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AIとイラスト

AIと人間

AIは意味を理解できない。人間が出した命令の意味を理解しているかのように感じても、それは意味を理解しているわけではなく、パターンで返しているだけなのだという。しかしこういうことは人間自身も往々にしてあり、上司の命令の意味はわからなくても、なんとなくこうかな?とやってみると問題なかったりする。

二極化するイラストの仕事

イラストレーターもクライアントからの指示の意味を理解する必要があるが、意味ではなく単語だけの依頼のときもある。
ゴリラを描いてください。コップを描いてください、というものだ。
しかしこういう仕事は、無料イラストやストックイラストにどんどん流れている。最近も、ビジネスマンを描いたストックイラストが電車広告で使われているのを見かけた。10年くらい前ぼくはただスーツのビジネスマンを描いていたという理由でビジネス書の仕事を獲得できていた。しかし、もうそういう時代ではなくなったんだなあと、その電車広告を見てしみじみと思った(ちなみになんの広告だったかはスッカリ忘れてしまった)。

イラストの仕事は、クライアントの発注意図を把握して描く仕事と、発注意図を把握しなくても描ける仕事とでどんどん仕事が分かれていっている。
どちらもレッドオーシャンだけど、結果を出している人は両方にいる。そのためにはがんばるしかない、という点も共通している。がんばりの仕方が異なるだけだ。

ビジネス全般の誕生から衰退まで

あらゆるビジネスは、その誕生から衰退するまでだいたい似たような経過を辿るらしい。誕生したときは競合もいない。成長中にどんどん競合が現れるが、このときは成長中なので競合が現れても問題ない。問題が起こるのは成熟期と衰退期である。成熟期にはマニュアルが多く普及し、マニュアルにしたがって動ける人がそのビジネスに関わるようになる。このとき、経営者は「マニュアル人間を雇い続けるか、機械を導入するか?」の選択を迫られる。マニュアル人間も機械も、付加価値をつけてはくれないので、経営者からすれば儲けるにはコスト削減しかないのだ。こうして、ビジネスとしては停滞し、場合によっては新しいビジネスに取って変わられてしまう。

イラストレーターの今後

イラストの仕事が今後どうなるかはぼくにはよくわからないが、イラストを生成するAIが公開されるようになったのは、イラストを描く仕事が「意味を理解しなくてもできる仕事だ」と一部で思われている証拠だと思う。しかしそんなことはストックイラストの普及で明らかではあった。マニュアル人間か機械か、を選ぶのはクライアント(経営者)の意向次第だ。

個人的な結論

こういう流れの中で、全員が共通の結論を出す必要はない。個人としてどう生きるかの問題でしかない。ぼく個人としては、イラストレーターとしても「意味を理解し、何かしらの付加価値をつける存在」だと認識される方向でがんばっていきたいと思っている。

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