アイコンから見る共通認識の変化
インターフェイス制作会社に所属している、社会人2年目UIデザイナーのschappe(@yahho_yamabiko_)と申します。
ツイッターではデザインの話とかあまりしないので、考えたことや気付いたことをまとめるのにnoteを使ってみようと思いました。
連載みたいなのとか多分しないと思います。続かないので。
なんかがおかしい
先日、新入社員の名刺データを作っている時。
(何かが気になるぞ……)
と思ってふと気付いたことがあった。
アイコンである。
携帯電話のアイコン。
これ、ガラケーじゃん!
アイコンの正しさ
そこで会社のSlackに
「携帯電話のアイコンがまだガラケーなのスマホにしたい気がします」
と投げかけてみた。
しばらくして、弊社CXOからこんなレスポンスがあった。
「アイコンは直感的にわかるのが正解で直感的にわからないのが不正解なので時代に合わせること自体は正解とは言い難い」
「携帯教えて?がスマホ教えて?に変わったらアイコンをスマホに変えるタイミング」
これはなるほどと思った。
じっくり考えてしまったから違和感があったかもしれないが、直感ではガラケーアイコンのままで「携帯電話の番号」を表現しているとわかる。
もし今ガラケーがわからない人がいたとしても小学一年生とかだろうし名刺を渡す相手に小学生は特に想定していない。(それに全てを黙らせるような別のアイデアも特に思いつかなかった)
モノとして、ガラケーは衰退しスマホが広く普及はしたものの、概念としては「携帯」という言葉がまだ広い共通認識であり、その言葉に付随するモチーフはガラケーなのである。
これはとても興味深い!!
スマホの電話ボタンが受話器アイコンおかしいだろ議論
当たり前に使っていたけどこれ、よく考えるとおかしな話である。
「携帯電話を使って電話をかける」という動作のボタンに使われているアイコンのモチーフが据え置き型の受話器。
??
意味わかんなくない?
でも直感ではこれでなんの違和感なく使っているのである。
モチーフにより概念を表現するアイコンは、必ずしも実際のモノとは紐付いていないのだ。
アイコンが変わるタイミング
「アイコンは言語を超えて直感的に分かるが正解で、直感的に分からないが不正解なので時代性に合わせること自体は正解とは言い難い」
「携帯教えて?がスマホ教えて?に変わったらアイコンをスマホに変えるタイミング」
このレスを見て、
果たして「スマホ教えて?」なんて言うタイミングが来るのか考えた。
多分ガラケーを知らない世代が増えたとて来ないんじゃないか…?
なぜそう思ったか。
スマホは電話としての利用だけでなく、インターネットを閲覧する、写真を撮る、SNSを利用する、音楽を聴く、ゲームをする…などできることが非常に充実しているからである。
置き型の電話は「電話をかける」という機能のみに特化したハードであり、受話器📞→ガラケー→スマホ📱という順に機能の単独性は低くなっている。
だから、数あるスマホの機能の中での「電話をかける」のアイコンは受話器で良いし、名刺の「携帯電話の番号」を表現するアイコンはガラケーでよいのだった。
ハードと概念の変化によるアイコンの今後
と、ここで答えが出てスッキリしたところで更なる考察を続けてみたい。
ハードと概念の変化によるアイコンの今後についてである。
例えばスマホのように、今後はハードとユーザーインターフェイスが密接には結びついていないモノが普及しやすいのではないかと思う。
単独の機能を実現するためのハード(📞)みたいなものは今後もあるかもしれないが、共通認識としてアイコンになるほど普及はしないだろうと思う。
exUI(ユーザーインターフェイスの外在化)について
「Takram cast :融けるデザインとexUI」https://itunes.apple.com/jp/podcast/takram-cast/id1161310459?mt=2&i=1000403851639
Takram podcastの渡邊恵太さんの回でユーザーインターフェイスとハードについての話があった。
例えば自動販売機。
自動販売機で飲み物を買うユーザーの動作として「商品を選ぶ」「決済をする」「受け取る」ということがあるが、必ずしも全部の機能が機械にくっついている必要はないのではないか、というものだ。
確かに、飲み物を保管し、決済が完了したら飲み物が出て来る仕組みさえあれば「商品を選ぶ」も「決済をする」も手元のスマホで行えることだ。
あとは通信ができればよい。
ハードは現実に残るし、作るとなるとコストも時間もかかるものだ。
しかし、このようにユーザーインターフェイスをハードと切り分けることができれば、よりハードとしての拡張性も高まり、ユーザーとしても慣れ親しんだ自分のスマホで操作できるから安心感もある。
ソフトウェアを更新したりインストールすれば、長く使えるモノにもなる。自由度が高く、こういうモノは普及しやすいだろうと思う。
さて、ではこういうモノが増えたとして、
「機能」や「概念」を表現するモチーフ、
つまりアイコンはどうなるのか?
これまでの話を踏まえて考えてみると、受話器📞のように、単独の機能を表現するモチーフは今後なくなっていくのではないか?
…
アイコンを作るのがめちゃムズになるやんけ…???
特に機械のような、ハードとソフトが一体になったものは今後どんどん変化し、概念も変わっていくだろう。
また、たとえばゴミ箱🗑とかメール✉️とか、同じような体験に対しては、デジタルの世界でも現実のモチーフが用いられていることが多いが、こういったアイコンも変化していく可能性はあるよなぁとなんとなく考えた。
アナログの体験とデジタルの体験、デジタルの体験が拡張されていく中で、どちらの体験の方がより広く深く普及しているかによって、アイコン化されていくモノも変わる気がする。
もしかしたらデジタルの世界で生まれたモチーフがアナログに展開されることもあるのではないだろうか。
ちょっと考えててよくわからなくなってきたので、多分読んでいる人はもっとわからないかもしれない。ごめんね。
考えてみると変なアイコン
言わずと知れたWEBアイコンフォント「Font Awesome」のサイトを見ながら色々考えていた。
ちょっとおもしろい発見があった。
これは「ファイル」のアイコン。
つまりテキストでもなんでも、情報が載ったデータの塊。
これは現実のモチーフである1枚の紙として表現されている。
うん、ここまではわかる。
ちょっと見て。
やばない?
うけるな〜と思ってなんか一人で笑ってしまった。
別に笑い事ではない。
「ファイル」の概念である紙に「音声データ」の概念であるスピーカーが載ってて、それが「音声ファイル」であることを表現している。
下の画像のビデオとかもそう。やばない?
おわりに
アイコンについては今後も考えたいし、アイコンつくるの上手になりたい。
noteでこんな記事を読んだ。
人はなぜ「分かりやすいデザイン」でも失敗するのか
https://note.mu/sogitani/n/n1bba171f11e0
人間には「システム1」と「システム2」という認識システムがある。
システム1は「早い思考」。つまり直感に近いものであって、
脳に負荷を与えず、常時自動運転し、軽微な問題を過去の経験則などからスピーディーに判断して答えを出す認識システム。
システム2は「遅い思考」。複雑で難しい仕事を処理し、システム1による誤った判断をチェックすることができる。
アイコンは、国境やメディアを越えて、複雑な内容であってもシステム1「早い思考」で判断できるよう促すヒントである。
しかし、それを見る人がどんな事を想像するのか、アイコン単体でなくその周りの環境や共通認識なども考えて設計しないと、逆に「早い思考」で間違った判断をさせてしまうことにもなり得る。
今後もアイコンについてはいろいろ考えてみたいな。
長々と読んでくださりありがとうございました。
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