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小さなまると小さな私に出会う、さくらももこ展のはなし。

私には人生のバイブルだと思っている本がいくつかあるが、その中の一つがさくらももこさんの「ひとりずもう」だ。

私が生まれた頃には既に有名だったさくらももこさんの“何者でもなかった頃“が描かれており、こんなにも才能に溢れた人でも人生に躓き、挫折を繰り返すことがあるのだと知った。その場所に行くまでにたくさん苦労して頑張ってきた人なのだ。成功の裏には必ず努力があるということが当時人生に躓きまくっていた私の心を救った。

そんなさくらももこさんの展覧会が昨年高知で始まった。ファンとして高知に行くべきかとも思ったのだが、旅に出るにも日程が合わなかったので神戸に来るのを心待ちにしてにいた。

展覧会があったのは「神戸ゆかりの美術館」。実はさくらももこ展があるまでこの美術館の存在すら知らなかった。普段六甲アイランドエリアに行くことがないので今回が初上陸だ。

奥の近代的な建物が「神戸ゆかりの美術館」

大学時代の友人が六甲アイランドに住んでおり、「六アイ」という名称は何度も聞いていた。人工島というだけあってどことなく雰囲気は舞洲に似ている。とても綺麗で居心地の良さそうな街だな、と感じた。

正面玄関の様子

展覧会のタペストリーを見ると「ついに来た!」感が出てきてテンションが上がる。

ほぼ日手帳2021「まる子のおしゃれ手帳」

折角なので以前購入したちびまる子ちゃんのほぼ日手帳カバーを持参。中身はMDノート。好きな本のことをまとめたり記録したりするのに使っている。

ある日 小さなまるが来て
「いっしょにあそぼう」
と言ったので
わたしはとてもうれしくて
そのまるとずっとずっといっしょにあそぶことにしました。

「さくらももこ展」公式サイト・キービジュアルより

この詩が心に突き刺さる。小さなまるが目の前に現れたその日から、今でもずっとずっと一緒に遊んでいるのだと思う。今日この場所でそんな2人がたくさん見られるのだと思うと、胸がちょっとぎゅっとする。

さくらももこ展ではちびまる子ちゃんだけではなく、コジコジやエッセイストとしての作品、神のちからっ子新聞にも焦点が当てられていた。序章から終章まで全部で7つの項目に分かれている。

序章  さくらももこができるまで
第1章 ももことちびまる子ちゃん
第2章 ももこのエッセイ
第3章 ももこのまいにち
第4章 ももこのナンセンス・ワールド
第5章 ももことコジコジ
終章  アトリエより

さくらももこ展より

最初に息子である三浦陽一郎さんのコメントが展示してあり、全く会ったこともないのに「すごく立派になって…あんなに小さかったのに…」 と思わずにいられなかった (そこまで歳は離れていないのに) 。エッセイで読んだ息子さんの様子や“さくらめろん“としての姿はいつだって子どものままなのだ。

第1章のちびまる子ちゃんエリアにはりぼんの付録を飾ったアクリルケースが置いてあり、懐かしい気持ちが溢れた。ちびまる子ちゃんが本誌で連載していた頃を知らないので飾ってある付録は初見なのだが、ノートやレターセット、紙をくり抜いて組み立てるおもちゃの存在がエモい。マンガ雑誌の楽しみといえば付録と応募者全員大サービスだと思う。

私がりぼんを読んでいた頃は「ミントなぼくら」とか、「ねりんぐプロジェクト」とか、「愛してるぜベイベ」とか、そんな時代だ。ちびまる子ちゃんの通常連載はなかったが、時々「来月はちびまる子ちゃんのマンガがやってくる!」という煽りが現れた。当時は「まる子=アニメ」だったのでマンガで読むのは新鮮でワクワクしたものだった。この展示を見た時、私の目の前にも小さな私が現れた気がした。

そしてこのエリアで一番好きだった展示が「おはなしちびまる子ちゃん9巻」の表紙に使われたミニチュア模型。こういうちまっとした物が大好きで、一生眺めていられる。小さくて可愛い物が好きなさくらももこさんも絶対ずっと眺めていたと思う。写真も素敵だが、実物はもっともっと素敵なのだ。


