(新々)三つ子の魂百までも 33
「その事は、犯人の殺人鬼で無く、お父さんが言っていたんだけど。・・・・
娘が廊下で一人で遊んでいたところに犯人の男が
娘を刺したの!その悲鳴を聞いて、父親と母親が出てきたの。
男は、父を刺したの・・・
逃げる母親を部屋に入って殺したのよ。
しかも、滅多に刺しにして・・・・
父親は、気丈にも奥さんを助けに部屋に入ったんだけど、・・・
そして、犯人はベランダから飛び降り自殺したのよ」
事件の真相が20数年振りに解明された瞬間でもあった。
そして裕美さんの声は全て録音されている。
「もう一度、あのビルに私、行こうと思っているの。
あの殺人鬼の霊と対決したいの!」
と、驚きの発言である。
あれほど、「近づいてはいけない」
と、裕美さんは言っていたのに、その言葉を自ら否定する。
……何を考えているの?裕美さん。……
「殺人鬼の霊と対決する。面白くなってきましたね。」
と、無責任な発言をする林田。その顔には喜びの表情が!
「やめてください。裕美さん!そんな危険な事は絶対にしないでください。
絶対にですよ。」
と、僕は裕美さんの腕を思わず掴んでいた。
「本当に霊が人を殺せるか?どうかを試したくなったのよ」
と、至って能天気な発言。
「裕美さんで実験するのですか?・・・。
そんな馬鹿げた事を・・・・・。確かめるのですか?
辞めて下さい。もし裕美さんが死んでしまったらどうするですか?」
「そうですよ、裕美さん。そんな実験はダメですよ。」
と、修も僕と同調して声をあげる。
「そうね・・・・。危ないかも知れないわね。・・・
でも、あの殺人鬼の霊に人を殺す力は無い様に思うのよ。」
「でも、二人も死んでますよ。橋田君の友達とお父さんです。」
と、僕の興奮は納まらない。
「でも、その死因は心臓麻痺ね。霊の仕業では無いわ。」
と、至って冷静に言う裕美さん。
「と云うか、私はあの殺人鬼を、痛ぶりたいの。
懲らしめてやりたいのよ。」
訳の判らない事をいだす裕美さん。
「痛ぶるって、もう縛られているんでよ!
牢獄に入っている様に、動け無いんでしょ!
だったらもういいんでは無いのかな?
これ以上しなくても」
と、僕は裕美さんに言ったが、
裕美さんの目は、復讐に燃えているかのか?
瞳には炎が焚かれていた。
まるで、「巨人の星」の星飛雄馬みたいに燃えている。
「林田さん、今日撮った写真をでき次第持ってきてね。」
と、裕美さんは明るく言っているが、
僕は不安と心配で、いたたまれ無くなる。
…この事を直美さんに伝えて、裕美さんを止めてもらおう…
「公ちゃん、この事はお姉ちゃんに言ったらダメよ。
言ったら、絶交よ。わかったわね!」
と、先に言われてしまう。
僕の心まで読めるのか?裕美さんは。
この場は解散となったが、僕は裕美さんと共に夜を過ごした。
事務所の一室で二人は共に寝た。
別別のソファーで!
二人の関係はまだ・・・・・。
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