はじまりはいつもの阿佐ヶ谷の飲み屋だった
それはある晩の出来事だった。
その日わたしは近所の定食も食べれてお酒も飲める飲食店で、いつものように豆乳ハイとその日のオススメの定食を食べていた。
そんなとき隣に座ったのはまたいつものように会っている、そのお店のスタッフでありながら写真家としても活動している男だ。
わたしより10近く歳が離れているが(彼の方が下である。)、何かと話があい仲良くしている。
その日もいつもように話をしていたところ、その彼がこんなことを言い出した。
いまこの街を舞台にしたフリーペーパーを作りたいと思っている。
そこではこの街を舞台にした小説なんかも載せたい。
是非そこに銭湯に関する記事を書いてくれないか。
そう、その頃のわたしは、いつものようにその街で豆乳ハイを飲みながら、最近ハマっていた銭湯の魅力について、誰彼構わず、喋り捲っていたのである。
彼もそのことを知っており、彼の考えるフリーペーパーの一員として、わたしを思い出してくれたのである。
これはわたしにとってとても嬉しいことだった。
理由はいくつかあるが、その頃から銭湯の話を誰かにしても共通の話ができるひとはほとんどなく、そうなんだねー、と軽く相づちを打つ程度で流されることが多く、そういった状況をなんとかしたいと思っていたのだ。
これは今風の言葉で言うと自己承認欲求ということになるかもしれないが、自己承認欲求というより、銭湯承認欲求がその頃から芽生えていたのである(もちろん勝手にだ)。
あんなにいいところなのに、何故みんな行かないんだ!?
かなりのおせっかい野郎であることは間違いないが、そういった思いがあったのだ。
そんなときに彼からの話を聞いて、これはみんなが銭湯に興味を持ってもらういいきっかけになると思ったのだ。
それからさらに彼と話し合うのだった。
(この続きはいずれまた)
著:ヤギーベ
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