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『勝ち続ける意志力』  ゲーム世界王者の深い言葉

【読書日記】 経済学者 安田洋祐 ③

 経済学者である僕の専門は「ゲーム理論」。そう言うと、TVゲームやゲーム業界の専門家だとしばしば誤解される。実際は似て非なるものだけど、当の本人が昔ゲーム少年だった ので、なんとなく話を合わせてしまうことも多い。

 特にやり込んだのが対戦型格闘ゲーム。様々な技を繰り出し、自分の体力が無くなる前に相手の体力を奪えば勝ち。コンピュータ相手ではなく、実際のプレーヤーとの真剣勝負が醍醐味だ。学校帰りにゲー ムセンターで見知らぬライバルたちをなぎ倒すのが中高時代の大きな 楽しみだった。

 この格闘ゲーム界の生きる伝説、世界中のファンを魅了してやまない最強のプレーヤーが、Daigoこと梅原大吾氏。「世界で最も長く賞金を稼いでいるプロ・ゲーマー」とギネス認定もされている。そんなクールジャパンの申し子による処女作『勝ち続ける意志力』(小学館101新書)は、ただ勝つのではなく、勝ち続けることに焦点を当てたユニークな一冊。ゲームの世界を超えて幅広く応用できる「勝ち続ける」ためのヒ ントがちりばめられている。

 梅原氏いわく「勝つことに執着している人間は、勝ち続けることができない」。一見すると逆説的だが、本文を読み進めれば、なるほどと膝を打つ。世界を相手に勝ち続ける、真の グローバル人材の言葉は深い。

日本経済新聞(2014年8月20日・夕刊)より


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