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(続)三つ子の魂百までも(27)


27

「警察では、妹さんの行方を捜査しているのだが、未だに不明だ!
所で、新美君に妹がいたのかね?新美君は幼い時から施設で育ったのだろう?
何故今頃になって、妹が現れたのだ?本当の妹さんかね?
そこら辺、聞かされていないかね?」

「私は、新美君から、妹がいると云う事を聞いた事は、
無かったです。」
と、小さな声であるが明確に広田さんは、言った。

「だったら、新美君の恋人かね?」
と、相変わらず伊東の言い方は、上から目線だ。

しばらく、広田さんは黙っていたが、
「違うと思います。新美君には、恋人は居ないと思います」
と、願望がこもった言い方である。

「恋人じゃ無いとすると、・・・・。
一部の報道では、『大橋が麗華さんを殴ろうとした時、新美さんが
麗華さんを護り大橋に殴られ殺された』と云う様に、書いてありましたが、恋人でも妹でも無い人を新美さんは護り犠牲になったということですか?」

と、不思議に感じ僕は聞いた。
「そう云う人です。新美君は」
と、言いながら涙を拭って、
「いつも冷静で、冷たい感じの人ですが、本当は愛を求めていると云うか、愛する人を見つけようとしていた、と思います。
でも、自分からは、気持ちを閉ざして入って行けない人だと思います。本当は優しい人です。」

「警察の話しですと、『麗華さんの首が真後ろに向いた』
と、大橋教授が話しているそうですが、ご存じですか?」
と、修が言った。
広田さんは、振り向き修に向かって言った。
「聞きましたが、『大橋教授が嘘をついている』と皆は言っています。私も嘘だと思っています。」

「広田さんは、麗華さんに会った事はありますか?」
と、今度は修と同じ顔をした僕が聞いた。

元の姿勢に戻った、広田さんは、同じ顔の者に違う質問をされ少し戸惑いがあったみたいだが、

「一度だけ、会いました。大橋教授の発表があった日です。
麗華さんは本当にスタイルも良いし、お美しい人でした。」

「その時、広田さんは、麗華さんを見てどの様に思いましたか?
恋人?妹?それとも、新美さんと麗華さんは赤の他人?
どの様に感じましたか?」

今度は修が聞いた。またも、広田さんは振り向き、修に応えて

「その時は、新美君が妹だ と言っていたので、妹と思いました。
でも、後で考えると妹の可能性は低いと思いました。
でも、不思議なのです。
何故、新美君があの席に麗華さんを連れて行ったのか?
仮に、新美君の恋人だとしたら、女癖の悪い大橋に紹介する訳無いです。
大橋も麗華さんとは、初めて会ったみたいですし。
可笑しいでしょ。恋人を、女癖の悪い男に会わせる何て考えられないでしょ。」

と、強い想いで広田さんは、修に向かって言った。

「本当ですね。可笑しな話しです」
と、真顔で広田さんの横に座っている直美さんが言った。
そして、さらに言った。
「仮に、新美さんの妹さんだとしても、何故そんな男に、
大事な人を会わせたのでしょうか?」
と、疑問を持っているかの様に、直美さんは聞いてきた。
でも、誰に聞いたのかは不明である。



「新美さんは、大橋教授に麗華さんを意識的に会わせたんだと思います」
と、修は冷静な声で言った。

「何の為に?会わせる目的は?」
と、伊東さんが刑事の様に低い声で修に向かって言った。

「何の為にと言われると、推理でしか無いのですが、
大橋教授を嵌める為にだと思います。」

「大橋を嵌める?」と伊東さんが言って更に続けた。

「新美は、大橋を嵌める為に、麗華を利用したのか?」

修は、またもや冷静に

「新美さんが殺された時も、大橋教授に麗華さんと会わせています。
もし、新美さんが麗華さんと親密な関係であるならば、二度も会わせる事は無いと思います。むしろ、大橋教授に麗華さんを意図的に会わせたと思う方が自然です。
では、何故新美さんは、大橋教授に麗華さんを会わせたか?を
考えるならば、大橋教授にスキャンダルを作らせる為だと思います。要するに、大橋教授を騙す為に新美さんは麗華さんを意図に会わせた。と考えた方が良いのでは、と思うのですが」
と、テレビに出てくる探偵みたい修は、推理をした。

「だとすると。麗華はその筋の女か?」
と、伊東さんは呟きそして、
「それだと、筋が通るな」と関心するかの様に言った。

「でも、疑問が有るのです。」と修が伊東さんに向かって言った。

「どんな疑問?だ。」と、伊東が上から目線。

「麗華さんの首が真後ろ向いた事です。
大橋教授が嘘を付いていると皆は言っているみたいですが、
そんな見え透いた嘘を云う訳は無いと思います。
本当に真後ろに向いたのであれば、人間以外の動物、もしくはロボットだと思います。おそらくは、新美さんが作ったロボットの可能性が高いと思います。」

修から、その言葉を聞いたのは、二度目であるが、僕はまたもや衝撃を受けた。
修が余りにも冷静に喋るので、本当にロボットかも知れないと思ってしまったからだ。

「でも、ロボットなら見たら判るでしょ?
人間と同じロボット何て見たことないわ」
と、直美さんが口を挟み、広田さんに聞いた。
「広田さんは、麗華さんに会ってどうでしたか?」
と、感想を求めてきた。

広田さんは、考えているのか、勿体ぶっているのか、直ぐには答えようとしなかった。で、出た言葉が

「新美君、その筋の女とどこで知り合ったんでしょうか?」
と、先程の伊東さんの言葉を、気にしている様子であった。
だが、問題はそこでは無い。
僕は苛立ちを隠しながら、広田さんに聞いた。

「広田さん、麗華さんを見てロボットに見えましたか?」
と、分かりやすく更に聞いた。

「ロボット?麗華さんがロボット?そんな馬鹿な事無いでしょ。」
と、少し怒ったみたいに否定した。そして
「その筋の女と言われたら、その様に見えます。」
と、こちは肯定し、強く言った。

「でも、チョット可笑しな事が、あったのよ。・・・」
と、広田さんは、言いかけていつもの様に言葉を止めた。
気になるのは、僕だけでは無いはずだ。

久しぶりに続編を掲載しました。

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