだけで幸せになるらしい。なるほど。
 
ちょっと戸惑ったのだが、よくよく考えてみると、そういうコンテンツは確かに多い。僕がよくみるユーチューバーの「はじめしゃちょー」が主催しているグループで、「はじめしゃちょーの畑」というグループがいる。これはグループユーチューバーで、毎日、はじめしゃちょーを中心とした仲間たちの日常が繰り広げられる。ちなみに、ちゃんと株式会社の体裁をとっているようで、シフト制で休みをとっているらしく、じつはメンバー全員が揃うことはないらしい。でも、仲の良い者同士で、ワイワイガヤガヤやるのが主旨の動画で、メンバーの仲も良さそうだ。確かに、そういう動画をみているのは楽しいというか、朗らかな気持ちにはなる。
 
そういう文脈でいくと、確かに「嵐」のメンバーの結婚、というのは一大イベントになるのかもしれない。「結婚」によって、それまでの人間関係が一変してしまう、ということはよくあることだ。それまでの仲良し空間が終わってしまう、というか。

なんか、テレビとかインターネットとか、そういう媒体を介すことによって、脳がバグってきてんのかな、という気持ちにときどきなる。「はじめしゃちょーの畑」は、はじめしゃちょーの自宅兼仕事場が基本的な撮影場所なのだが、毎日毎日その映像をみていると、家の間取りなんかも完璧に覚えてしまう。どこに何があるのかもなんとなくわかっている。また、家に出入りする人の人間関係もわかってしまう。なんかこう、「擬似仲間関係」みたいな感じに介入している感覚というか。でも、実はユーチューブ登録者数は100万人を超えているので、100万人を超える人々がそれをみている、という……。
 
ただ、傾向として、こういったものを好むのは女性が多いようだ。実際、嵐ファンの9割は女性だし、はじめしゃちょーの畑のファンも女性だらけだと聞く。男性は、もうちょっとコンテンツ重視というか……。いや、わりと人類普遍的な感じもするけれども。
 
みんななかよし、それがいちばんですねぇ……。(幼稚園みたいな終わり方)(執筆時間14分27秒)

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