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掌編小説 「試したい」

大学生の時いつも考えている事があった。
授業を出席と見せかけていかにサボるか?
それと、試験の時にいかに上手くカンニングするか?
思えば、情け無い話である。
その結果、希望する仕事にも就けず
就いた所が、葬儀屋だった。
しかも、闇の葬儀屋だ。
闇と言うからには、表には出ない。
そう、遺体の処理屋である。

昨日はある男が、父親の年金欲しさに、父親の遺体を闇に隠し
生きている様に見せかける仕事だった。
3日前は、ヤクザの組長を殺した男に遺体の処理を頼まれた。
葬儀もせずに送り出す為か、異様な事態に最近私は、気が付きだした。
悪霊が私の身に取り憑いているのか?
死者の声が聴こえるのか?
それも、鮮烈な声である。

この仕事をやり出して二年、入社の動機は報酬の良さであった。
だが、最近は毎晩の様に、霊の声が聞こえてくるのか?
私は悩んだ末に退職届けを出す事に決めた。

退職届は、社長はすんなりと受けてくれた。
これで安心して暮らしていける。

だが、その声は今も私に聴こえてくる。しかも更に強烈に!
「人の身体切り刻んで面白いかい?あんまり楽しむなよ!」

そう、私は人肉に刺さるナイフのあの快感が、たまらなく好きだ!
今度は、生きている人間で・・・。





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