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【エンタメ日記】『ゴールド・ボーイ』『映画 マイホームマイヒーロー』編 2024/03/08~03/09

2024/03/08(金)

【書籍/ノンフィクション】『素数と音楽』マーカス・デュ・ソートイ 著

リーマン予想を大きな軸に、素数の謎に取り憑かれた数学者たちの半生を網羅している。かいつまんで紹介されるエピソードから、偉大な数学者はいずれも変人なのだと改めて知る。というか、変人だから数学者になれたのだろうが。エジプトでの経験から暑さの虜になり、自宅の部屋を高温にして何重もの布にくるまっていたジョゼフ・フーリエが、一番わけがわからない。


【新作邦画】『ゴールド・ボーイ』金子修介監督

TOHOシネマズ日比谷で鑑賞。次の段落で軽く終盤のネタバレをしているのでご注意ください。

やたら評判の良い声が聞こえてくる金子修介監督の最新作。オリジナルの韓国版は知らないのだが、ラストで肩透かしを喰らった自分は、世間一般とは感覚が乖離しているのだろう。メインの視点人物が実は観客すらも欺いていたという、叙述トリック系の構図。つまりラストに物語がひっくり返るのだが、明かされる真実が魅力的ではない。その理由は端的に、「都合の良いサイコパス」によって全ての展開を理屈づけているからではないか。観客をも突き放す狙いなのはわかるが、サイコパスなりのポリシーも希薄なまま殺人を重ねるだけでは、彼もまた結局は物語のための駒にしか見えない。それに、あらゆる全ての事象がひとりの人物の思いのままである無常な世界においては、ジュブナイルもビルディングスロマンも成り立たない。

2024/03/09(土)

【新作邦画】『映画 マイホームヒーロー』青山貴洋監督

TOHOシネマズ新宿で鑑賞。

意外と面白かった。「ドラマの未回収部分を映画で補完する」という目的としては最良かもしれない。なんたって、ドラマ版では犯罪者となった主人公が、映画版において罪を償うまでが描かれるのだから。主人公は映画前半ですでに出頭も考えているし、狙われているのもあるが基本的には贖罪の一環として危険な行動をしている。テレビドラマの劇場版で、こんな大胆なプロットは珍しい。ドラマ版では陥れられたままフェイドアウトしていた人物に主人公が土下座して謝るシーンなんて、なかなか見られない。佐々木蔵之介という役者が持つ稀有な存在感も重要な点であろう。
たしかに、脚本上はツメの甘い箇所は多く、無理筋な展開を挙げればキリがない。圧倒的に優位な立場なのに相手の指示された場所にノコノコ行くなよ、とか。ただこれらも、ドラマ劇場版そのもののイメージを逆手に取った開き直りだとすれば、大したものかもしれない。実際、ちゃんとしている骨格の部分を楽しみたい心理が働くのもあり、変な細部には「だってドラマ劇場版だしなあ」と、気にしないように無意識になっていたし。今後、ドラマ劇場版を制作するにあたって、参考にしてほしい箇所が多々ある。

【はじめて食べたもの】「ブランジェリーボヌール 東京ミッドタウン日比谷店」しあわせな納豆カレーパン

正直、納豆の入っていないカレーパンのほうが良かった


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