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人間になる事は?(1分で読める小説)➕追伸

ここに、一匹の犬がございまして、
名をロンと申します。

このロン、全くの役立たず 
しかも大飯ぐらい!
番犬にもならず、
飼い主に愛想を振り撒く事も無く、
ただ、飯だけは一人前と申しましょうか、
一犬前以上食べるのでございました。

しかも、このロンは顔は可愛くも無く
むしろ不細工な顔立ち。
これと言って良点が無く、
いつも呑気に暮らす犬だったのです。

これを、天から見ていた魔法使い。
「この犬は面白い、いっそうの事人間に変えてしまおう」
と、思い立ち、ロンを人間に変えてしまったのです。

びっくりしたのは、ロンでは無く飼い主でございました。

「おい、おまえ何故 犬小屋で寝てるんだ」
と、大きな声を張り上げます。
「寝てる?!ここは俺の家だぞ」
と、人間になった事も知らずにロンは、
飼い主に言い返します。
だが、今までの犬の姿では無く人間です。
「馬鹿事を言わずに出ていけ!」
と、人間ロンは追い出されてしまいます。

人間にされてしまったロン。
すごすごと犬小屋を後にします。


ロンは人間にされてしまった為に、
食を求め、職を求め、彷徨い歩きます。

人間「ロン」に幸せが訪れるのでしょうか?

追伸
飼い犬は呑気で良い。
食事の心配が要らぬ。
鎖に繋がれて自由は無いけれど、
生命の保証はされている。

人間となっては、お金を稼がなければ生きていけない。

さりとて、自分にあった職は簡単に見つからない。
嫌でも我慢して働かなければ生きられない。
人間になってしまったロンは、どの様な職に就くのか?
就けるのか?あの様なぐうたら人間が働けるのか?
全く疑問である。

「犬の方が楽」と、ロンは思っているのかも知れない。

人間は辛いよ。

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