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ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(ネタバレ)

こんにちは。
やぎゅどんと申します。

『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』を観ました。
アメリカの南北戦争時代の、メグ、ジョー、ベス、エイミーというマーチ家4姉妹の物語です。
感想文を書きたいと思います。

私と若草物語
子供のころ、若草物語の本が好きで、何度も読んでいました。
表紙には4姉妹の絵が描かれていて、エイミーの絵が金髪のツインテールだったのですが、自分と同じヘアスタイルだったのと、同じ末っ子だったのとで、自然とエイミーに感情移入して読んでいました。
その後、昔の映画をテレビで観て初めて、若草物語の主役ってジョーなの? って気がついたくらいにエイミー推しでした。
若草物語は今までも何度も映画になっているし、日曜日のテレビアニメにもなっているし、その度に若草物語はもう十分やろ、って思いながらも、結局しっかり見てしまっているワタシです。
そういえば、『ガラスの仮面』でも若草物語を取り上げていたような。
北島マヤちゃんがベスの役を演じて、高熱でうなされる場面が本物すぎて共演者の顔に縦線が入ったり、目が白くなったりしてなかったっけ?
劇団といえば、キャラメルボックスでも劇中劇で若草物語を取り上げていた記憶があります。タイトルは忘れてしまったけど、お母さんと娘の物語だったような。
つまり、前振りが長くなってしまいましたが、今回の映画も、若草物語はもう十分知ってるけど、一応観に行っとこかな、というノリだったのですが、とても感動してしまって、好きなところをしっかり覚えておくために書こうと思っているので、詳細なネタバレを書くと思います。
なので、これからご覧になる方は読まれないことをお勧めします。


配役が最高!
まず、配役について。
フローレンス・ビューのエイミー最高でした。
少女の時は明るくて瞳の力が強くてノリが良くて、大人になってからは高貴な雰囲気と天真爛漫さが同居していて魅力的なエイミーでした。
個人的に、ほんまのほんまに個人的なことですが、エミちゃんっていう名前の小柄で瞳の力が強くて、明るくてノリが良くて顔の可愛い後輩がいて、しばらく会っていないなかったのですが、思い出してしまいました。
でも最高なのはエイミーだけじゃないんです。
メグ役のエマ・ワトソンも、ジョーのシアーシャ・ローナンも、ベスのエリザ・スカンレンも、お母さんも伯母さんもローリーもローリーのおじいさんも、あの若草物語の世界の中に生きている人、町、風景全て素晴らしかったです。
この作品を見るまでは、エマ・ワトソンと、伯母さん役柄のメリル・ストリープしか知らなかったことが、恥ずかしゅうございます。

素晴らしい構成!
物語の流れとしては、大人になって小説家としての自立を目指して、都会で頑張るジョーが、4人姉妹が一緒に過ごしていた頃を回想して、若草物語の冒頭であるクリスマスのシーンが始まるのですが、現在の姉妹の状態と回想シーンの混ざり具合がとても自然で心地良かったです。
現在の4人姉妹はみんな大人になって、メグは結婚して夫と2人の子どもとの生活で、ジョーは都会でひとり暮らしで、エイミーはヨーロッパで絵の勉強をしながらセレブな生活をしていて、ベスは病気がちで実家でお母さんと一緒にいる、というふうに、バラバラで過ごしているのだけど、
回想で姉妹が同じ部屋でワイワイしているシーンになると、キャッキャしてキラキラして眩しいことこの上ないのです。
昔は良かったということではないんだけど、そこには7年の隔たりがあって、女の子の10代から20代にかけての7年って大きくて、生活環境やファッションだけじゃなく、内面の変化もあきらかで。
特にジョーとエイミーは7年でずいぶん大人の女性になっていました。
この映画を見るまでは対照的な二人という印象だったのだけど、二人とも自分がどう生きるかということを深く考えていて、女性が社会に出ていない時代に自立を目指すジョーと、女性にとって結婚は経済活動だから自分がお金持ちと結婚することでマーチ家を支える、という風に考えているエイミーは、進む方向が真逆なだけで、実は似ている二人なのかもしれないな、と思いました。

