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コロナの後のわたしたち - 第4次産業革命の時代を迎えて

インターネットが普及し始めた頃、身の周りでも「産業革命以来の大変革が起こる」と皆口にしていて、実際、短期間で急成長するネットベンチャー系の企業が何社も登場してきたのは記憶に新しいところである。

それからわずか数十年あまりで、また新たな変革の時代が到来した。それが"第4次産業革命"である。

■第4次産業革命

この概念は、18世紀末の"蒸気機関"による変革を第1次産業革命、20世紀初頭の"電力"による変革を第2次産業革命、1970年代初頭の"コンピュータ"による変革を第3次産業革命とし、それに続くという考え方になる。今回のコア技術は、AI、IoT、ビッグデータ、ロボットなどである。

■Industry4.0

IoTやAIによる技術革新にいち早く取り組んだのがドイツである。2011年ドイツ政府は、製造業の情報化を推進する国家戦略プロジェクト"Industry4.0"を発表した。

工場内の設備や情報システム等、あらゆるモノをインターネットに接続して(IoT)、設備同士(M2M:Machine to Machine)もしくは設備と人が協調動作する工場(スマートファクトリー)を官民一体で目指す戦略である。

■コネクテッドインダストリーズ
日本も例外ではなく、ドイツ同様の考え方を日本再興戦略や未来投資戦略の一部に取り入れ、国として取り組んできて、製造業に対しては、2017年には"コネクテッドインダストリーズ"を打ち出している。第4次産業革命や、ドイツのIndustry4.0の流れを受けての戦略になる。日本の"ものづくり"の強みを活かし独自色を出すためにも、製造現場にある極めて正確な"データ"を武器に国際競争力強化を狙っている。

■デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)
ITを活用したデジタルテクノロジが、あらゆるビジネスやライフスタイル、ひいては社会構造までをも変革するという考え方。

COLUMN シンギュラリティ(Singularity)
昨今の"AI"や"ディープラーニング"ブームの中で、よく耳にするようになった"シンギュラリティ"という用語。直訳すると"特異点"となる。ITエンジニアは、主に"技術的特異点"のことであると考えればいいだろう。これは、大変革を意味する未来予測の概念のひとつだ。具体的には、大変革は、自己学習を自発的に繰り返すように設計された人工知能が、指数関数的に発展して、やがては人間の脳を超えてしまうというもの。そして、その時期として一般に広まっているのが、人工知能の研究者であるレイ・カーツワイル博士の提唱する遅くとも2045年という説である(これを2045年問題ということもある)。

■未来投資戦略2018

2018年(平成30年)6月15日、「未来投資戦略2018 - 『Society 5.0』『データ駆動型社会』への変革 -」が閣議決定された。これは、2012年に経済再生を最重要施策のひとつとして発足した第2次安倍内閣から継続されている成長戦略の2018年度版である。

2012年に政権を奪還した安倍首相は、名目GDP600兆円を目標に"アベノミクス"として三本の矢(旧三本の矢)を公表する。その三本の矢のうち、三本目の矢となるのが"民間投資を喚起する成長戦略"で、日本経済再生本部を設置し、日本再興戦略(2013 - 2016)を公表した。その後、新三本の矢が公表されるなど、毎年少しずつ見直され、2017年から"未来投資戦略"という名称になる。未来投資戦略2018は、第4次産業革命たるAI、IoT、ビッグデータ、ロボットがベースになっている。

Society5.0

未来投資戦略で目指すべき社会として提唱されているSociety5.0は、以下のように社会をその発展過程に準じて区分した上で、情報社会に続く「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」と定義されている。

Society1.0:狩猟社会
Society2.0:農耕社会
Society3.0:工業社会
Society4.0:情報社会
Society5.0:超スマート社会

CPS(Cyber Physical System)

未来投資戦略で目指すべき社会として提唱されている"データ駆動型社会"の角となるのがCPSである。AI、IoT、ビッグデータなどの技術を活用して、実世界(Physical)とサイバー空間(Cyber)が相互連携する社会を目指す。

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