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マクドナルドCM「ピクルスのリレー」をみて思うこと。〜ダラダラ考察(2022年記載)

「夏は吸い込むものだ。」のマックフルーリーに続いて、新CM「ピクルスのリレー」が各媒体で流れている。(2022年記載)

まず最初に言いたいことは、井上陽水さんは…ずるい。(笑)
親子に寄り添うブランドとして、子供のころに経験のある人も多い「ピクルス抜き」をテーマに「家族の絆のそばにはマクドナルドがいたかも」ということを3世代の物語で表現している。
コロナ禍で3年ぶりに帰省した人も多い中で、のんびりとした田舎で自らの「少年時代」を思い出してお盆を過ごした人も多いだろう。
3年前より今だからもっと響くこのテーマと情感は、ブランドの訴求切り口としてとっても秀逸だと思う。
ブランド訴求は、「普遍的なブランドメッセージ」と「変化の激しい時代感」をどれだけ繊細に、かつ力強く捉えるかが重要だからだ。

弱っているときこそ、人は感情的になりやすい。

切ないことに、社会や経済の大きなマイナス要素は、広告にとっては大きなプラス要素になる。いつの時代もいい広告というは人の心に訴えかけて、人の心を動かすものだからだ。
弱っているときこそ人は、感情的になりやすい。
しかしさらにいい広告というのは、心を動かすだけでなく「心に残るもの」になる。「残る広告」が持つメッセージはきっと、 誰かの食卓の話題になり、誰かの癖になり、誰かの生きる指針になることさえある。
それはつまり圧倒的なブランドポジションを築くことにつながっていく。

それでも昨今広告が嫌われてしまうのは、WEBマーケの爆速的な向上によって「残る広告」より、結果がわかりやすい「動かす広告」が多くなったからかもしれない。(日本国内マーケットに向けたサービスの話だが)

「訴える広告」心に訴えかけた数 → 「動かす広告」心を動かした数
ここまではWEBマーケにおいてとてつもなく可視化しやすい数字だ。
Webマーケターたちがこぞって共通語して使うCTRやCVRのような大量の3文字英語で表現する指標のようなものだ。
最近ではテレビのようなマス媒体でさえ「視聴質」といってここまでをある程度可視化できるようになってきている。少し違う軸ではノバセルさんのようなテレビ広告の評価指標もある。

TVISION INSIGHTS株式会社 サイトより引用

「残る広告」心に残った数 →  可視化しにくい
一見可視化しにくいこの数字はやはり中小企業からするととっつきにくい。
まずは可視化しやすいところだけでよくない?となるのかもしれない。
それも当たり前に間違いじゃない。ってか最適解なのかもしれない、
とも言えないかもしれない、いや、まだよくわからない。
というのが正直なところだ。
確実に言えるのは、企業は広告を出すためにお金を使うのではなく、お金(売上)をつくるために広告を出すということ。だからこそ「残る広告」より「動かす広告」でとりあえずよくない?というのが博打的に広告を打てない中小企業の答えなのかもしれない。
本当にそうなのだろうか。
個人的に思うことがある。
実は「残る広告」の役割は、中長期でしか可視化されないのだと思う。
いわゆる顧客単価とLTVの部分である。

当然付加価値をつけて、サービスの質を上げていく企業努力をする前提ではあるが、それと同時に「残る広告」をしていくことで少しずつその効果を高めていく。つまりはブランディングをするということではないか。
個人的に考えるブランディングのメリットで、
上記2つ(顧客単価↑+LTV↑)がある。
でもそれって中小企業には難しいでしょ、そんな体力ないよ、という声が聞こえてきそうである。では、中小企業にとって効率的なブランディングについても少し考えてみたい。

中小企業にとって商品ブランディングが必要かどうか悩んでみる。

サービスや商品それぞれのファンをつくることはとても重要だ。
大企業にとっては当たり前のように企業ブランド、事業ブランド、ファミリーブランド、商品ブランドと各階層ごとにブランディングを考える。
具体例は割愛するがSONYやトヨタなどで考えてみるとわかりやすい。

一般財団法人ブランド・マネージャー協会より

すべては企業ブランドから始まり、それを汲み取って下層ブランドが出来上がっていくのである。しかし企業ブランドを浸透できていない中小企業が、それをすっ飛ばして商品ブランドの浸透もしくは販促広告だけをしていることは果たして長い目でみて有効なのだろうか。(ほとんどが販促広告のみ)
弊社は新潟を拠点にしているが、そのような企業さんが非常に多い。
たとえ一つのサービスや商品が売れても、その企業がまた別のサービスや商品を売ろうとすると、またそのために同じくらいの労力(お金と時間)をかけて販促広告とファンづくりをしなければいけない。
なぜならそれらの商品群に何かしらの共通項や一貫性をユーザーが感じることができていないからである。それは長い目でみると、お金も時間もかかってとても大変なことだ。
当然販促についてはある程度は毎回必要なことではあるのだが…。
数年前から圧倒的に伸びているインフルエンサーマーケティングなんかを考えてみると、「その人がオススメするから買う」わけである。
あの人のライフスタイルが好きだ。あの人の思想が好きだ。あの人のセンスが好きだ。あの人の持っているスキルに憧れている。など個人のブランドポジションが確立していて、その人のファンなのである。
正直その状態は最強である。
だからこそ、インフルエンサーが今度は「自分の人格」を「法人格」に変えて、アパレルを始めたり、飲食店を始めたり、オンラインサロンを始めたりして確固たる顧客を獲得してLTVの高い事業をしているのはご周知の通りである。(LTV=顧客生涯価値)

