2年ほど前に読んだ本ですが、とあるきっかけで思い出したのでメモを残しておこうと思います。
海上コンテナの発明と普及がいかに世界経済を飛躍させたか、いかに革命的だったかをその歴史と共に記した一冊です。
今や海上コンテナ輸送はグローバルサプライチェーンを支える根幹ですが、わずか数十年前までは大勢の港湾労働者が人力で荷役作業をしていた歴史があります。コンテナの発明と普及によって輸送の効率化が飛躍的に進む様子が描かれていますが、その過程では様々な障壁があり、一筋縄ではいかなかったことがよくわかります。
スケールが大きくロマン溢れるコンテナ輸送の誕生秘話は、読んでてめちゃくちゃ面白いです。特に示唆深かったのは、コンテナが発明された後の社会実装の過程でした。「発明」と「社会実装」はまったく別物で、後者を泥臭くやりきったからこそ人の生活が変わるんだなというのがよくわかりました。
印象に残ったところを一部抜粋してコメントしていきます。
Beforeコンテナの世界では海上輸送コストが極めて高く、その大部分が港湾で働く労働者の人件費だった。
箱を使う発想自体は、実は1920年代からあった。
海上輸送を変えたのは、陸送業出身のマルコム・マクリーンだった。
1956年コンテナリゼーション最初期、貨物の積み込みコスト削減率は驚異の90%以上。戦後日本の製造業もこの恩恵を受ける。
個人的に印象に残ったポイントは以下でした:
コンテナリゼーションを推し進めたのは、当時ある種アウトサイダーだった陸運業者のマルコム・マクリーンだった。
コンテナというプロダクトの発明だけでは輸送革命には至らず、その後、専門家を強引に口説くなどの採用力、海運業者を買収するためのファイナンス、規制当局との交渉/Bizdev、という長期にわたる総力戦を経て社会実装をしていった。
当初はシンプルな輸送コスト削減・効率化と思われていたコンテナ輸送が、結果的にグローバルな経済成長を後押しし、企業の在り方をも根幹から変え、富をもたらした。