見出し画像

【エンタメ日記】『告白 コンフェッション』『違国日記』『蛇の道』編 2024/06/11~06/14

2024/06/11(火)

【邦画新作】『告白 コンフェッション』山下敦弘監督

TOHOシネマズ有楽町・スクリーン6で鑑賞。

人殺しを告白した友人と2人きりになるというミニマムな状況づくりと、舞台となる山荘の空間設計から、すでに面白さは担保されている。襲う側と襲われる側それぞれに身体的な難を抱えているのと、母国語が異なるための中途半端なディスコミュニケーションによって、アクションとしてもホラーとしても振り幅が広がっており、近年の邦画では稀に見るほどレベルの高いジャンル映画が出来上がっている。だがしかし、オチによって全ては台無しとなってしまうのが残念すぎる。『#マンホール』と同様の「視点人物が観客を騙していたという種明かし」と、『ペナルティループ』と同様の「視点人物の把握していない描写における矛盾」によって、話の構造が根本から成り立たなくなるからだ。一人称の話でのどんでん返しは、主人公と同化していた観客の心情を全否定するリスクを伴うのだが、そこにどれだけの覚悟を持っていただろうか。

2024/06/14(水)

【映画本】『メロドラマの想像力』河野真理江・著

別記事に長文レビューをUPしました↓


2024/06/13(木)

【邦画新作】『違国日記』

TOHOシネマズ新宿・スクリーン3で鑑賞。

突然の交通事故で両親(なぜか父親の存在が完全無視されているのは謎だが)を失った女子中学生を、母親とは絶縁状態だった独り身の叔母(母親の姉)が引き取る。という前提は下地として広げられたうえで、本筋となるのは疑似的な母娘と周囲の多様な人々との関わり合いである。法的な手続きによって親子のようなものとなった主人公2名を筆頭に、既存の単語ではうまく言い表せない、さまざまな"関係性"が次から次へと現れる。意外と登場人物が多く細かいエピソードが散文的に並ぶ構成によって、我々のいる世界は常にゴチャゴチャしていて、だからこそ美しいのだと認識させてくれる。序盤の少々やり過ぎなホラー風味の演出が賛否分かれるところだが、フィクションとしての強度を高めてエンタメの範疇に収めるためだと好意的に解釈した。

2024/06/14(金)

【邦画新作】『蛇の道』黒沢清監督

角川シネマ有楽町・スクリーン1で鑑賞。チケットカウンターが現金のみ取り扱いなのは、例のサーバーテロの影響? 前からだっけ?

黒沢監督が1998年に手がけたVシネマ作品のセルフリメイク。舞台を日本からパリに、主演を相川翔から柴咲コウに変更している。元々の原案である高橋洋の色が強く、がっつりとしたノワールに黒沢清の特殊な癖が添加されている印象。それにしても、ここまでジャンル映画としての骨格がはっきりとしていると、演出における違和感がいつも以上に目立つ。しかもそれが黒沢清の狙いなのか、それともただの瑕疵なのか、観客の側に判断を迫られているようだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?