さくらももこ展では写真を撮ることができるエリアが2箇所とかなり限られている。そんな数少ない写真スポットの1つがエッセイ原稿を飾ったエリア。

同じシーンのエッセイとコミックスが一緒に飾られているのが良い!同じシーンなのに違った印象を受ける。エッセイの原稿も修正前のものだったりして、眺めるのが楽しかった。さくらももこさんのエッセイは色々読んでいるのだが、私のバイブルである「ひもりずもう」はコミックス版しか読んだことがない。今度エッセイ版もきちんと読もうと心に決めた。

そして今回度肝を抜かれたのがナンセンス・ワールド。全力のおちゃらけというのか、やりたい放題遊んでいるというのか、とてもシュールな空間だった。セーラー服を来たセールスマンのおじさんの、色鮮やかな原画が頭にこびりついて離れない。

神のちからっ子新聞は文字を読むのに必死で気付かなかったのだが、枠が…!もう展示品全部を使って遊んでいて、そんなことをしてしまう世界観が最高だと思った。

他にもさくらももこさんのアトリエ写真が見られたことが嬉しい。人の本棚やアトリエを見ると、その人の頭の中を覗いているような気持ちになる。その場所にはその人の好きな物や興味のある物、大切にしている物が溢れているから。

だから、アトリエの写真を見るのはとてもワクワクした。マリオの色紙大事にしてたんだな〜とか、やっぱりワンピースのコミックスは手に届くところに置いていたのね、とか。

終章ではとても小さな額縁に入ったたくさんの絵が。

こんな素敵な切手があればいいのにな。新品ではなく、誰かに手紙を送った後というのが良い。誰に送ったのかなとか、その前後の物語を感じる。

序章から終章まで見応えたっぷりだった。ちなみに私はここまでで3時間も滞在していた。ゆっくり見すぎたかもしれない。その後ミュージアムグッズのコーナーでさらに30分ほど時間をかけたのだった。

買ったグッズたち。これでも我慢した方

最近行く美術展では図録を買わないようにしている。行く度に買ってしまうと本棚がパンクするからだ。でも、やはりさくらももこ展は買わずにいられない。今回見た数々の絵はもちろん、たまちゃんやTARAKOさんからの寄稿文が載っているのが熱い。たまちゃんとまるちゃん、アニメのまんまの2人。こんなにも大親友と呼べる人に出会える人生って素敵。

「まる子 じぶんの未来を見にゆく」のクリアファイル

買う予定にしていなかったファイルも購入。ひとりずもうでの挫折を読んでいたので、漫画家になれたと知って涙を流すまる子が胸に突き刺さった。この名シーンをファイルにするなんて!永久保存版。

缶バッジとアクリルキーリング

缶バッチに布が巻いてあるのがさくらももこさんらしくて好き。くるみボタンみたいだ。この缶バッジとアクキーはどれにするか悩みに悩んだのだが、アニメの一番好きな回と、私の一番好きな飲み物が描いてあるものにした。

以前、台湾旅行記事の最後でも少し触れたのだが、私は「まる子まぼろしの洋館を見る」のアニメがとても好きだ。

缶バッジ単体だとヨーヨーチャンピオンのシュールなまる子が欲しかったのだが、コミックスの1ページを切り取って台紙にしているのならば まぼろしの洋館を買わねばならない (((断定))) 。台紙とグッズ、2つで1つの作品みたいになっているのがセンス良いなと思った。

さくらももこ展を見終わった後は阪急百貨店の英国フェアへ。狙いはココア。絶対に飲んでから帰ると決めていた。

折角なので買ったばかりのアクキーと共に
チョコレートツリーのホットチョコレート

『スパイスとペルー産カカオの贅沢な味わい』とある通り、スパイスの本気を感じるココアだった。この煽りは全く嘘をついていない。

普通のココアの「ほんのりスパイス〜♪」レベルを想像して飲むと度肝を抜かれる。普通は1口目にココアを感じ、後から半周遅れくらいのスパイスが追いかけてくると思うのだが、このココアはまずスパイスが全力疾走でやってきて、後から1周遅れくらいのココアがやってくる。あまりのスパイス感に驚き、自らココアを探しにいったくらいだ。チャイとかスパイス系ドリンクが好きな人にはオススメ。私は美味しく飲めた。

Whittardのココアもお土産に購入。これはウィタードの一番オーソドックスなココア。塩キャラメル?のココアがめちゃくちゃ美味しいらしいのだが、既に売り切れていた。通販でも見当たらないのでどこかで出会ったら買った方が良い。

缶がとても可愛い

この冬はこのココアをのみながら、ココアを考えたどこかの偉人に想いを馳せたいと思う。

あーほんとに、ココアはおいしいね

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