心に残るシーン!!
ちなみに、4姉妹のキラキラでいうと、姉妹が初めてローリーの家にお邪魔した時のシーンが好きです。
ローリーの家の内装や絵画にテンションが上がった4人がキャッキャして、ひとしきり笑いさんざめいた末に、じゃあまたねーって嵐のように去っていって、ローリーと家庭教師のお兄さんがぽつーんって残されるのですが、4人とも口々に喋って笑ってキラキラしていて眩しすぎて、なんだか泣きそうになりました。
なんの涙がようわからんけど、自分のそんな時代が懐かしかったのかもしれないです。
もしくはローリー目線(おじいさんと二人で寂しい毎日の中に、キラキラした女の子とたちが突然現れて、心を射抜かれちゃう的な)になって見てしまっていたのかも。
ローリーといえば、とても美しいティモシー・シャラメが演じているのですが、姉妹が7年の年月ですっかり成長している一方で、ローリーは7年経った後も美少年のローリーで、さほど成長もしているようには見受けられず、ダメだなーと思いつつも、可愛かったです。

胸の痛くなったシーンは物語の終盤。ベスがいなくなった実家でジョーとお母さんが会話するシーンです。
その前に、ジョーはローリーのプロポーズを断っているんです。「愛せない」という、取りつく島もない理由で。
でも、ベスを失って喪失感に囚われたジョーはお母さんに言います。
「ローリーからもう一度プロポーズをされたら、受けようと思う」
お母さんから「愛しているの?」と尋ねられ、涙しながら「愛するよりも愛されたいの」と答えるジョー。
おそらくジョーにとって心の支えで癒しだったベスがいなくなって、淋しさのあまりに出た本音なのだと思います。
そしてお母さんはジョーに優しく冷静に「それは愛じゃない」と言います。
私のジョーの印象は、どんなことがあっても自分の足で立ち続けることを選ぶ人だったので、弱さを隠さないジョーの涙にもらい泣きしてしまいました。心に残るシーンです。
でも実はこの時点で、ヨーロッパにいるローリーはエイミーと婚約しちゃってるんです。
そうとは知らないジョーがローリーにプロポーズを受ける手紙を書き始めた時は、あかんあかん、そんな手紙、出したらあかん、思い直して破いて捨てちゃってー!!! って心の底から願ってしまいました。


音楽で浮かぶ亡き人の姿
あと最後に音楽のこと。
映画の中で大切な音楽が出てきます。
ベートーヴェンのピアノソナタ第8番『悲愴』第二楽章。
♪らーらーらー、ら、らららららー♪
ってやつ。
ダイナマイトボートレースのCMでも使われている、
♪なーぜーにー、おーそーれーなーいーのー♪
ってやつ。
この曲をローリーの家のピアノでベスが弾くのです。
それを部屋の外で聞いていた、ローリーのおじいさんが堪えきれなくなった涙を流します。
それはローリーのおじいさんの亡くなった娘さんのピアノなので、きっとこの曲は娘さんが弾いて、おじいさんは思い出してしまったんだろうな、と、見ている人は想像します。
それから年月がたち、ベスが亡くなります。
ベスを失って悲しみの中にいる家族たちのところに、ジョーと同じアパートに住む男の人(最後にジョーと結ばれる人)がやってきて、ピアノを弾き始めます。それが同じ『悲愴』の第二楽章なのです。
おじいさんの娘さん、ベス、ジョーの未来の恋人と、それぞれ会ったことのない3人が、同じ曲を好きで演奏して周りの人たちの心を動かす、というほんのちょっとした奇跡に心が震えるシーンです。

最後に
ということで、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』を観て、私が忘れたくないシーンと思ったことをとにかく書き残しておくために書いていたら、アホみたいに長くなってしまいました。
うろ覚えで間違っているところも多かもしれず、すみません。
この映画、若草物語が好きな人にとっては姉妹がキラキラ眩しくてローリーも美しくて、更に新しい視点での4姉妹の姿もあって見どころ満載です。
いっぽう、若草物語を知らなくい女の人にとっても、物語を楽しむだけじゃなくて、女性の生き方について自分を振り返るきっかけになるような作品だと思います。
素晴らしい名作映画です!

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