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(新々)三つ子の魂百までも 最終回

最終回

「林田さん、霊が撮れないと言っていたのに
また撮ることができる様になったのですね。
いつからかな、撮る事が出来る様になったのは。」

と、不思議に想い、僕は桜町に聞いた。

「そう言えば、彼が言っていたわ。
『霊を写す為に心を清らかにする』ってね。」

「そうなんだ。心を清らかに・・・」
僕は、考えていた。

…林田さんの云う「心の清らかさ」とは何だろうか?
人間には欲望や身勝手さが必ずある。
欲望の無い人などは居ない。

でもその欲望も自分だけ良ければ良いと云う欲望か、
みんなを良くしたいと考える欲望か?
林田さんは、この事件を解明してお金にしたいと
最初は考えていたのかも知れない。
その自分だけの欲望では心が濁り霊の写真も撮れなくなった事に気づいたんだ。

林田さんは心を改めて、事件の解明する事で新たな犠牲者を防ぐ想いから、
霊の写真を撮りに行ったんだ。
個人の欲望を捨てたから、以前の様に霊の写真が撮れたんだ。
まさか命を落とすなんて考えてはいなかったかも知れないが、
あの様な曰く付きの霊スポットに行く勇気は驚愕に値する。
林田さんの勇気に最敬礼。
今まで、誤解して強い言葉を投げかけた事を
許してください。……

林田の葬儀はつつがなく行われた。
戦場カメラマンの風貌が遺影に残されていた。

林田さんの笑顔が、僕の心に残っている。
林田さん、短い期間の知り合いだったけど
決して僕は忘れたりはしないよ。

林田の手帳に残された記述と林田の撮った霊の写真を公開し、
噂の都市伝説は事実として再度掲載された。

あの場所には絶対に近づかない様に。
林田の死因は心臓麻痺である。
そこに近づいた少年も心臓麻痺。
偶然が二度重なる事を重視したい。
そしてその場に写し出されている霊の写真。
もう、犠牲者は出したく無いと云う
想いの記事であった。

それは、都市伝説が伝説では無く事実に変わる瞬間でもあった。

「信じる、信じないは、あなた次第です」



後日談もありますので、後日掲載します

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