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ユニクロ誕生から急成長の歴史「一勝九敗」

国を代表するブランドで、日本人なら関わりがない人の方が少ないであろうユニクロ。自分も物心ついた時からずっとお世話になってます。

小学生のときはユニクロのフリースにお世話になり、中高くらいからはヒートテックやエアリズムを欠かさず着るようになり、大人になった今もベーシックな洋服はユニクロに頼りっぱなし。

運営会社のファーストリテイリングは時価総額が日本企業7位、アパレル企業のなかだと世界2位。代表の柳井さんは誰もが知る名経営者。

ユーザーとして毎日お世話になってる偉大な会社なわけだけど、その成り立ちは意外と知らないなとふと思い、読んでみることにしました。

若かりし頃の柳井さんが何を考えていたか、ユニクロが立ち上がった経緯、PMFまでの試行錯誤、多くの失敗、急成長するなかで磨かれていった柳井さんの経営哲学、など色んなトピックとともにユニクロの躍進を追体験できてめちゃくちゃ面白かったのと勉強になりました。

印象に残ったところを一部抜粋してコメントしていきます。

本屋やレコードショップは求められない限り、接客はしない。その分、お客様の欲しいものを欠品しないように品揃えする。そういった買いやすい環境を作ることに徹すればいいのだ。

十代の子供たち向けに流行に合った低価格のカジュアルウエアを、セルフサービスで提供できないだろうか。しだいに店舗と商品のイメージが固まっていった。「いつでも服を選べる巨大な倉庫」という意味も込めて、店名「ユニーク・クロージング・ウエアハウス」も決まった。

他業種から着想を得て「自分で選べる低価格なカジュアルウェア」というコンセプトで立ち上がったのがユニクロ。トヨタ生産方式がUSのスーパーマーケットを参考にしたのと同様に、アナロジーは超大事。

メーカーから仕入れてくる商品は、安いが品質は二の次だった。(中略)仕入れ値が低いので、まともな商品をきちっと作ろうとすると生産工場は 儲からないからだ。こうなったら自分たちで本格的に生産管理し、現地で直接作らないとダメだな、と思うようになっていった。

小売店の視察をしに香港へ行き、「ジョルダーノ」のポロシャツが目にとまった。低価格の割りに品質が高い。「これだ」と思った。ジョルダーノ創業者のジミー・ライ氏に会いに行った。

香港のメーカーには小売とメーカーの境がなく、欧米のブランド品の請負工場をやりながら小売もしている。ぼくらが日本でやっている商売よりももっと進んでいて、こちらの方がはるかに成長性が高いのではないかと気づいた。ぼくらの場合は小売出身なので、生産はできないが、メーカーに委託した場合の生産管理は可能だ。可能というより、品質の高い商品を作るためには必須なのだ。

製品の質担保のために、小売から製造小売へ脱皮。

「社名を小郡商事からファーストリテイリングに変更します。そして、今から本格的にユニクロを全国にチェーン展開します。毎年三十店舗ずつ出店し、三年後には百店舗を超えるので、そこで株式公開を目指します」
失敗すれば会社をつぶすかもしれないが、いまが最大のチャンス。勝負するときには、実践あるのみ。これが当時の偽らざる心境だ。

チェーン展開を本格的にやるために、単なる商売好きから経営者に生まれ変わらなくては、という思いがつのる。もっと勉強しなければ。商売と経営とは違う。商売人は、売ったり買ったりすること自体が好きな人。ほとんどの中小企業の社長は、その意味で経営者ではないと思う。経営者とは、しっかりした目標を持ち、計画を立て、その企業を成長させ、収益を上げる人のことだ。

IPO目指すあたりから柳井さんの経営哲学が確立されていった。

結果的に、スポクロ、ファミクロともに売上が予算に達しなかったのが撤退の最大の理由である。失敗の原因は、ユニクロ商品との違いが明確に打ち出せなかったことばかりではなく、スポクロ、ファミクロ店の品 揃えのためにユニクロ店の商品を廻したせいでユニクロ店の商品自体に欠品が出始め、両方とも中途半端 になってしまったのだ。独りよがりの商売だった。

ぼくがイギリス子会社に期待していたのは「三年間で五十店舗を作る」ことと、「三年間で黒字化」することだった。これは完全にぼくの責任だが、その指示の出し方が悪かった。二〇〇四年末までの「三年間で五十店舗」という言葉が一人歩きし、とにかく店を作ることが第一、ということで、わき目もふらず、ただひたすらに拡張していったのだ。

以前のユニクロの評判やイメージは「安かろう悪かろう」だったが、フリースを買って実際に着てみたら「安いけど、結構いいじゃん」という風向きに変った。何年もかけて品質の向上や企画・生産・物流の一貫システムなどの精度向上をしてきた努力がこうして実を結び、報われた。

多くの新規事業やイギリス展開まで失敗したが、フリースが大ヒット。

経営は頭で考えただけではダメで、実行がともなわないといけない。頭のいい人は頭だけで考えて、「いい案作ってそれでおしまい」と思ってしまいがちだ。

われわれにとってファーストは即断即決という意味。間違ったり失敗してもいいから、早く判断して早く実践するべきだと思っている。

会社組織は、その会社の事業目的を遂行するためにある。 一旦、組織ができあがってしまうと、今度はその組織を維持するために仕事をしているようにみえることがある。常に、組織は仕事をするためにあって、組織のための仕事というのはない、と考えておく必要がある。

新しいことをやろうとする場合、それなりに準備する。多分こうなんじゃないか、と計画や仮説をたてる。実際にやってみると、そのとおりにはいかないことが多い。しかし、そこであきらめてはいけない。計画と現実が違うケースでは、いかに現実に早く対応するかが大事である。計画や仮説のどこがどう間違っていたかを、早く見つけ修正する。だから、早く「失敗した」と認識しないとダメである。

お客様の方をしっかり向いて、全員で仕事をしなければいけないのに、管理職が部下の仕事ばかりチェックしているようになると、お客様のことは二の次になり、やがて忘れてしまう。お客様と商品の接する現場の動きが分かっていなければ、的確な指示は出せないはずだ。

ぼくは、日本人あるいは日本企業はあらゆる面で国際化しないと生き残っていけないのではないかと思っている。われわれのような企業こそ国際的な競争をしたうえでないと生き残れないはず。そのために、何回失敗しても、その都度失敗を修正しながら、めげずにやっていくという覚悟と態勢が必要だ。 

今の日本国内は、ゼロ金利と低迷する株式市場がベースにあって、消費者のお金は将来の不安感から消費より貯蓄に回っていて、景気は停滞したままだ。この厳しい状況下で成功するには「新分野・新市場に新技術・新方法で取り組む」か、「すでに古い産業と称される分野に新しいやり方・仕組みで取り組んで」ユーザーや消費者に受け入れられるかだ。

経営理念の第九条に「スピード、やる気、革新、実行力の経営」というものがある。先頭に掲げた「スピード」こそ、商売や経営に欠くべからざる大事な要素だ。ユニクロの展開は社名にFASTと現れているとおり、このスピードがすべての原動力になってきた。

読んでいる限り、柳井さんはとても実直で現実的なものの捉え方をする人だなと感じました。中でも印象に残っているのは以下。
・現場を大事にし、常に顧客を向いて仕事をすること
・とにかくスピード
・計画だけでなく実行
・致命傷にならない範囲での意味ある失敗
・仮説をもとに細かい検証を重ね、気づきを得ながら軌道修正

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