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ある死刑囚(最終回)

最終回

「貴方には辛いかも知れませんが、恨みなど捨てて、
また、呪うなんて馬鹿な事を考えずに、
天界行きの列車に乗る事をお勧めします。
私はその為に来たのです。
貴方を救いに来たのです。
貴方は確かに、少年時代はグレてどうしようも無い人でした。
でも、心を入れ替え、真面目に生きて来ました。
なのに不幸にも冤罪の判決を受け、悲惨な目に遭った。
貴方の考えていた事は、閻魔様には全てお見通しなのです。
私は閻魔様から言われて、貴方を救いに来たのです。
解っていただけますか?」

「閻魔様に観られていた?(*゚▽゚*)。
どう言う事ですか?閻魔様は全てお解りなのですか?」
と、聞く俺に、天使は微笑みを見せた。

「貴方だけでは無いです。閻魔様は全ての人の生き様、
心の持ち方、心のあり方、全て見ています。
あの悪徳弁護士も、あの刑事も全て観られているのです。

隠れて悪い事をしていても、
閻魔様は全てお見通しなのです。
怖いですよ。
人の全ての行いは閻魔様には知られている。
お解りになりますか?」

「それで、閻魔様は私に同情して貴方を、
私の元に寄越した訳ですね。
・・・何か溜飲がおりた気がします。
私が呪わなくても、閻魔大王様が、解ってくださる。
私は生前は神の存在など信じていなかった。
でも、違うのですね。それが判っただけで満足です。
これから私はどの様にすれば良いですか?」
と、私は晴ればれとした気持ちで聞いた。

「納得していただき、私は嬉しいです。
貴方を救う事が私の使命でした。では、
私と一緒に天界行きの列車に乗りましょう」

二つの魂は、意気揚々として天界行きの、
列車乗り場に向かって行った。


追伸
皆さん、人を恨んでも仕方無いですよ。
自分の心が濁るだけです。

ホラーを期待した人には期待ハズレの小説でしたね。
申し訳ありませんでした。

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