HHKB英語配列はキーマップ変更ツールで大化けする
これは非常にニッチなユーザ向けの記事です。
具体的には、
・iPadOS、macOS、Windowsの3種類をそれなりに使うことが多い人
かつ
・Happy Hacking Keyboard Hybrid 英語配列を既に持っている人
かつ
・日本語入力が多い人
を対象にしています。
まずは今までの問題点から
HHKBの英語配列は、日本語配列のように日本語入力を切り替えるための独立キーがありません(当然ですね)。ですので日本語変換を切り替えるためにはControl+スペース(macOS)またはAlt+~(Windows)を入力する必要があります。このキーはmacOS、WindowsではそれぞれIMEの設定を変更することでカスタマイズが可能です。私もガッツリカスタマイズしています。
ところが、iPadOSに関しては日本語入力の切替キー(Control+スペースで固定)をカスタマイズすることができません。iPadOSのIMEの設定はPC向けOSのように柔軟ではありませんし、PC向けOSのようにキーマッパーをインストールすることもできません。
つまり、手元にiPadOS、macOS、Windowsデバイスがそれぞれあり、HHKBをそれぞれに接続して使用しようとしても、キーの統一ができません。そのためiPadOSを使う時だけControl+スペースを使うよう訓練するか、iPadOSのControl+スペースで3種のOSをすべて統一し、一から自分を訓練するかの二択を迫られます。どちらにしろユーザとしてはストレスを感じることになります。できればiPadOSの方を合わせてほしいところ。
私の環境で言えば、macOSにKarabiner-Elementsというキーマッパーをインストールしており、左右の◇キーを日本語入力の切替に割り当てています。左◇キー一度押しで日本語入力OFF、右◇キー一度押しで日本語入力ONです。なお、どちらのキーも押しながら別のキーを押すとControlキーとして機能します。
そもそもこのようにカスタマイズしようと思ったのはmacOS標準の「Control+スペース」を使いたくなかったからです。1動作でON/OFFが切り替わるトグル式だと現在状態を把握する必要があり煩雑です。日本語入力ON/OFFをそれぞれ独立に割り当てることで、確実に入力状態を固定させることができます。なお、Windowsも類似の設定にして統一しています。
ここまでをまとめると、私の手元においては、macOSとWindowsでは左右◇キー、iPadOSではControl+スペースという二種類の切替方法が併存している状態です。
HHKBのキーマップ変更ツールを使う
HHKBには公式でキーマップ変更ツールが提供されています。OSにキーマッパーをインストールしなくてもネイティブで動作するため、さきに挙げた問題点を解消できます。つまり、iPadOSというカスタマイズが封じられた世界にキーカスタマイズの概念を持ち込むことができるのです。
このキーマップ変更ツール、なんと英語配列であるにも関わらず日本語配列にしか無い「英数キー」「かなキー」もマッピングさせられます。これを使わない手はありません。以下のように割り当てましょう。
(物理) (出力)
左◇キー→英数キー
右◇キー→かなキー
右Altキー→右◇キー
そして、iPadOSとmacOSの修飾キー設定を以下のように変えましょう。これは日本語入力切替とは関係ありませんが、各種ショートカットキーをWindowsと統一させるために必要なため一応記述します。
(物理) (出力)
Controlキー→Commandキー
Commandキー→Controlキー
設定→一般→キーボード→ハードウェアキーボード→修飾キー
(※これはiPadOS 13.4でようやく設定可能になりました)
システム環境設定→キーボード→キーボード→修飾キー
最後に、Windowsのキーマッパーの設定を変えましょう。AutoHotKeyというキーマッパーを使用する方法は以下のリンクから。HHKBからは「英数キー」「かなキー」の信号が送られるので、キーマッパー側で「無変換キー」「変換キー」にそれぞれ解釈し直す必要があります。
以上でOKです。
設定反映したらiPadOSでも左右◇キーで日本語入力ON/OFFが可能になっているはずです。そのままmacOSでも試してみましょう……できますね。Windowsも……できますね。はい、これで日本語入力切替の動作がストレスなく統一できました。やったね!
確認できたら今まで使っていたキーマッパーから既存の設定を削除してしまいましょう。
注意点
前述のとおり、私の環境では左右◇キーはキーマッパーを使うことで左右Controlキー(キー入れ替え設定前におけるCommandキー相当)としても使えるようにしていましたが、HHKBのキーマップ変更ツールでは一度押しと同時押しを判別不可能なため、別キー(上記設定では右Altキー)に逃がしてやる必要があります。これは残念ながら覚え直しになります。使用頻度が少ないので涙を呑むことにします。
また、iPadOSで外部キーボードにおいてサードパーティ製のIMEが使えないという問題は残っています。Appleさん、ATOK使わせてくれ……。これができたらiPad Pro + HHKB環境でどこでも文章が書けます。Macbookいらんやん。
おわりに
HHKBのキーマップ変更ツールは今日(2020年5月28日)更新されたばかりですが、元々期待しつつできなかったことがいきなり解消されていたのでビックリしつつこんな長文を書いてしまいました。PFUのスタッフの皆さんの努力に敬意を表します。これからも素敵なプロダクトを生み出し続けてください。応援しています。
HHKB発売当時に書いた過去記事はこちら。
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