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コロナ禍で生まれ変わる日本

本日(3月26日)の朝日新聞[あすを探る]に新型コロナウイルスをテーマとする論考を寄稿しました。このところ暗いニュースが多いですが、
・明るい兆しも見られる
・会社を大きく変え得る
・コロナ後の日本に期待
という流れで、日本で起こりつつある変化や今後について展望しています。以下で一部ご紹介させて頂きますので、ぜひご覧ください。

日本人と会社、進化の機だ 安田洋祐

<前略>
リモートワークが広がれば、仕事のやり方だけでなく、進め方も変わる。たとえば企画を通す場合には、人間関係や根回しであいまいに決まるのではなく、エビデンス(証拠)や理屈がより重視されるようになるだろう。企画内容と直接関係のない間接的なコミュニケーションは対面でないと難しいからだ。その結果、ベテラン社員が経験と勘で自説を押し通せなくなる、今まで発言権が弱かった若手や女性の存在感が高まる、といった変化も期待できる。

<中略>

個人の自発的な選択に任せていても、全体にとって望ましい結果が導かれるとは限らない。この「個人と全体の利益が一致しない」ジレンマ的な状況【注】は、働き方の選択に限らず、多くの社会・経済問題に共通している。周りの空気を読み過ぎてしまう日本人は、特にこのジレンマから抜け出すのが苦手なのかもしれない。日本の組織が概して保守的で、変化を拒んでいるように映るのは、組織の選択を縛る個人間での「にらみ合い」が効いているからでもある。人々の行動を一斉に変える新型コロナ対策は、こうしたジレンマを解消する起爆剤となるに違いない。

新型コロナウイルスは必ず終息する。コロナ後の日本社会は、コロナ前の状態には戻らないし、戻るべきでもない。ジレンマ的な状況から抜け出した個人や組織は、古い慣習と新しい慣習の良いところどりを目指していくだろう。日本の組織が生まれ変わり、中の人びとがよりいっそう輝くことができる。そんなきっかけになることを強く願っている。

【注】この、「個人と全体の利益が一致しない」ジレンマ的な状況について、ゲーム理論を用いながら日経ビジネス電子版で先日ご紹介しました。ご関心のある方は、合わせてぜひご参照ください:

買い占めに走る消費者は「間抜け」なのか? ゲーム理論「協調ゲーム」で考える消費者行動の合理性

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