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三つ子の魂百までも番外編6
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「杉田は、今は仕事で外に出ています。他のスタッフも外に出ているのですが、私はお客様の相手をする為に、通常事務所に待機しております。」
と、裕美は事務的に応えた。
だが、真実は今日は、裕美がたまたま事務所に居ただけである。
依頼が増えてきたと言っても、スタッフは以前と変わらず四人だ。仕事の内容も不倫の調査が主である。
しかし、今回の依頼は違った。
杉田公一の喜びそうな案件である。
ミステリーアスな事件こそ、杉田の得意とする所だ。
だが、この事件には霊的要素がある。
此処は、裕美の出番である。
霊的要素がある事件は、裕美の霊能力が必要だ。
それに、報酬も多くいただけそうだ。
嬉しい気持ちを心に秘め、相手を思いやる様に裕美は晃子に接していった。他所の探偵事務所に心変わりしない様に、
言葉を選んで話をした。細心の注意を払って。
「調査の方法ですが、・・・・」
と、裕美は晃子の瞳を見ながら、興味を引く様に優しく言った。
「先ずは、貴女の購入した物件を調べてみましょう。
その様な事件がその場所で本当にあったのかどうかを。」
「そうですね。噂が本当かどうか気になります。」
「晃子さん、貴女は最近上京されたと言われましたが、出身はどちらの方ですか?」
「私の生まれは、福井県です。でも、大学は京都に行ってました。
今年就職が決まって東京に来たのです。」
「そうですか。この様な噂を誰からお聞きになりましたか?」
「誰からと言われましても、会社の同僚が言っていたよう様な。
ただ、噂だと言ってました。」
「単なる根拠のない噂ですね。困った物ですね。」
裕美は、人を怯えさせる事を平気で言う人の気持ちが解らなかった。
「奇妙な音が聞こえると先程、おっしゃいましたが、聞こえるのは夜ですか?」
「夜です。と言うよりも夜中です。不気味な音です」
「どの様な音ですか?不気味な音って?」
「何か、人が泣いている様な、声です。赤ちゃんでは無いです。
女の人の声に似ている様な感じです。」
「毎日聞こえるのですか?」
「毎日では無くて、時々なのですが、最近頻繁に聞こえる様になったのです。
それが、私の空耳なのか?それとも本当聴こえているのか?
判らないのです。そしてその声が最近、段々と大きくなってきた様な感じなのです。それと・・・・」
と、言ったきり晃子の言葉が止まった。
https://note.com/yagami12345/n/nd1b021f5a3b4
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