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激辛の鏡(2分で読める小説)


変わったお店があるので、私は興味をもって入店した。
その店はそれほど大きくは無いが、商品の数は多くありそうだ。
店主がにこやかな顔つきで揉み手をしながら
私の元にやってきた。
「何かご入用で・・」
と、聞いてきたので、困ってしまった。
…別に欲しい物はない…どうしようと
思っている時の、店主が言う。
「お嬢様、面白い商品がございます。
こちらに
来ていただけますか、・・・」
と、店主は私の手を取り店の奥まで案内してくれた。

そこに置いてある物は50cmぐらいの手鏡だった
「この鏡は、激辛鏡と申しまして、顔を写しますと
悪い所教えてくれる鏡なのです。悪い所を直せば
美人の人はより美人になり、そうでない人は、それなりに美人になるのです」
「この鏡で見ると悪い所を映し出すと言うのですか?」
「そうです、悪い所を写し出すので、そこだけ修正すれば、
完璧になるのです。
どうでしょうか、今ならお安くなっておりますが・・」
私はそれほど高くは無かったので、
その鏡を興味半分で購入した。

鏡に写し出された私の顔は、不美人ではないのだが、
一点気になる所が写し出されていた。
私は非常に気になり整形手術を施した。
これで完璧になるはずだ。
だが、それも束の間、また悪い所が目に付く。
またもや、整形手術となった。
それから私は何度も整形手術を繰り返した。
その結果、私は別人の顔になってしまった。
美人ではあるが、元の顔は何処にも無い。
しかし、時が経つにつれて
美人になった私の顔がだんだんと変形してゆく。
そして、見る事も出来ないほど醜くい顔となってしまった。
以前訪れたユニシロに私は出向いた。
文句を言う為である。

店主は私の顔を見るなり
いつもの様に揉み手でやって来る。
そして、手鏡をさし出してきた。
「お客様、この鏡はどんな人でも美人に写る、
激甘鏡です。」

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