スクリーンショット_2019-12-25_15

「臨機応変な対応」は良いことなのか:Pro-Cの教訓②

こんにちは。Pro-K商店街協同チーム1年の松尾です。

前回に引き続き、Pro-Cを企画、開催して経験した失敗と教訓について書いていきたいと思う。前回の記事では主催者側と全体との衝突を記事にしたが、今回は主催者間での衝突を取り上げたい。

議論の停滞

全体LINEにPro-C開催の旨を報告し、参加者が一定数集まってきた頃、いよいよ当日の流れや、コンテンツについて3人で話し合うことにした。

それが驚くほど、すすまないすすまない。

議論のネタは、プレゼント交換はどのようにおこなうか、プレゼントはいくらの物を用意してもらうか、参加費はいくらにするか、食べ物は何を用意するか…などなど多岐に渡ったがそのほぼすべてで意見の衝突が起こった。ここには、日本の学生と留学生との価値観の違いや、松尾とイがそれぞれ別々のサークルのクリスマスパーティーの主催者も務めていることなど、いくつかの原因が考えられた。議論は幾度となく滞り、結局誰かが納得しないまま強引に決定された内容がいくつもある、といった状態で終わることが多かった。

そんなこんなで準備も順調には進まないまま、当日を迎えた。

突然の変更

Pro-Cの開始時間は18時半。主催者3人は11時すぎに集まり、準備を始めた。村田とイは前日深夜にケーキの試作を行っていた。当日やることは非常に多かった。食事の準備からパンケーキとショートケーキ作り、ビンゴカードなどの買い出しに加え、クイズの問題も当日決めるという有様。しかもイがプレゼント交換で使うプレゼントを家に忘れたため取りに帰るという。それでも「まあ間に合うだろう」と楽観的に考えていると、時間はどんどん過ぎていき、そのまま進めていては間に合わない、という時間になってしまった。

松尾、村田は慌てて内容を変更することにした。ビンゴ大会をなくしたり、パンケーキを作らずにスーパーから惣菜を買ってくるだけにしたりした。内容の変更は、このままでは間に合わないからという理由だけではないものもあったが、ある程度は正統な理由が説明できる変更だった。

しかし、これにもう一人の主催者であるイは憤った。イは、当日までの議論で一応は決定していた内容を当日のギリギリになって変えることはよくない、と言うのだ。確かに、私たちの変更は軽率であった。突然の変更は主催者間の情報共有にも支障をきたすし、議論していれば予測できた失敗を予測できない。

一方で私の反論はこうだ。それまでの議論にとらわれず、その状況にあわせて対応することが「臨機応変な対応」なのではないか。当日に準備を始めてからわかる現場の雰囲気や参加者の状態を把握してから変更することは何も悪いことではない、とその時には思っていた。

結局は、パンケーキはなくすが、ビンゴ大会は実施するという中庸案をとることになった。そしてそれでも、ずっと述べてきているように、Pro-Cは成功した(すくなくとも主催者側は満足しうる内容だった)。

自省

読者の方々はがっかりするかもしれないが、以上の結果から、「臨機応変な対応」が良いことなのか、悪いことなのかという一般的な命題を評価することはできないだろう。

そもそもそれまでの準備、議論がまったくの不十分であった。言い訳を言うとなかなか3人の日程を調整できなかったこともあるが、衝突を繰り返す議論に嫌気がさして、強引に結論を出したことも当日の変更を引き起こした原因である。というわけで、まず言えることはちゃんと話し合って前もって準備しましょう、ということだ。

結局「臨機応変な対応」はやってもよい?:一般化して考察

何の生産性もない自省はここまでにして。

では、もし議論が十分になされたなかでの変更であったらどうであろう。議論はうまくいった。主催者全員が内容に納得した。十分な準備もしてきた。しかし当日の雰囲気を見て、これではいけない、と思った時に変更することはすべきか、せざるべきか。

私はやはり、それは必要なことであると思う。論理的にこれを説明することは残念ながらできないが、私がさまざまなイベントを企画したり、運営したりした中で、当日の変更がまったくなかったイベントは今までなかった。それこそ準備が足りなかったと言われればそれまでだが、絶対に推測できないこと、たとえば来場者数や天気、当日のトラブルなどは起こりうる。それら不確定要素を度外視して、それまでの議論にすべてを委ねたまま成立するイベントはないだろう。

しかし、臨機応変な対応、当日の突然の変更は必要なことではあるが、絶対にやらなければならないとは思わない。それは上述したように、その変更がさらなる問題を引き起こすこともあるからだ。主催者間でその変更の情報が共有されなければ、一方では予定通り進めようと動いているのに、もう一方では予定と全く違うことをやろうとしている、という状況も起こり得ない。

つまり、必要な条件を揃えた上でないと臨機応変な対応は悪い結果をもたらしかねないのだ。

「臨機応変な対応」を可能にする3つの準備

ここで「臨機応変な対応」を可能とするために大事なことを3つあげたいと思う。

1つ目に議論、準備を十分にやっておくこと。これは言うまでもないだろう。今回のPro-C最大の反省点である。

2つ目は当日の主催者(または担当部署の幹部)間での情報共有のツールをきちんと確保しておくこと。これは本当に大事。たとえば、当日何かあったらLINEで連絡共有すると決めたなら、全員が当日は常にスマホを携帯すること、通知をオンにしておくことなど、情報共有ができる環境を徹底して確保することが必要である。

そして最後に、柔軟で余剰のあるスケジュールや役振りをするということである。変更したら、その変更に対応するだけの時間と人手が必要になる。それに対応するために常時手があいた人を確保しておくべきだ。

そして逆に、以上の3つが揃っていないのであれば、それがもしその場では必要だと考えられても、突然の変更はすべきでない。理由は上述したような問題が起こるからである。

「臨機応変な対応」という言葉はそれだけでは良いイメージを持ちがちだが、以上のような準備をしないままその場で物事を処理するのは「自分勝手な対応」であると言える。事前の十分な議論と準備、情報共有、運営側の余裕。それらを揃えて初めて、突然の変更は「臨機応変な対応」と正当化されうるのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?