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行列の出来るリモコン(440字の小説)

年金暮らしの老人には生活の余裕は無い。
今日も無料で食べれる「炊き出し鍋」に来ている

親切なボランティアの団体が
無料で食事を振る舞ってくれ大助かりだ
私と同じ老人達が群れを成す。
行列は毎度の事、無料だから待つ値打ちがある。

街をぶらついていると、長い行列に出くわした。
習性とは恐ろしいもので、行列を見ると、
つい並びたくなる。
何の行列か尋ねてみると、
リモコンを無料でくれるらしい。

ただの物は頂く主義の私は、喜び勇んで行列に溶け込む。
リモコン欲しさの行列。
行列の出来るリモコン。

一体何のリモコンか?
疑問を持ってはいたが、待つ事一時間。
やっとリモコンを手にいれた。
だが、何のリモコンか判らない。

係の人に尋ねてみると、これから発売される
冷蔵庫のリモコンとの事。
リモコンは今回無料で提供してはいるが、冷蔵庫は有料との事。
リモコンを確かめると「開」のボタンが有る。
どうも扉を開けるボタンみたいだ。

遠くから扉を開けても、冷蔵庫の中の食品を
取り出すのは、自分の足で行かねばならない。

全く、不要のリモコンだ

#青ブラ文学部

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