地方中小企業こそ「企業ブランド広告+販促広告」が最適解なのではないかと仮定してみる。


地方中小企業 現状ブランド階層図(語れ。より)

現状は地方の中小企業は販促広告のみしかほぼほぼ興味がないように見受けられる。なぜなら長期的なことより目先の売上が大事だからだ。それもよくわかる。でもそれでは顧客単価が上がってこないので数を売るしかないと気づいてくる経営者の方も多いのではないだろうか。
そこではじめて「ブランディングだ!」とあとになって意気込むのだが、よくよく考えると企業ブランドのコンセプトがまずあって、
そこから4P(product,price,placement,promotion)を考えるのが最も正しい順番ではないだろうか。
その順番で設計をしていないと、いざブランド訴求+販促広告をしてもその2つがなかなか一致してこないので結局「売れない」という結論になってしまい、ブランド訴求を結局やめてしまうのだと思う。そりゃそうだ。
ブランドのメッセージ沿った商品じゃないんだから。それだったらブランド訴求なんてやめた方がいい。
しかし、もし正しい順番でそこができていたなら、大企業と比べて事業規模や商品群の少ない中小企業は、実は独自性のあるブランドポジションを取りやすいと思う。対象とするペルソナもしくはクラスター像が絞りやすく、ブランドのメッセージや「らしさ」を尖らせやすい可能性が高いので、広告としても表現を尖らせやすいのだ。
先ほどのインフルエンサーではないが、法人格のファンになってしまえば中小企業も次の成長戦略を描きやすいのではないか。
アンゾフの成長戦略がよく経営戦略では語られるが、既存事業からの次の成長戦略は「新商品開発戦略」(既存市場×新商品)である。
もし中小企業がうまくブランド訴求ができていて、ファンを抱えていたならば、そのファンの新たなニーズを聞き出し「新商品」をどんどんあてていけばいいのである。最強ではないか

闇金ウシジマくんなどで有名なマンガ家の真鍋昌平さんが言っていた。

「マンガは作者に依存せず、作品のファンが多い。だからどんなにヒットした作家も新連載をしようとするとまた大変な苦労をする。」

与沢翼Youtubeチャンネルにて出演された際

これは中小企業の企業活動にも言い換えることができる。
「商品は企業に依存せず、商品自体のファンが多い。だからどんなにある商品がヒットしても新事業をしようとするとまた大変な苦労をする。」
と解釈できなくはないだろうか。

しかしその大変な苦労をせずとも、神の領域にいく企業があったりする。
先ほどいったように圧倒的なブランドポジションを築いた企業たちである。これは、アップルやAmazonといった世界的な企業だけの話ではない。
中小企業でもB2B企業でも可能だと思う。

要はその企業(ブランド)がどんな新しいサービス・商品を出そうとも
「とりあえず欲しくなる」ということである。
マーケティングが「売れるための仕掛けづくり」であるならば、
ブランディングは「売れ続けるための仕組みづくり」とよく言われる。

要はその企業(ブランド)がどんな新しいサービス・商品を出そうとも
「とりあえず欲しくなる」ということである。メリットはわかりやすいものでも2つある。

一つはLTV(顧客生涯価値)を上げること。

もう一つは顧客単価を上げること。

人口がどんどん少なくなっていく日本の中で、国内市場向けのサービスは特に「数」を増やして勝負することは難しくなるだろう。

買う人の数がそもそも少なるからだ。

であるならば至極当然のように付加価値をつけるか、サービスの質を上げることで「顧客単価を上げていく」しかない。

さらには長期目線で見ると、広告費のようなコストを下げてCPA(顧客獲得単価)をなるべく下げながらLTVを上げていくことが必要になる。

それはつまるところ「ブランディング」が必要ということである。

ブランディングは決して、デザインを変える、ロゴを変えるということではない。

「売れ–続けるための戦略設計と実行そのもの」なのである。

とっても長くウザい話になってしまったので、最後にマクドナルドのCM「ピクルスのリレー」の話に戻したい。

このCMのすごいところは冒頭申し上げたところはもちろんなのだが、

実は昭和の回想シーンのところで背景に見切れている車が1968年に発売された「日産ローレル」ということ(笑)

そこまでするか、と。誰が気づくねん、と。

しかしサービスや商品をつくってきた方々なら共感してもらえるかもしれない。

「神は細部に宿る」と。

この凄まじいまでの「こだわり」と「世界観づくり」を企業がクリエイティブで見せることで、

商品やサービスへの「こだわり」と「世界観づくり」の印象へと繋がっていくのだ。

マクドナルドがそうかは置いておいて、だ。

なぜならこの感想と考察は八木が勝手に書いているものだからである(笑)

まとまりきらないが、ここでやめておこう。
なぜこんなことを書いているかというとブランドづくりとブランド広告が中小企業ほど軽視していることに危機感を感じているからであって、この危機感を感じている企業ほど世の中に「必要」と感じてもらえるサービスをお届けできると信じているからです。

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