発売直後くらいに買ったのに、ずっと放置してしまっていたPeter Thielの「ZERO to ONE」を今更ながら読みました。どうやら発売は2014年だったので、9年も積読してしまっていたことになるようです。
やはり巷で名著と評されるだけあって、PayPal、Facebook、Palantir含む多くの巨大な優良ビジネスを作ってきた経験に裏打ちされたThielの事業づくりと起業の教えは示唆深いものが多かったです。
一方で、頭脳明晰かつ冷徹なイメージが強かったThielですが、意外と人間臭い考え方をしてる部分も垣間見えて、興味深かったです。
以下、本書から印象に残った点を抜粋・コメントしておきます。
本書では"グローバリゼーション"と"テクノロジー"を対比的に述べていて、後者が重要だと説き続ける。
"競争"と"独占"の対比。前者は人間社会に蔓延したイデオロギー。真に価値あるイノベーションを産むには、ニッチ市場で"独占的利益"を作り、周辺市場に拡大していくこと。
今自分が作っているモノは顧客の既存ソリューションの10倍優れているか、という問いは大事。
リーン・スタートアップに対する批判と、その対としてAppleを例とした長期的かつ大胆な計画に対する賞賛。これは本当にその通りだと最近思う。リーン・スタートアップはボトムアップで学習と改善を重ねるのに適したフレームワークで、扱い方によっては近視眼的になってしまう危険性がある。実際にプロダクトづくりの現場でもこの病気に陥る場面は多い。
リーン・スタートアップか?長期かつ大胆な計画か?という二元論ではなくて、長期的な理想像と計画を描いたうえで、足元はリーン・スタートアップ的な"適応"と"進化"を活用するのが大事なのでは、と個人的には感じた。
"自然"と"人"が語らない真実。こういう考え方があるのか、と思った。まだ咀嚼しきれてないですが…
Thielの逆張り思考、"隠れた真実"の1つとしてこれは印象的だったのと、強く共感した部分。「良いものを作れば売れる」というのは迷信で、販売と流通こそが独占へのKey Success Factorであるという点。
マジか…。