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知ってもらうのが一番難しい

先日、自分が好きな漫画家さんの新しい作品が出ているのを知って、さっそく買って読んだ。めちゃめちゃ面白かった。
その漫画家さんの作品は、前作も前々作も読んでいて大好きなのだが、自分はこの新しい作品を、漫画アプリのバナー広告で知った。
すでに2巻まで出ているのに、連載が始まっていることも知らなかった。

来週、第3巻が発売となる『バカレイドッグス Loser』は、ヤングマガジンで連載していたものの単行本が売れず打ち切りとなった旧シリーズ『バカレイドッグス』が、電子コミックで人気が出たことでWEBで復活連載を始めるという、ちょっと珍しい経緯をたどっている。
この人気が出るきっかけとなったのも、《めちゃコミ》という漫画アプリのバナー広告だった。
《めちゃコミ》さんのおかげで、書き切ることのできなかった物語の続きを書く機会を与えてもらえて、本当に感謝している。

『バカレイドッグス』は、出版社の方でも試し読み冊子をつけてくれたりと売るための工夫をしてくれたのだが、売れなかった。
映像化された作品でもないし、ランキングに入ったわけでも、賞を獲ったわけでもない。残念なことだが、書店に並んでも、そんな《知らない作品》を手に取ってもらえることは少ないのだろう。確かに自分も、面白いかどうかも分からない作品を表紙だけ見て買うことは、ほとんどしない。

お金と時間がたくさんある人なら別だが《知らない作品》を買う人は、あまりいないのではないかと思う。
書店さんが売場を作って、お客さんに作品を《知らせて》売ってくれることもあるが、それはとても幸運なパターンだろう。多分、滅多にないことだ。

先日、漫画の編集さんと作品の宣伝方法について話していて、今は書店でそういった《知らない作品》を買ってもらうことが、相当難しいのだと聞いた。POPや色紙を置いてもらっても、それほど効果がないらしい。
新刊の作品数も多いし、仕方のないことだと思う。自分など、ちゃんと知っている、好きな作家さんの新刊すら見落としてしまっていた。

SNSで無料で読める形で作品の1話目を公開するというのも、今となってはその手法が珍しくなくなってしまったので、バズらせるのは難しいらしい。
でも、それで知ってもらえる可能性は上がるので、やらないよりはやるべき、という話だった。

それで、作品を知ってもらうのに今、もっとも効果が高い方法が、《漫画アプリの広告バナーを作ってもらって、なおかつ読んでもらえること》なのだそうだ。
バナーを作っても、読んでもらえなければ、割りとすぐにその広告は出されなくなる。でも、読んでもらえるとさらに広告を出す頻度を増やすので、ますます読んでもらえるという大変嬉しいスパイラルが起きるらしい。

バナーを作って広告を出すのは出版社ではなく漫画アプリの会社の方なので、こちらがどうにかできることではないのだが、それで自分の作品を知ってもらえるようになったら、本当にありがたい。いつか漫画アプリの会社の人の目にとまって、バナーに選んでもらえる(そして読んでもらえる)ことを祈るばかりだ。

まあ、そんな他力本願だけではいけないので、作者としても映像化やランキング入りや賞を獲ることを目指して、頑張って面白い作品を書こうとは思う。

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